ハノイ国家大学 外国語大学 大学院 HỒ THỊ HOÀI NAM 日本語における数字を表す言葉を使った慣用句 -ベトナム語との比較- THÀNH NGỮ CÓ TỪ CHỈ CON SỐ TRONG TIẾNG NHẬT (SO SÁNH VỚI TIẾNG VIỆT) 修士論文 専攻科目:日本語学 コード :60.22.02.09 ハノイ-2017 年 ĐẠI HỌC QUỐC GIA HÀ NỘI ĐẠI HỌC NGOẠI NGỮ KHOA SAU ĐẠI HỌC HỒ THỊ HOÀI NAM 日本語における数字を表す言葉を使った慣用句 -ベトナム語との比較- THÀNH NGỮ CÓ TỪ CHỈ CON SỐ TRONG TIẾNG NHẬT (SO SÁNH VỚI TIẾNG VIỆT) LUẬN VĂN THẠC SĨ Chuyên ngành Mã số : Ngôn ngữ Nhật Bản : 60.22.02.09 Người hướng dẫn : PGS.TS Ngô Minh Thủy HÀ NỘI - 2017 保証書 私は Hồ Thị Hoài Nam で、大学院学科の院生です。わたしの修士課程論文 は日本語における数字を表す言葉を使った慣用句をテーマとして作成しました。 指導教師の教えるを元に、自分で論文を書くのを保証いたします。他の論文から コピーしないことにしました。 ハノイ-2017 年 Hồ Thị Hoài Nam i 謝辞 本稿を作成している間に、先生、家族と友人の皆様から励ましとご協力を いただ きまして、感謝の気持ちを表したいと存じます。 まず、指導教官であるゴ・ミン・トゥイ先生に心から感謝申し上げます。 非常に大切な本をた くさん提供してくださいました。そのうえ、日本語学の研究 方法から、論文執筆の 仕方まで、先生から厳格かつ親切なご指導をいただきまし た。この論文の完成に際して、トゥイ先生の深い学恩に衷心より厚くお礼を申し 上げます。 最後に、如何なる時も終始私を支えてくれ、励ましてくれた家族並び友人 たちに 心からお礼を申し上げます。 ii 論文の概略 本論文では、まず日本語とベトナムにおける慣用句の定義、慣用句と同様 的な形容との分別、そして慣用句の分類などを述べた。その上、日本語の慣用句 に関する構成や意味の特徴などの概要を紹介した。 次に、日本語の『例解慣用句辞典』とベトナム語の『Thành ngữ học Tiếng Việt』という辞書を資料にし、日本語における数字を表す言葉を使った慣用句を 考察・分析しながら、ベトナム語との比較を行ない、統語的な構成要素や意味を 取り出した。 最後に、ベトナム語の数字を表す言葉を使った慣用句に関する対照分析を 行い、各数字の象徴的意味・文化的意味を取り上げ、日本とベトナムの文化に関 する同異点を明らめにした。 iii 目次 保証書 i 謝辞 ii 論文の概略 iii 目次 iv 表の目次 vi 序論 1.研究の背景と目的 2.先行研究 3.研究の目的 4.研究の対象・範囲 5.研究方法 6.論文の構成 本論第一章 : 日本語における慣用句 1.1.慣用句についての概念 1.1.1.日本語における慣用句の概念 1.1.2.ベトナム語における慣用句の概念 1.2.日本語における慣用句と同様形容との分別 1.2.1.慣用句と諺 1.2.2.慣用句と連語 1.2.3.慣用句と熟語 1.3.日本語における慣用句の分類 1.3.1.品詞別の特徴に基づいての分類 1.3.2.形式上に基づいての分類 1.3.3.意味に基づいての分類 10 1.4.日本語における慣用句の特徴的意味 10 1.5.本章のまとめ 12 第二章: 日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の考察 14 2.1.数字についての概要 14 2.1.1.数字の概念 14 2.1.2.日本語の慣用句における使われている数字 15 2.2.日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の考察 17 2.2.1.考察の目的 17 2.2.2.考察対象及び範囲 17 2.3.考察結果 17 iv 2.3.1.日本語とベトナム語の慣用句で使われた数字 17 2.3.2.日本語とベトナム語の慣用句における数字の出現頻度 19 2.4.日本語における数字を表す言葉を使った慣用句の分類 24 2.4.1.日本語における数字を含む慣用句の品詞別 24 2.4.2.日本語における数字を表す言葉を使った形式上の慣用句 27 2.4.3.日本語における数字を含む慣用句の意味 29 2.5.本章のまとめ 35 第三章 : 日本語の慣用句において使われた数字の特徴的意味及び文化的要素 38 3.1.日本語の慣用句において使われた数字の特徴的意味 38 3.1.1.「一」「二」「三」を使った慣用句の特徴的意味 38 3.1.2.「四」「五」「六」を使った慣用句の特徴的意味 45 3.1.3.「七」「八」「九」を使った慣用句の特徴的意味 46 3.1.4.「十」「百」「千」「万」を使った慣用句の特徴的意味 47 3.2.日本語の慣用句において使われた数字の文化要素 49 3.2.1.日本語の慣用句において使われた数字の「吉」と「凶」を表す文化現象 49 3.2.2.日本語の慣用句における実数を表さない数字の意味 51 3.3 本章のまとめ 52 結論と今後の課題 54 1.結論 54 2.今後の課題 55 参考文献 577 日本語の文献 57 ベトナム語の文献 57 付録 I 付録 1.日本語における数字を表す言葉を使った慣用句 I 付録 ベトナム語における数字を表す言葉を使った慣用句 VIII v 表の目次 表 1.慣用句と諺の分別 12 表 1.1.慣用句の構成要素の意味的観点から考察する日本語慣用句の構成割合 16 表 2.1.日本語とベトナム語の慣用句で使われた数字 18 表 2.2.a.日本語の一つの慣用句における二つ使った数字 19 表 2.2.b.ベトナム語の一つの慣用句における二つ以上使った数字 21 表 2.3.日本語とベトナム語の慣用句における数字の出現頻度 23 表 2.4.日本語の動詞慣用句 25 表 2.5.日本語における数字を含む慣用句のグループ 29 表 2.6.a.体・性格・態度を表す慣用句 31 表 2.6.b.感覚・感情を表す慣用句 32 表 2.6.c.状態・程度・価値を表す慣用句 32 表 2.6.d.社会・文化・生活を表す慣用句 34 表 2.6.e.行為・動作・行動を表す慣用句 34 表 3.1.1.1 日本語における「一」を使った慣用句の意味 39 表 3.1.1.2 日本語における「二」・「三」を使った慣用句の意味 44 表 3.1.2 日本語における「四」「五」「六」を使った慣用句の意味 46 表 3.1.3.日本語における「七」「八」「九」を使った慣用句の意味 46 表 3.1.4.日本語における「十」「百」「千」「万」を使った慣用句の意味 47 vi 序論 1.研究の背景と目的 私たちが毎日使っている言葉の中に、二つ以上の単語が組み合わさって、 元の言葉とはまったく違った特別の意味に使われる、おもしろい言葉がたくさ んある。例として、ベトナム語で「chờ dài cổ」(①首を長くする)、「nổi da gà」(②鳥肌が立つ)というようなものは会話や文章によく出ている。①の首 と長く、②の鳥肌と立つという単語はそれぞれ独立した意味をもっているが、 上のように組み合わせたら、異なった意味になった。①と②のような言葉を 「慣用句」と言う。 慣用句は人間の日常生活に親しみ、習慣として長い間、多くの人々に使い こなされて、私たちの日常の会話や文章にどんどん用いられ、私たちの言葉を使 う生活を豊かにしている。例として、気温が低いすぎたときの感覚を表すとき、 「さむい」「つめたい」を使うが、「鳥肌が立つ」を使うと、言葉の意味と組み 合わせを通して、どんなに寒いか推量できる。しかし、こういう表現はある程度、 難しいものである。一方、「頭がいい」「目が高い」「首を長くする」というよ うな基礎の文型を使って、構成された慣用句もある。また、慣用句は人間の生活 から生まれ、そして社会生活の中で、育まれたことから、その社会の世界観や風 俗習慣などが色濃く現れ、それぞれの国の人々の気質や考え、その国の言語独特 の伝統、生活習慣や国民性などをよく映し出している。日本語の慣用句も日本人 が好んで用いるもので、日本語学習者の学習上、必要になるものである。 日本語とベトナム語も他の言語と同様、慣用句を持つ言語である。しかも 日本語とベトナム語とも慣用句は日常的によく使われるものであり、相互に慣用 句の用法・解釈を深く理解することが言語研究だけでなく、異文化理解において も、欠かせないものとなる。 慣用句では動物や自然や植物や人の体や品物や色や数字などに関する言葉 が使われている。本研究では日本語における「数字」を表す言葉を使った慣用句 を選び、構成や意味を分析しながら、日本語とベトナム語の間にどんな同異点が あるか比較して、取り上げる。 2.先行研究 日本語における動物や自然や人の体や色に関する言葉を使った慣用句の 研究は数多くあるが、数字に関してはまだ尐ない。その研究は以下のように 紹介する。 Giang Thị Tám (2001)は数字を表す言葉を使った慣用句についての研究 で、漢語の慣用句を考察しながら、ベトナム語の慣用句との対照分析を行った。 また、研究で一般的慣用句と漢語の慣用句における文化的特徴も取り上げた。 Ngô Minh Thủy (2012)は「日本語の慣用句と慣用句理論」で、日本語の 慣用句において、よく使われている「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、36、50、 99、100、180、300、800、1.000、10.000」という自然数字と「半、両」という数 量詞を示した。さらに、これらの数字は個々の数の意味をもっているが、慣用句 の構成要素として使われた場合、ほとんど本来の意味を表さずに、「尐し、たく さん、多数…」のような一般的数量の意味を表すという特徴を取り出した。 Hoàng Hữu Dũng ・Đỗ Thị Hồng Nhung (2017)は「漢語における慣用句と 諺の特徴的数字について」では漢語における数字を表す 256 の慣用句と諺を考 察・分析を行い、漢語における 16 の特徴的数字を指摘した。これらの数字は 「1/2、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、100、1.000、10.000、100.000、1.000.000」 となっていた。また、研究では漢語とベトナム語の同異点を明らめにした。 3.研究の目的 上述のように、日本語における「数字」を表す言葉を使った慣用句に関す る研究はまだ尐ない。そこで本論では、これらの慣用句を考察・分析しながら、 統語的な構成要素を取り出す。そして、日本語の慣用句に反映する文化的背景を 考察し、ベトナム語との比較を通し、各数字の象徴的意味・文化的意味を取り上 げ、日本とベトナムの文化に関する同異点を明らめにする。 本研究の結果は日本語学習者に日本語の慣用句への認識を高めさせ、日本 人の表現心理や考え方の微妙なところを深く理解させると共に、慣用句を正しく 学習し、正しく使用する能力だけでなく、翻訳する能力も養うのに役に立つと思 われる。 4.研究の対象・範囲 「千軍万馬」(”thiên binh vạn mã”)や「一を聞いて十を知る」(”học biết mười”)「一石二鳥」(”một công đôi việc”)のような数字を含む慣用句は日本 とベトナムの日常会話や文章などに、かなり出ている。数字といえば、『大辞林』 (1988:1268)により、「数を表す文字」と定義され、漢数字(一・二・三…)、 アラビア数字(1・2・3…)、ローマ数字などを含んでいる。本研究は日本語とベ トナム語の慣用句辞典を資料とし、1 から 10 まで、百、千、万などのような自然 数字を表す言葉を使った慣用句を研究対象とし、考察・研究する。 以下は日本語とベトナム語の慣用句辞典のリストである。 ①井上宗雄(1992)『例解慣用句辞典』創拓社出版 ②三省堂編集所(2010)『故事ことわざ・慣用句辞典第二版』三省堂 ③Nguyễn Lân (2014),Từ điển thành ngữ tục ngữ Việt Nam, NXB Văn học ④Hoàng Văn Hành (2008), Thành ngữ học Việt Nam, NXB Khoa học xã hội 日本語の「六」は、量と数の「多い・尐ない」の意味を表す用法はほとん どないが、ベトナムの「六」は「Ba đầu sáu tay」と言う慣用句において用いられ、 「多い」の意味を表す。 「七」はベトナム語と比べると、日本語のほうが尐ない。例として、「七 転び八起き」は「何度失敗してもくじけないで、勇気を奮い起こして立ち向かう こと。人生は成功と失敗の繰り返しであるということ。」と解説され、意味用法 については「多い」を表す。一方、ベトナムの「七」は「多い」の意味のほうが かなり見られるが、多くは「三」か「五」と組み合わされ、上記のように「多種 多様」「度々」を示す。 「八」は日本語の出現頻度が高いが、ベトナム語と同様に「多い・広範」 の意味を表す慣用句がある。例えば、日本語においては「口も八丁手も八丁」 「八方塞がり」「八方美人」、ベトナム語においては「Bốn phương tám hướng」 「Kẻ tám lạng người nửa cân」のような例が挙げられる。 「九」は両言語とも実数の中で最も大きい奇数であり、日本語の慣用句に おいて「九」を使った例としては尐ないが、一番小さい奇数である「一」と組み 合わされ、「多い・広い」のことを強調する場合が存在している。「九死に一生 を得る」は「九分どおり助からぬ命がかろうじて助かる。きわめて危険な目にあ ったこと。」、「九仞の功を一箕に虧く」は「長年努力してきたことが、最後の 詰めを誤ったために失敗に終わる。」と解説され、「九」の意味用法とした例で ある。一方、ベトナム語の「九」は最も大きい偶数である「十」と結び付けられ、 「多い」という意味を表す。例えば、「Chín người mười ý」「Chín nhớ mười thương」など。 「十」は実数で一番大きい偶数であり、両言語において「多い・すべて」 のことを示す慣用句がよく見られる。日本語の「十人十色」「十目の見る所」 「一から十まで」「一を聞いて十を知る」、ベトナム語の「Mười phân vẹn mười」 「Chín người mười ý」のような慣用句が例として挙げられる。 3.3.本章のまとめ 以上に日本語の慣用句において使われた数字の特徴的意味及び文化的要素 を考察・分析しながら、ベトナム語との比較を行った。本章の研究結果について は次のようにまとめる。 日本語とベトナム語の慣用句において使われた数字の特徴的意味について は第二章で述べた五つのグループに基づき、両言語ともこららのグループに属し ている意味を表す慣用句が見られる。その内で、最初の三つの数字である「一」 「二」「三」はよく使われ、「状態・程度・価値」「行為・動作・行動」に関 する意味を持っている場合が最も多い。それ以外の数字について、両言語におけ 52 る個数と出現頻度は差があるが、一般的に五つのグループに配分されている意味 を表す慣用句が存在している。 日本語の慣用句において使われた数字の文化要素に関しては、日本語は中 国文化の影響を受けたため、中国の数字文化と同様、「吉」と「凶」を表すとい う文化現象がある。語との組み合わせと共に、それぞれの数字も「縁起がいい」 と「不運・不吉」という二つの意味を持っている。日本語と同様に、ベトナム語 の慣用句において使われた数字も「吉」と「凶」を表すという文化現象があるが、 「凶」を表す場合がよく見られる。 実数を表さない数字の意味については上記のような分析と例からみると、 両言語においても抽象的な意味合いを示す用法を持っており、数字本来の数を表 さず、「数が尐ない」「多い、広い、広範」の意味を表す使い方がよく見られる。 53 結論と今後の課題 1.結論 本論文において日本語とベトナム語の「数字」を含む慣用句の形式的・統 語的・意味的な分類や考察を行ってきた。その結果、以下の通りに結論付ける。 第1章では日本語とベトナム語における「慣用句」の定義を取り上げ、両言 語における定義や概念を確認し、「二つ以上の語から成り、定型的な形式構成を 持ち、構成要素全体で一つの意味を表す固定された表現である」ことを見た。ま た、諺や熟語や連語などのような同類形との分別を行ない、これらの間に相違点 と共通点も取り上げた。他に、日本語における慣用句の意味という側面から見る と、ほとんどの日本の研究者は日本語の慣用句の比喩性を強調している。更に日 本語の慣用句を他の言語単位から分ける最大の条件は、意味の比喩製によるとい うことが考えられる。そのため、比喩性は日本語における慣用句の特徴的意味で あると言われている。また、慣用句も比喩も、その全体の意味を得ることはでき ない点では同じ条件にあり、両者が関連づけられる。慣用句の多くは比喩などの 修飾手法を使ってイメージを作り、そのイメージによって物事や道理を説明する。 第2章では、品詞別の特徴、意味的な特徴、形式上の特徴に基づき、考察・ 統計を行い、ベトナム語の慣用句を対照分析する。具体的には以下に述べるよう なものである。 日本語における199の慣用句とベトナム語における111の慣用句で使われ た数字の数について、日本語は19の数字、ベトナム語は16の数字がある。その中 で、両言語における同じ数字は「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、三 十六、百、千、万」という14の場合がある。他に別の数字も存在しているが、出 現頻度が尐ない。日本語は「十八、四十八、六十、七十五、八百」、ベトナム語 は「二十一、三十」のような場合が挙げられる。 一つの慣用句で用いられた数字の数は日本語においてもベトナム語にお いても一つの数字と二つ以上の数字が存在しているが、一つの数字を含む慣用句 は日本語のほうが数多く、170句である。一方、二つ以上の数字はベトナム語のほ うが多い。また、ベトナム語において三つの数字と四つの数字を使った慣用句も 存在している。 数字の出現頻度について、日本語においてもベトナム語においても「一」 「二」「三」という最初の三つの数字は多く、これらのうちで両言語の「一」は 最も高く、日本語で 122 回、ベトナム語で 48 回となった。 慣用句の分類に関しては、日本語もベトナム語も品詞性によると、慣 用句は動詞慣用句、形容詞慣用句と名詞慣用句の三つの種類に分けられているが、 それぞれの言語における構成は違うこともある。 54 形式に基づき分類すると、日本語にもべトナム語にも比喩形式と否定 形式とかさね形式という三つの種類がある。比喩形式の慣用句は主に直喩的慣用 句と隠喩的慣用句に分けられる。直喩的慣用句では「よう」「思い」などの比喩 指標が明示されるが、隠喩的慣用句では、比喩指標が明示されず、句の全体が比 喩的な意味を表す。 構成要素による意味的観点から見ると、両言語においても①感覚・感 情、②体・性格・態度、③行為・動作・行動、④状態・程度・価値、⑤社会・文 化・生活を表す五つのグループに属する慣用句が存在している。 第 章では日本語とベトナム語の慣用句において使われた数字の意味を 分析・対照しながら、両言語におえる数字の意味的特徴と文化要素を取り上げた。 研究結果によると、慣用句における数字の使い方については日本語もベトナム語 も共通点があると考えられている。具体的には次のように述べられる。 両言語において五つのグループに属する特徴的意味を表す慣用句が存 在している。 数字の文化要素については、日本語はベトナム語と同様に、「吉」と 「凶」を表すという文化現象がある。また、抽象的な意味合いを示す用法を持っ ており、数字本来の数を表さず、「数が尐ない」「多い、広い、広範」の意味を 表す使い方がよく見られる。 このように、日本語とベトナム語の慣用句における数字の意味用法を比 較することを通して、両国の数字文化の共通性について概観した。さらに、数字 が両国それぞれの文化背景において異なる文化要素を形成したこと、そして、数 字言語に含まれる文化的な意義を一側面ではあるが、両国の民族文化の特色とし て、垣間見ることができた。また、言語は孤立して存在しているのではなく、民 族文化に深く根を張り、その民族の価値観、信仰、民族感情を反映していること が見受けられる。慣用句における数字を言語とする運用を通して、改めて数字と 民族の生活、大自然との関係を理解することができ、数字がそれぞれの民族の文 化心理、思惟方式及び風俗、生活方式に深く影響を及ぼすことを再認識すること ができる。 2.今後の課題 本研究は論者にとっては、日本語とベトナム語慣用句については卒業論文 でも取り上げたが、日本語における数字を表す言葉を使った慣用句を考察・分析 しながら、ベトナム語と比較したものであり、能力・時間ともに限界があったこ とから、けっして十分とは言いかねる結果ではあるが、今回はここで一忚の区切 りをつけることにする。残された課題は尐なくないが、今後はベトナム語と日本 語の慣用句において、それぞれの数字の意味の、更に深い比較・対照分析を行い 55 たい。また、ベトナムの日本語教育では慣用句の理解を当人の自然の会得にまか せているのが現状であり、従来の慣用句の研究も統語論・意味論的な観点での比 較研究が多く、まだ日本語教育における体系的な研究までは行われていない。そ れゆえ、将来ベトナムの慣用句教育についても掘り下げた研究を行いたいもので ある。 56 参考文献 日本語の文献 1.松村明〔編〕(1988)『大辞林』、三省堂 2.山田忠雄〔主幹〕・柴田武・酒井憲二・倉持保男・山田明雄(1997)『新明解 国語辞典第五版』、三省堂 3.小川芳男・林大・他編集(1982)『日本語教育辞典』、大修館書店 4.井上宗雄(1992)『例解慣用句辞典』、創拓社出版 5.三省堂編集所(2010)『故事ことわざ・慣用句辞典第二版』、三省堂 6.教育研究東京国語部会・言語教育研究サークル著(1964)『語彙教育-その内 容と文法』、麦書房 7.益岡隆志・田窪行則(1992)『基礎日本語文法-改訂版』、くるしお出版 8.秋元美晴(2002)『よくわかる語彙』、アルク 9.斉藤純男(2010)『言語学入門』、三省堂 10 宮地裕(1982)『慣用句の意味と用法』、明治書院 11.籾山洋介(1997)「慣用句の体系的分類-隠喩・換喩・提喩に基づく慣用句的 意味の成立を中心に-」『名古屋大学国際国文学』80 号 ベトナム語の文献 Nguyễn Lân (2014),Từ điển thành ngữ tục ngữ Việt Nam, NXB Văn học, Hà Nội Hoàng Văn Hành (2008), Thành ngữ học Việt Nam, NXB Khoa học xã hội, Hà Nội Mai Ngọc Chừ (chủ biên), Nguyễn Thị Ngân Hoa, Đỗ Việt Hùng, Bùi Minh Tốn (2013), Nhập mơn ngơn ngữ học, NXB Giáo dục Việt Nam Nguyễn Thiện Giáp (2008), Giáo trình ngôn ngữ học, NXB Đại học Quốc gia Hà Nội Ngô Minh Thủy (2002), “Về hướng nghiên cứu so sánh đối chiếu thành ngữ” // Tạp chí khoa học (1) Ngơ Minh Thủy (2004), “Thành ngữ bốn yếu tố có từ số tiếng Hán, tiếng Nhật tiếng Việt” // Ngôn ngữ đời sống (11) Ngô Minh Thủy (2012), Thành ngữ thành ngữ học tiếng Nhật, NXB Giáo dục Việt Nam Hoàng Dũng, Đỗ Thị Hồng Nhung (2017), “Về số biểu trưng thành ngữ tục ngữ Hán (So sánh với tiếng Việt)” // Tạp chí khoa học (14) Giang Thị Tám, Khảo sát thành ngữ tiếng Hán có yếu tố số đối chiếu với thành ngữ tiếng Việt có yếu tố số, Luận án tiến sĩ lý luận ngôn ngữ, 2001 57 付録 付録 1.日本語における数字を表す言葉を使った慣用句 順 テーマ 慣用句 状態・程度・価値-【十分・不十分】 一忚も二忚も 体・性格・態度-【積極的】 一か八か 状態・程度・価値-【全部】 一から十まで 状態・程度・価値-【すぐ・すぐに】 一議に及ばず 体・性格・態度-【強情・頑固・意地】 一言居士 社会・文化・生活-【人生・一生】 一基一会 状態・程度・価値-【同じ・同一・同様】 一事が万事 行為・動作・行動-【待つ】 一日千秋の思い 状態・程度・価値-【すぐれる】 一日の長 10 社会・文化・生活-【災難】 一難去ってまた一難 11 行為・動作・行動-【参加】 一枚噛む 12 体・性格・態度-【自信】 一枚看板 13 状態・程度・価値-【同じ・同一・同様】 一派通じる 14 行為・動作・行動-【捕らえる】 一網打尽 15 感覚・感情-【尊敬】 一目置く 16 状態・程度・価値-【すぐ・すぐに】 一も二もない 17 状態・程度・価値-【無駄・無用】 一文にもならない 18 行為・動作・行動-【負担・担う】 一翼を担う 19 行為・動作・行動-【協力・共謀】 一蓮托生 20 体・性格・態度-【賢い・見識】 一を聞いて十を知る 21 社会・文化・生活-【出世】 一家を成す 22 状態・程度・価値-【終わり・終わる】 一巻の終わり 23 社会・文化・生活-【利益】 一挙両得 24 行為・動作・行動-【考える】 一計を案じる 25 行為・動作・行動-【考える】 一考を要する 26 状態・程度・価値-【差し迫る】 一刻を争う 27 状態・程度・価値-【続く】 一再ならず 28 行為・動作・行動-【証明】 一札入れる 29 体・性格・態度-【身なり】 一糸も纏わない 30 状態・程度・価値-【雑然・整然】 一糸も乱れない I 31 体・性格・態度-【軽蔑・あなどる】 一笑に付する 32 状態・程度・価値-【失敗】 一生の不作 33 社会・文化・生活-【恥辱・不名誉】 一笑を買う 34 状態・程度・価値-【危険】 一触即発 35 行為・動作・行動-【攻撃・反撃】 一矢を報いる 36 状態・程度・価値-【不明瞭】 一寸先は闇 37 社会・文化・生活-【人生・一生】 一世一代 38 社会・文化・生活-【有名】 一世を風靡する 39 社会・文化・生活-【利益】 一石二鳥 40 体・性格・態度-【雄弁・多言】 一席打つ 41 社会・文化・生活-【もてなし】 一席設ける 42 状態・程度・価値-【影響】 一石を投じる 43 行為・動作・行動-【戦う】 一戦に及ぶ 44 状態・程度・価値-【区別・区切る】 一線を画する 45 行為・動作・行動-【戦う】 一戦を交える 46 状態・程度・価値-【务る】 一籌を輸する 47 体・性格・態度-【強請・頑固・意地】 一点張り 48 状態・程度・価値-【すぐれる】 一頭地を出だす 49 状態・程度・価値-【すぐれる】 一頭地を抜く 50 行為・動作・行動-【行く・歩く】 一途を辿る 51 行為・動作・行動-【だます・出し抜く】 一杯食わす 52 状態・程度・価 値-【負 ける・降伏 ・屈 伏】 一敗地に塗れる 53 行為・動作・行動-【威嚇・威圧】 一発嚙ます 54 行為・動作・行動-【証明】 一筆入れる 55 行為・動作・行 動-【助 ける・援助 ・助 力】 一臂を仮す 56 感覚・感情-【愉快】 一服の清涼剤 57 行為・動作・行動-【殺す】 一服盛る 58 体・性格・態度-【協調】 一歩を譲る 59 状態・程度・価 値-【負 ける・降伏 ・屈 伏】 60 状態・程度・価 値-【負 ける・降伏 ・屈 伏】 II 一本取られる 一本参る 61 状態・程度・価値-【順序】 いの一番 62 行為・動作・行動-【協力・共謀】 打って一丸となる 63 体・性格・態度-【強情・頑固・意地】 老いの一徹 64 行為・動作・行動-【攻撃・反撃】 押しの一手 65 行為・動作・行動-【非難】 一昨日来い 66 行為・動作・行動-【言う】 開口一番 67 状態・程度・価値-【わずか・尐ない】 紙一重の差 68 状態・程度・価値-【危険】 危機一髪 69 行為・動作・行動-【手段・方法・方策】 窮余の一策 70 状態・程度・価値-【同じ・同一・同様】 軌を一にする 71 状態・程度・価値-【同じ・同一・同様】 揆を一にする 72 状態・程度・価値-【すぐれる】 鶏群の一鶴 73 状態・程度・価値-【ふさわしい】 好一対 74 状態・程度・価値-【目立つ】 紅一点 75 行為・動作・行動-【努力】 虚仮の一念 76 行為・動作・行動-【努力】 虚仮の一心 77 体・性格・態度-【変心】 心機一転 78 状態・程度・価値-【わずか・尐ない】 滄海の一粟 79 状態・程度・価値-【結局・つまり】 大山鳴動して鼠一匹 80 社会・文化・生活-【天候】 台風一過 81 状態・程度・価値-【役立つ】 茶服も一時 82 行為・動作・行動-【忠告】 頂門の一針 83 状態・程度・価 値-【決 定・決着・ 決め る】 鶴の一声 84 体・性格・態度-【得意】 馬鹿の一つ覚え 85 社会・文化・生活-【貧乏・貧しい】 裸一貫 86 行為・動作・行動-【だます・出し抜く】 腹に一物 87 感覚・感情-【驚く・驚かす】 一泡吹かせる 88 行為・動作・行動-【休む・くつろぐ】 一息入れる 89 行為・動作・行動-【参加】 一口乗る 90 状態・程度・価値-【困る・困難】 一筋縄では行かない 91 状態・程度・価値-【簡単・容易】 一溜まりもない 92 社会・文化・生活-【仲間・同類】 一つ穴の貉 93 社会・文化・生活-【仲間・同類】 一つ釜の飯を食う III 94 社会・文化・生活-【血縁・夫婦・他人】 一粒種 95 社会・文化・生活-【名誉】 人は一代名は末代 96 社会・文化・生活-【出世】 一旗揚げる 97 行為・動作・行 動-【助 ける・援助 ・助 力】 一肌脱ぐ 98 社会・文化・生活-【出世】 一花咲かせる 99 行為・動作・行動-【負担・担う】 一役買う 100 社会・文化・生活-【利益】 一山当てる 101 状態・程度・価値-【切り抜ける】 一山越す 102 行為・動作・行動-【意気込む】 一人相撲を取る 103 状態・程度・価値-【現れる】 氷山の一角 104 感覚・感情-【真心】 貧者の一灯 105 状態・程度・価値-【忙しい】 盆と正月が一緒に来たよう 106 状態・程度・価値-【雑然・整然】 味噌も糞も一緒 107 感覚・感情-【記憶】 胸が一杯になる 108 行為・動作・行動-【だます・出し抜く】 胸に一物 109 体・性格・態度-【変心】 面目を一新する 110 状態・程度・価値-【すぐれる】 役者が一枚上 111 行為・動作・行動-【干渉・口出し】 指一本も差させない 112 状態・程度・価値-【似る】 瓜二つ 113 状態・程度・価値-【大切・大事】 命からの二番目 114 体・性格・態度-【才能】 天は二物を与えず 115 状態・程度・価値-【無駄・無用】 二階から目薬 116 社会・文化・生活-【約束】 二世の契り 117 社会・文化・生活-【職業】 二足の草鞋 118 状態・程度・価値-【藭地・苦境】 二進も三進も行かない 119 状態・程度・価値-【続く】 二度あることは三度ある 120 二兎を追う者は一兎をも得 状態・程度・価値-【失敗】 ず 121 感覚・感情-【ためらう・迷う】 二の足を踏む 122 感覚・感情-【あきれる】 二の句が継げない 123 状態・程度・価値-【順序】 二の次にする 124 状態・程度・価値-【失敗】 二の舞 125 行為・動作・行動-【手段・方法・方策】 二の天が継げない IV 126 状態・程度・価値-【平凡】 二番善事 127 行為・動作・行動-【偽る・偽り・うそ】 二枚舌を使う 128 社会・文化・生活-【罪・罰】 人を呪わば穴二つ 129 社会・文化・生活-【約束】 武士に二言なし 130 行為・動作・行動-【選ぶ】 二つに一つ 131 状態・程度・価値-【すぐ・すぐに】 二つ返事で 132 体・性格・態度-【軟弱・柔弱】 二股膏薬 133 行為・動作・行動-【手段・方法・方策】 二股を掛ける 134 体・性格・態度-【容姿・容貌】 二目と見られない 135 感覚・感情-【欲望・欲求・貪欲】 欲と二人連れ 136 行為・動作・行 動-【耐 える・我慢 ・忍 耐】 石の上にも三年 137 体・性格・態度-【悪口・無駄口・理屈】 女三人寄れば姦しい 138 社会・文化・生活-【礼儀】 三顧の礼 139 感覚・感情-【尊敬】 三舎を避ける 140 状態・程度・価値-【成果・効果・成功】 三度目の正直 141 状態・程度・価値-【成果・効果・成功】 三度目は定の目 142 行為・動作・行動-【相談】 三人寄れば文殊の知恵 143 行為・動作・行動-【頼む・頼る】 三拝九拝 144 状態・程度・価値-【すぐれる】 三拍子揃う 145 体・性格・態度-【話しぶり】 舌先三寸 146 状態・程度・価値-【正当・道理】 盗人にも三分の理 147 感覚・感情-【怒る・怒り】 仏の顔も三度 148 状態・程度・価値-【いつも・絶えず・常 に】 三日にあげず 149 社会・文化・生活-【人生・一生】 三日見ぬ間の桜 150 社会・文化・生活-【習慣・癖】 三つ子の魂百まで 151 体・性格・態度-【秘密・秘める・沈黙】 胸三寸に納める 152 体・性格・態度-【秘密・秘める・沈黙】 胸三寸に畳む 153 感覚・感情-【怒る・怒り】 目を三角にする 154 社会・文化・生活-【教育・教え】 孟母三遷の教え 155 感覚・感情-【恥ずかしい】 冷汗三斗 156 感覚・感情-【不満・不平・文句】 四の五の言う 157 行為・動作・行動-【争う】 四つに組む V 158 状態・程度・価値-【平穏・不穏】 四海波静か 159 状態・程度・価値-【多い】 五指に余る 160 体・性格・態度-【おとなしい】 総量の甚六 161 状態・程度・価値-【手遅れ】 六日の菖蒲十日の菊 162 社会・文化・生活-【習慣・癖】 なくて七癖あって四十八癖 163 体・性格・態度-【丁寧・丁重】 七重の膝を八重に折る 164 社会・文化・生活-【人生・一生】 七転び八起き 165 状態・程度・価値-【役立つ】 七つ道具 166 行為・動作・行動-【見抜く】 岡目八目 167 体・性格・態度-【才能】 口も八丁手も八丁 168 行為・動作・行動-【こびる・迎合】 八方美人 169 状態・程度・価値-【藭地・苦境】 八方塞がり 170 体・性格・態度-【わがまま・放縦】 八方破れ 171 感覚・感情-【心配・悩み・不安】 額に八の字を寄せる 172 状態・程度・価値-【切り抜ける】 九死に一生を得る 173 状態・程度・価値-【切り抜ける】 九仞の功を一箕に虧く 174 状態・程度・価値-【多い】 十指に余る 175 行為・動作・行動-【認める】 十指の指す所 176 状態・程度・価値-【無価値】 十把一絡げ 177 社会・文化・生活-【罪・罰】 十字架を負う 178 感覚・感情-【好む・好み】 十人十色 179 行為・動作・行動-【認める】 十目の見る所 180 体・性格・態度-【容姿・容貌】 鬼も十八番茶も出花 181 行為・動作・行動-【手段・方法・方策】 三十六計逃げるに如かず 182 行為・動作・行動-【修練・練習】 六十の手習い 183 社会・文化・生活-【噂】 人の噂も七十五日 184 社会・文化・生活-【目的・目標】 百年の計 185 状態・程度・価値-【失敗】 百年の不作 186 状態・程度・価値-【窮地・苦境】 百年目 187 行為・動作・行動-【見る】 百聞は一見に如かず 188 行為・動作・行動-【会う・訪れる】 お百度を踏む 189 社会・文化・生活-【習慣・癖】 雀百まで踊り忘れず 190 感覚・感情-【納得】 百も承知 191 行為・動作・行動-【偽る・偽り・うそ】 嘘八百を並べる VI 192 体・性格・態度-【厚かましい・ずうずう しい】 海千山千 193 状態・程度・価値-【時機・好機】 千載一遇 194 社会・文化・生活-【評価・評判・批判】 悪事千里を走る 195 社会・文化・生活-【評価・評判・批判】 悪事千里を行く 196 状態・程度・価値-【失敗】 千慮の一失 197 状態・程度・価値-【窮地・苦境】 万策尽きる 198 感覚・感情-【あきらめる・断念】 万事休す 199 状態・程度・価値-【必ず】 万難を排する VII 付録 2.ベトナム語における数字を表す言葉を使った慣用句 順 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 慣用句 Ba bảy hai mốt ngày Ba bè bảy mảng Ba bề bốn bên Ba voi không bát nước sáo Ba cọc ba đồng Ba cơm bảy mắm Ba cha bảy mẹ Ba chân bốn cẳng Ba chìm bảy Ba dây bảy mối Ba đầu sáu tay Ba hồn bảy vía Ba máu sáu Ba mặt lời Ba mươi sáu chước Ba năm kiếm củi thiêu Ba que xỏ Bắt cá hai tay Bốn phương tám hướng Cáo chết ba năm quay đầu núi Có khơng hai Con cha nhà Chẻ sợi tóc làm tư Chỉ tay năm ngón Chia năm sẻ bảy Chín bỏ làm mười Chín đụn mười trâu Chín người mười ý Chín nhớ mười thương Đâm ba chày củ Đầu hai thứ tóc Địn xóc hai đầu Hai bàn tay trắng Hai đấm đạp Hai năm rõ mười 順 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 VIII 慣用句 Một tiền gà ba tiền thóc Một thân Một trời vực Một vốn bốn lời Một vừa hai phải Mớ ba mớ bảy Muôn người Mười phân vẹn mười Mười voi không bát nước sáo Năm cha ba mẹ Năm châu bốn biển Năm mười họa Năm giềng ba mối Năm lần bảy lượt Năm liệu bảy lo Năm nắng mười mưa Năm tao bảy tiết Năm thê bảy thiếp Năm thỉnh mười thoảng Ngàn cân treo sợi tóc Ngàn năm có Ngày ba tháng tám Ngày ngày hai Nhất cử lưỡng tiện Nhất cử động Nhất hô bách ứng Nhất nghệ tinh, thân vinh Nhất thành bất biến Quân tử ngôn Như hai giọt nước Tam khoanh tứ đốm Tiếng tiếng hai Tối đêm ba mươi Thiên biến vạn hóa Thiên binh thiên tướng 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 Hai sương nắng Hai tay bng xi Hai thứ tóc đầu Hai thưng đấu Kẻ tám lạng người nửa cân Khách ba chúa nhà bảy Len lét rắn mùng năm Mồm năm miệng mười Một Một cổ hai trịng Một cơng đơi việc Một cốt đồng Một chín mười Một chốn đôi quê Một hội thuyền Một mười ngờ Một bóng Một ngày chài hai ngày phơi lưới Một sống hai chết Một sống mái Một sớm chiều 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 IX Thiên binh vạn mã Thiên hình vạn trạng Thiên niên vạn đại Thiên phương bách kế Thiên sơn vạn thủy Thiên tải Trăm cơng ngàn việc Trăm dâu đổ đầu tằm Trăm đắng ngàn cay Trăm hồng nghìn tía Trăm khơn nghìn khéo Trăm mưu nghìn kế Trăm phát trăm trúng Trăm tay nghìn mắt Trăm thứ Bà Giằn Trăm trận trăm thắng Uốn ba tấc lưỡi Vạn bình an Vạn ý Vạn tử sinh