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ベトナムにおけるアクティブラーニング形式のディベートオンライン授業の試みーハノイ工業大学の学生の学習意欲の向上と協働学習の効果に注目して (CUA TRUONG DAI HOC VIET NHAT)

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THÔNG TIN TÀI LIỆU

Thông tin cơ bản

Tiêu đề An Attempt at Debate Online Classes in the Active Learning Format in Vietnam - Focusing on the Improvement of Students' Learning Motivation and the Effects of Collaborative Learning at Hanoi University of Technology
Tác giả Xuan Minh Nguyen
Người hướng dẫn Satoshi Miyazaki, Professor
Trường học Vietnam National University, Hanoi
Chuyên ngành Japanese Language Education
Thể loại Master's Thesis
Năm xuất bản 2023
Thành phố Hanoi
Định dạng
Số trang 79
Dung lượng 1,6 MB

Cấu trúc

  • 第一章 研究背景及び目的 (0)
    • 1.1 研究の背景 (8)
    • 1.2 ベトナムにおけるディベート授業と協働学習の導入 (10)
    • 1.3 ハノイ工業大学における日本語教育の事情 (11)
    • 1.4 問題意識 (14)
    • 1.5 研究の目的・意義 (15)
    • 1.6 本研究の構成 (16)
  • 第二章 先行研究 (0)
    • 2.1 日本語教育における協働学習及びディベートに関する学習意欲の先行研究 (17)
    • 2.2 オンライン型のディベート授業における学習意欲に関する先行研究 (20)
  • 第三章 研究方法 (0)
    • 3.1 本研究のディベート実践授業 (21)
    • 3.2 調査目的と調査協力者 (26)
    • 3.3 調査方法 (26)
      • 3.3.1 インタビュー調査 (26)
      • 3.3.2 アンケート調査 (27)
      • 3.3.3 分析方法 (27)
  • 第四章 研究結果と考察 (0)
    • 4.1 ディベート授業及び協働学習に対する認識 (33)
      • 4.1.1 ハノイ工業大学の日本語教師の認識 (33)
        • 4.1.1.1 教師の日本語授業におけるディベート授業の導入状態 (34)
        • 4.1.1.2 教師が担当した授業における学習意欲と協働学習の役割 (35)
        • 4.1.1.3 協働学習を用いるディベート授業に対する教師の期待 (37)
      • 4.1.2 ハノイ工業大学の日本語学部の学習者の認識 (38)
    • 4.2 学習者の学習意欲において、協働学習を用いるディベート授業の効果 (40)
      • 4.2.1 学習意欲に関する効果 (40)
      • 4.2.2 ディベート授業において協働学習と学習意欲の関連 (46)
        • 4.2.2.1 ディベート授業において協働学習の結果 (46)
        • 4.2.2.2 ディベート授業において協働学習と学習意欲の関連 (50)
      • 4.2.3 学習意欲の効果において対面型のディベート授業の課題 (52)
    • 4.3 学習意欲において、オンラインと対面ディベート授業での相違点 (53)
      • 4.3.1 オンライン型のディベート授業において、学習意欲の変更 (53)
      • 4.3.2 学習意欲において、対面型とオンライン型のディベート授業の比較 (58)
    • 4.4 ディベート授業において、学習意欲に影響を及ぼす要素 (61)
  • 第五章 結論 (0)
    • 5.1 リサーチクエスチョンへの答え (63)
      • 5.1.1 リサーチクエスチョン 1 への答え (63)
      • 5.1.2 リサーチクエスチョン 2 への答え (64)
      • 5.1.3 リサーチクエスチョン 3 への答え (65)
    • 5.2 学習意欲を高めることに関する提言 (66)
    • 5.3 本研究の限定と今後の課題 (67)

Nội dung

ベトナムにおけるアクティブラーニング形式のディベートオンライン授業の試みーハノイ工業大学の学生の学習意欲の向上と協働学習の効果に注目して CUA TRUONG VIET NHAT DAI HOC QUOC GIA HA NOI

研究背景及び目的

研究の背景

1973 年にベトナムと日本の外交関係が確立されてから 2023年現在で 50 年が経過した。特に

国連や ASEAN での緊密に協力し続けながら、広範範囲における戦略的パートナーシップとして 連携している。経済協力に関しては、日本はベトナムの主要な経済パートナーとなっている。 日本はベトナムの最大のODAスポンサーで、第 2 位の投資国、第4 位の貿易相手国であり、ベ トナムと日本は継続的で緊密な外交関係にある。そうした状況において、ここ数年 ベトナム での日本語学習者の人数が増加している。国際交流基金(2022)「2021 年度 海外日本語教育 機関調査」によると、ベトナム人の日本語学習者の人数は 169,582 人となっており、2018 年度 海外日本語教育機関調査に比べて 4,939人増加しており、学習者は世界では6位、東南アジアで は3位となっていると述べている。両国間の交流活動が拡大しているのはベトナムの学習者の 増加が要因の一つと言える。外交だけだはなく、経済、政治、文化、社会的な分野にまで連携 活動を行っていることが、日本語教育の広がりに影響を与えている。その背景には、ベトナム と日本の両国政府は、日本語教育がベトナムと日本の関係には重要性であると認識したうえで、 日本語教育における協力関係に大きな関心を払ってきたことがあげられる。

2008 年から 2020 年までの期間でベトナムの教育訓練省によって指名され、2008年に政府に よって承認されたベトナム教育組織における外国語の教育と学習の提案には、英語を始め、中 国語、ドイツ語の外国言語をベトナムの学校に導入している。また、2016年から2026年まで、 ベトナム教育組織における日本語教育提案により、2003 年から中等教育機関において日本語の 導入を開始した。現在、ベトナムの日本語教育は初等・中等・高等教育まで行われている。ベ トナムの日本語教育の特徴は学習者の人数が多いことの他には、中等・高等教育における日本 語学習者の人数に比べて、学校教育以外の民間セクターにおける学習者の人数がかなり多いと いうことである。

2013 年 5 月、ベトナムの文部科学省と日本の外務省は、ベトナムでの日本語教育に関する平

成25年7月30日付第2840/BC-BNG-LPQT外務省報告を出した。 2014 年 3 月、ベトナムの文部

科学省は日本の文部科学省と共同で、教育協力に関する戦略的プログラムに署名した。 日本は、人材育成においてベトナムを積極的に支援し、ベトナムでの日本語教育を促進すると決定した。また、ベトナムの職業能力基準を構築することにも連携している。ベトナムと日本の協力は、包括的、戦略的、多面的な協力である。その中で、長期的な協力分野としては、日本語教育においての協力である。日本語教育における緊密な協力は、双方に多くの利益をもたらし、ベトナムと日本の間のビジネスおよび文化の交流活動をさらに拡大することに貢献している。

また、2022年11月24日の国際交流基金の報告書(海外日本語教育機関調査)によると、2021 年のベトナムでの教育段階別学習者数は学校教育以外の学習者数が 89,254 人、学校教育のほぼ 2倍だと報告している。学校教育以外の民間セクターにおける学習者の人数が尐ない東南アジ ア諸国のインドネシア、タイ等と比較して、ベトナムの教育段階別学習者数は状況が異なって いる。

しかし、教育段階別学習者数の構成比はベトナムの日本語教育におけるいくつかの未解決の課 題に繋がる。一つ目は日本語教師の教育の能力である。ベトナムと日本の外交関係により、日 本からの技術移転を受ける企業で働くために、日本語で話せる人材が求められている。そのた め、日本語教師は、文化的なニーズや社会的なニーズに応じる必要がある。したがって、学校 教育以外の日本語学習者数が多いというベトナムの状況はベトナムでの日本語の教育と学習に 深く関係してる。しかし、現在まで日本語教育と学習は、高等教育や学校教育以外のセンター しかで行っていない。 その結果、現在の日本語教師の基礎的な教育能力がなくて、ほとんどの ベトナム人の日本語教師は日本語能力の証明書しか持っておらず、教育の証明書を持っていな い。日本語教師の質はベトナムの日本語教育の条件を満たすとは言い難しい。

産業化・近代化という新時代のニーズに応えるため、労働者の人材の育成は、専門知識や資格 だけでなく、グローバルスキルに対応した実践的な能力を身につけることが求めらまれる。 そ のため、国際的な交流がある社会で働く人材にとって、職場での流暢な言語能力があるのは採 用・昇進の条件の一つである。 したがって、外国語の学習の効果を高め、学習者の学習意欲を 維持することが非常に必要になる。 日本語教育も例外ではない。ベトナム人の学習者は伝統的 な教育に慣れ、新言語教育方法に対応できないため、言語能力とコミュニケーションスキルが 低く、教室での日本語学習に対して学習意欲をなくしてしまっている可能性と考えることがで きる。したがって、現在のベトナムでは日本語教育能力が十分ではなく、教師数が不足してい るというベトナム日本語教育の背景における課題に取り組むためには、日本語学習者の学習意 欲をどのように維持し、高めるのかを明確にする必要がある。

現在、日本語教育を行っている高等教育機関では様々な教育方法を導入している。多くの方法は教師を中心とした伝統的な教授法から学習者を中心とする教授法への転換している。学習者を中心として、学習者の主体性の向上を目指し、アクティブラーニングが注目されている。アクティブラーニングとは「発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習などが含まれると定義されるため、学習者の主体性を向上するために、効率的な教授法と思われる。また、アクティブラーニング活動に参加すると、それぞれの問題が議論され、グループのメンバーは、他のメンバーから話を聞いて多様な視点やアイデアを吸収することからお互いに了解するようになる。それは学習者の学習動機を向上することと学習者の主導権を発揮することにとって重要なことである。したがって、グループ間に多くの相談や積極的インタラクションが可能な社会的

環境で行われると、学習や研究に効果があるということができる。学習者の主体性を促進しな がら課題を深く学んでいくことで、専門的な知識の学習で必要な学習技能を充実させていくこ とがアクティブラーニングの利点である。

アクティブラーニング教授法の効果を認識して、近年、ベトナムの教育ではアクティブラー ニング教授法を様々な科目に導入している。先に導入したのは英語分野である。D.V Hung

(2006)はベトナムにおける教師養成のための英語学習者に関する研究を行い、外国語のアク ティブラーナー(能動的学習者)について調査を行い、分析を行った。その研究結果によると、 アクティブラーナーに関する概念などについて教師と学習者の考えには「積極性」のギャップ があると述べられている。

しかし、日本語教育分野では、ベトナムでアクティブラーニング教授法に関する研究が尐な

い。 C.L.D Chi(2017)は「アクティブラーニングに向けた日本語カリキュラム改善のための

教員の役割―プロジェクト型学習を実施するホーチミン市師範大学の試み」の研究において、

ベトナムにおけるディベート授業と協働学習の導入

大山(2013)は、アクティブラーニングでの代表的なグループ技法には、汎用性の高い方法、 構造化された方法、多人数クラスでの工夫が必要であり、その構造化された方法にはディベー トが授業の総括段階できわめて有効な活動であると述べている。

ディベートは学習者のスキルの組み合わせることが必要である。例えば、 批判的思考、コミ ュニケーションスキル、研究能力、チームワーク、メモのスキルなどである。ディベートは言 語交換プロセスを通じて、学習者は論理的な議論によって自分の視点が正しいことを証明する 必要がある。 これは、課題を共通の理解に達するために効果的な方法である。 したがって、デ ィベートは、言語を使用する能力を発揮し、考察力を発達し、思考を向上する方法であるので はないだろうかと考えられる。

また、ディベート授業には学習者が主人公となり、「調べる」「考える」「整理する」「話す」「聞く」「書く」「読む」などの学習活動を一体的に行うことができる。それに、ディベート授業には主体的に学習するための要素として、学習意欲と協働学習を挙げている。これらの理由から、現在のベトナムの英語教育におけるディベート授業に対して人気がある。現在、ベトナムではディベート授業は、主に中等教育から高等教育までの学習者に向け導入されている。 しかし、それは学校教育以外でしか行われておらず、学校の科目として導入されているこ

とわけではない。外国語の学習者が外国語を運用し、経済的および社会的問題に関する個人的 な見解を表明することを奨励するため、 学生に向けた質の高いディベートコンテストが毎年開 催さている。例: 小学生向けの World Scholar Cup、中学生向けのVietnam Middle Debate Contest、 Hanoi Debate Tournament 、Vietnam British Parliamentary コンテスト、大学生向けの National Debate Tournament コンテストである。

しかし、日本語教育におけるディベート授業の応用はまだ見られない。 ディベートに関する 研究も尐ない。日本語教育におけるディベート授業の科目もほとんどない。したがって、本研 究ではベトナムの高等教育機関における日本語教育にディベート授業を導入することで、学習 者の学習に対してどんな効果があるかを明らかにしたい。

また、ベトナムにおける協働学習の導入の状態は明確的になさてない。Mai Nguyen (2012)に よると、ベトナムの学習方法には Học nhóm グループ学習として学校の授業後に親しい友人の グループの間で自発的に行われ、自発的に集まり、誰にとっても便利な場所、通常は生徒の自 宅で学びの学習方法であった。 1980 年代に広く採用されたもう 1 つの学習方法は、Đôi bạn cùng tiến (2 人の友人が前進すること) によるものであった。このペアは、学力だけでなく、家

族との距離、交友関係、家族関係、性格などを考慮して形成される。しかし、2000 年から協働学習が授業に導入することを勧めていて、学習の効果に与えていると認めた。ただし、英語教育の協働学習の導入に関する先行研究が多いが、日本語教育において協働学習がどのように展開しているかについて先行研究が尐ない。

ハノイ工業大学における日本語教育の事情

ハノイ工業大学は、ベトナムの技術系総合大学で、理科教育で 120 年の歴史がある大学である。

学習者のニーズに応じて、様々な科学部門が設立されている。外国言語学部はハノイ工業大学 の科学部門の一つである。2020 年、外国言語学部と観光学部を組み合わせて外国語観光学校が 新設されている。

外国語観光学校では、英語専攻・中国専攻・日本語専攻・韓国専攻という四つの部門を取 り組んでいる。日本語学部は、質の高い日本語人材を労働市場に提供するために、学生の総合 的な能力の促進と日本語運用能力の向上の要求に基づいたカリキュラムの構質が構築されてい る。基礎的日本語、職業倫理、日本文化に関する日本語知識とコミュニケーションスキルを学 習者に提供している。特に、科学・観光分野での仕事の要求に応じて、科学・技術専門の日本 語、ビジネス日本語・観光専門の日本語を2つの主な専攻にして学生を育成している。

表1.1:ハノイ工業大学の日本語学部に学習者の人数

No 日本語教育プログラム 学習者の人数

1 日本語を専攻する学生 219

2 日本語を専攻しない学生 292

3 日本語短期コースの学生 540

ハノイ工業大学の外国語観光学校の日本語学部にある学習者の人数は表 1 の通りである。現 在の学習者数は日本語を専攻する学生が219人、専攻しない学生が292人、短期コースの学生が

540人、総人数は1051人である。

日本語教育カリキュラムは最初の2年間で、基礎日本語を学び、初中級レベルの日本語のプロ グラムである。この2年間は主な教科書は「みんなの日本語」のシリーズである。それから、科 目によって、使用する教科書が異なる。例えば、会話の授業での教科書は「まるごとA2/B1」で、 文法の授業での教科書は「新完全マスターN3」である。中上級レベルの日本語能力に達し、通 訳や翻訳の専門的な科目を勉強する3年生の学習者は科学技術専門の日本語、ビジネス・観光専 門の日本語という専攻を自由に選ぶことができる。四年生の学習者は国内、あるいは海外の企 業でインターンシップ経験し、最終的に卒論論文を執筆する。

また、外国語観光学校の日本語学部の教員数は 15人である。その中で、博士後期課程在学中

は 1人、修士課程は 6人、修士課程中は 4人である。JICAの派遣教員は1人である。すべての 教員は20代~30代、日本語研究及び日本語教育経験がまだ浅いという状態である。

ハノイ工業大学の外国語観光学校の日本語学科は設立されていてから10年間未満なので、 まだ未解決の課題が多く存在している。例えば、日本語の教育の質と学習の言語能力、日本語 教師の能力、日本語教師の不足などである。その中での、もっとも重要な課題は日本語学習者 の学習意欲の維持である。

上述の問題につながる多くの要因がある。 そのうちの 1 つは、ハノイ工業大学の外国語観光学校の日本語学部の合格最低点のことである。ベトナムの大学では、能力評価試験の結果による入学方法で外国語学部への入学を検討され、学習者は外国語の最終試験で6点、志望する大学の所定の成績以上を取得すれば、応募の資格が得られる。以下はハノイ市にある日本語学部のある大学の合格最低点の表である。

表1.2:ハノイ市にある日本語学部のある大学の合格最低点の表

ハノイ大学 日本語専攻

ハノイ国家大学 言語大学 日本語専攻

ハノイ貿易大学 言語大学 日本語専攻

ハノイ工業大学 外国言語学校 日本語専攻

参考:https://huongnghiep.hocmai.vn/diem-nganh/ngon-ngu-nhat/閲覧日:2023年4月20日

表1.2によると、ハノイ工業大学の外国語観光学校の日本語学部の入学点はハノイ市での他の 大学の外国語学部に比べて低いことがわかった。さらに、外国語学部の日本語学習者の一般的 な能力は依然としていいと言えない。 その結果、学習者の日本語学習に対する習得能力に影響 を与え、学習者の学習意欲を低下させることに繋がる可能性があると考える。

また、筆者の経験から、ハノイ工業大学の外国語観光学校の日本語学部での日本語教育の主な 方法は、学習者ではなく、教師を中心とした伝統的な教授法である。 教師は知識の伝達者とし て役割があり、学習者は受講者として聞く。 そのため、学習者の自発性、創造性、思考能力を 促進することはできないため、学習者の受動的な学習方が形成されている。日本語のような難 しい言語の学習にとっては、長年の受動的な学習経験から、学習者の日本語学習への学習意欲 を失い、学習成果の低下や学習に必要なスキルが形成されていない。これは、教師の日本語教 育方法や教師能力の制限、教科書の問題が三つの理由である。 したがって、様々なアクティブ 化教育方法を導入してから、学習者の主体的学習を促進し、学習者の日本語学習への学習意欲 を向上させる必要があると考えている。

コロナウイルスの感染拡大の影響により、ベトナムの日本語教育も新しい状況に適応するため の対策が求められている。 多くの大学では、オンライン学習を実施している。ハノイ工業大学 の外国学校の日本語学科も例外ではない。 授業の内容はオンライン学習環境に合わせて変更で きるように設計され、学習者は自宅で学習できるため、学校への移動時間を節約できるのはオ ンライン型の授業のメリットである。

ただし、筆者の経験から、オンライン授業では、十分に集中できない学習者数は多いと見受けられた。このことから長時間のオンライン授業を受講するのは学習者の集中力に影響を与えると考えている。 また、ネットワークの通信速度、オンライン授業中の教師の指導方法などはオンライン授業での学習者の学習意欲に影響を与えるのだろう。コミュニケーションスキルを向上させるために、理論と実践の両方やグループ活動が必要である言語授業では、学習者の学習意欲に対するオンライン型の授業の効果はまだ不明であると考えている。

問題意識

世界経済が発展していることを背景として、国際的な労働市場に対応できる質の高い人材を育 成する必要性が高まっている。 実践的な知識、決定能力、分析・統合能力などの知識とスキル を備えた人材を育成するのは不可欠である。 これは大学などの高等教育の役割のではないだろ うか。 国際交流と経済開発の背景には、外国言語教育は政府の政策の中心的な分野の 1 つであ る。

日本は、ベトナムの主要な経済投資国家の 1 つであり、ベトナムの経済と労働市場の発展に強

い影響を与えている。 そして、質の高い若手人材の深刻な不足状況がある日本企業やベトナム における日系企業の労働市場のニーズに応えるためには、ベトナムの大学における日本語教育 に対する需要が高まっている。 そのため、近年ベトナムの日本語の学習者が急増している。 国 際交流基金(2022)「2021 年度 海外日本語教育機関調査」国際交流基金の報告書」によると、 ベトナムは、東南アジアで急速に日本語学習者数が増加している国になっているとわかった。

日本語学習者は、知識と能力を向上させるために、日本語を学びながらさまざまな分野で知 識を蓄積し、スキルを練習し、積極的な学習をとる必要がある。しかし、ベトナムの学習者に とって、日本語は難しい言語である。 言語にあるアルファベット、文法の違いや文化の違いは、 ベトナム人学習者にとって日本学習の障壁となる。 したがって、日本語学習の知識とスキルを 向上させるという目標を達成するためには、学習過程で学習意欲を維持することが非常に重要 である。

現在のベトナムの日本語の高等教育には教師の不足、不十分な教師能力、伝統的な教授法な どの多くの欠点がある。そのため、ベトナムの日本語教育において、ハノイ工業大学の外国言 語学校の日本語学部の学習者の学習意欲を維持することはまだ多くの困難に直面している。 し たがって、教師の数の補充、教師の能力の向上といった教師に関する解決策を実施することに 加えて、学習者を中心とする現代的な教授法の導入により、日本語学習への学習者の学習意欲 を向上させ、学習者のモチベーションを維持することができると考えている。

ハノイ工業大学の外国言語学校の日本語学部の学習者は日本語を専攻している学習者であるが、学習者にとっては日本語の学習が第二言語学習であるため、動機づけを続けることが課題となっている。筆者の経験から、高い動機づけを持った学習は日本語能力の高いレベルが得られる学生があるが、逆に低い動機づけを持った学習は日本語能力が低いレベルで、日本語の学習を辞める学習者の数は尐なくない。特に、日本語で話せることに対して、自信を持っていない日本語能力の低いレベルの学習者は日本語の学習に動機づけをなくしつつある。したがって、協働学習を用いるディベート授業を導入することで、学習者の日本語学習への学習意欲を高めることが可能性であるかを考察してみたいと考えている。

研究の目的・意義

ベトナムにおける日本語教育では、ハノイ工業大学のような高等教育における日本語学習者 の学習意欲の維持と向上に対して、今後の研究が必要であると考える。新しい教授法と協働学 習を導入することで、学習者の日本語学習に対する学習意欲の向上に効果が期待されると言え るだろう。 特に、対面からオンラインへと多様化する学習形態において、効果的な教授法は学 習者の学習意欲の維持・向上にいい影響を与えると考えている。したがって、本研究では、学 習者の学習意欲に対する協働学習を用いるディベート授業の有効性を考察する。

本研究の目的として、以下の二点を述べる。

第一の目的は協働学習を用いるディベート授業に対して日本語教師と学習者の認識と期待を 明らかにすることで、協働学習を用いるディベート授業を実践した後、学習者の学習意欲がど のような効果があるか、期待されることを満たすかを明らかにすることである。

第二の目的はオンライン型の協働学習を用いるディベート授業では対面型の協働学習を用い るディベート授業に比べて、学習者の学習意欲がどのように変容するかを考察したうえで、日 本語学習者の学習意欲に影響を及ぼすどんな要素があるかを明らかにすることである。

本研究を通じて、協働学習を用いるディベート授業において、学習意欲という観点から教授 法の効果を測定し、今後のハノイ工業大学の日本語専攻の学習者の学習意欲を高めるため、適 当な授業型の提案を目指したいと考える。

目的を達成するために以下のリサーチクエスチョンを設定する。

リサーチクエスチョン(1)

「日本語教師:ディベート授業や協働学習への意識はあるのか。学習者の学習意欲への関心が みられるのか。学習者:ディベート授業への認識はあるか。どのような期待があるか」

リサーチクエスチョン(2)

「学習者:学習意欲において、協働学習を用いるディベート授業はどのような効果がみられる のか。」

リサーチクエスチョン(3)

「学習者:学習意欲において、オンラインと対面ディベート授業では、どのような違いが見ら れるのか。日本語学習者の学習意欲に影響を及ぼすどんな要素があるか」

本研究の意義は、第一にハノイ工業大学の外国学校の日本語学部の中級レベル学習者の学習意欲を研究対象にすることで、協働学習を用いるディベート授業の効果の研究を可能にする新

たな事例となることである。第二に、ハノイ工業大学の日本語学部の学習者の学習意欲に潜在する課題について明らかにすることができる。これらを通じて、第三には学習意欲の維持と向上に対する協働学習を用いるディベート授業の可能性について明らかにすることが期待でき、ひいては第四に、この課題を活かしながら、学習意欲の維持と向上に対する対面・オンラインという授業形態によるディベート授業の効果を考察したうえで、日本語学習者の学習意欲を高めるため、教授法と授業設定への応用が可能となる。

本研究の構成

本論文は5章の構成であり、以下に各章の具体的な内容を記述する。

第一章「研究背景及び目的」では、まずベトナムの日本語教育とハノイ工業大学の外国言語 学校の日本語学部における課題と日本語学習者の学習意欲の維持と向上の重要性を説明する。 そして、現在のベトナムの日本語教育ではディベートと協働学習といった新たな授業形態がど のように導入されてきたのかを明らかにする。したがって、本研究の目的はハノイ工業大学の 日本語学部における日本語教育に関する学習者の学習意欲の課題と学習意欲の維持・向上にお いて協働学習を用いるディベート授業を適用することが可能であることを検討することである。

第二章「先行研究」では日本語教育における協働学習及びディベートに関する研究、ディベ ート授業及び協働学習における学習意欲に関する研究、オンライン授業における学習意欲に関 する研究、オンライン型のディベート授業における学習意欲に関する研究について議論を行う。

第三章「研究方法」では、まず本研究の実践授業とインタビュー・アンケート調査の目的を 挙げ、それから実践授業とインタビュ・アンケート調査の方法を説明する。実践授業と調査の 協力者はハノイ工業大学の外国言語学校の日本語学部の日本語教師、日本語を専攻している3 年生である。次に、インタビュー・アンケート調査方法と分析方法について述べる。本論文で は以下の二つの調査を行った。一つ目は日本語教師を対象としたインタビュー調査であり、二 つ目は日本語を専攻している3年生を対象とするアンケート調査である。そして、インタビュ ー調査のデータは文字化して、コード化で表示し、分析を行った。また、アンケート調査から、 学習意欲を高めるための4つの視点から「注意・関連・自信・満足」に基づく ARCS モデル

(Keller,2010) を学習意欲の効果の評価に関する分析方法として統計を出す。

第四章「研究結果と考察」では、収集された調査データを分析する。この章では「ディベー ト授業及び協働学習に対する認識」、「学習者の学習意欲において、協働学習を用いるディベ ート授業の効果」、「学習意欲において、オンラインと対面ディベート授業での相違点」、

「ディベート授業において、学習意欲に影響を及ぼす要素」という4つの項目に基づいて分析結果を示す。それから、以上の4つの分析結果について考察を行う。

先行研究

日本語教育における協働学習及びディベートに関する学習意欲の先行研究

日本語教育において学習意欲についての認識の重要性があるが、学習意欲に関する研究の結 果にはまだあいまいな部分が多い。動機付けという学習意欲を指示されていた研究があるが、 明確的な動機づけの概念は定義されておらず、学習意欲の概念もあいまいになっている。その 背景には、日本語教育における学習意欲を高めるためには、何をすればいいのかを解明しなけ れば日本語学習の目的を得られないと考える。

Gagne & Driscoll (2018) は動機づけが難しいタスクを乗り切る心理的サポートでもあり、ま た学習者が途中であきらめないようにサポートすることも促進するものでもあると述べている。

また, McCombs (1988) は動機づけの最も重要な要素とは学習に対する否定的な感情、学習への方 向付けなどを肯定的な学習態度、自己効力に変更するものであると指摘している。したがって、 加藤(2011)によると、動機づけされた学習者は学習に対する肯定的な態度で学習に臨み、そ して成功へと導かれると述べている。本研究では加藤(2011)の学習意欲の定義を使用してい る。

また、溝上(1996)によると、学習者の動機付けを規定する要因は授業形態にもみられると 述べている。伝統的な授業形態は教師から学習という構図は学ぶべき課題に関する知識の量に おいて明白な差が存在するが自分の意見に対する関わりが強いことが多いため、葛藤も強く、 それ故に知的好奇心が強く引き起こされると指摘していた。それに、人が集団で学ぶ意義は教 師―学生の相互交渉のみならず、学生同士の相互関係を含むのであると明らかになった。した がって、学生同士の相互関係を深く、学習に対する肯定的な態度を生み出し、学習者の動機付 け・学習意欲を高めるために、教師はどのような授業形態を導入すればいいかを検討すべきで あると考える。

文部科学省(2012)は「未来を見通し、これからの社会を担い、未知の時代を切り招く力」の重要性を強調していた、そこで、アクティブラーニングが新しい時代の学習力を育成するための教授法として注目されている。アクティブラーニングには様々な授業形態や技法がある。溝上(2014)によると、協同学習、協調学習、協働学習、PBL(Project/Problem-Based Learning)LTD 話 し 合 い 学 習 法 (Learning Through Discussion) 、 ピ ア ・ イ ン ス ト ラ ク シ ョ ン (Peer Instruction)という授業形態がある。また、文部科学省(2012)はアクティブラーニング型の教

授学習形態に発見学習や体験学習、教室でのグループ・ディスカッション、ディベート、グル ープ・ワーク等の授業形態がある。

講義型授業とアクティブラーニング型授業については溝上(2014)の『アクティブラーニン グと教授学習パラダイムの転換』(東信堂)に基づいて、T.M Anh(2019)はアクティブラーニ ング型授業の類型を作成した。

表2.1アクティブラーニング型授業の類型

「Tran Minh Anh(2019)「ベトナムにおける日本語教育分野でのアクティブラーニングの応 用性~ハノイの大学における日本語教育の事例~」より

タイプ 講義型授業 アクティブラーニング型授業

主導 教員主導型 教員主導・講義中心型 学習者主導型

AL度 ― 低い 中~高 高

活動 聴く +書く +書く・話す・発

+書く・話す・ 発表する

板書の仕方

資料の見せ方

実物やモデルの

コメントシート ミニッツペーパー 小テスト

クリッカー

宿題 授業通信

シンクペアシェア ラウンドロビン ディスプレイ 体験学習 リフレクションシ

協同・協調学習 調べ学習 ディベート 話し合い学習法 知識構成ジグソ

ー法 PBL (Project/Problem based Learning) BPL(Business Leadership Program)

表 2.1によると、アクティブラーニング型授業にはアクティブラーニング度が「低い」、「中

~高」、「高」の3つのレベルでみられるとわかった。その中にはディベート授業が学習者主 導型の授業で、アクティブラーニング度が高いことがわかる。

ディベートの定義について、これまでの先行研究が多い。神原(2011)によると、ディベートとは事前に設定されたテーマの賛否や是非について、賛成派(肯定派)と反対派(否定派)

に分かれ、所定の持ち時間と順番によって持論を展開し、審判がその勝負を決定する議論の手 法である。松本(2001)はディベートが「一つの論題に対して、対立する立場をとる話し手に、 聞き手を論理的に説得することを目的として議論を展開するコミュニケーションの形態と述べ ている。

各ディベート授業の実践報告によると、日本語教育の現場でディベートの活動の効果が見ら れる。西谷(2001)は中上級レベルの日本語学習者を対象にディベートを行った結果を見ると、 ディベートが口頭表現だけではなく、言語の四技能や判断的思考の養成、言語不安の解決に有 効であることを明らかにした。宮永(2019)はディベートの活動は理論的な思考を高めるもの として注目されていると述べている。また、吉川・小川(2000)によると、ディベート活動で 期待される教育的効果として①調査・研究活動への動機付け、②支店の複雑化、③人前で話す 練習、といった一般的な効果に加え、④情報収集、⑤情報分析、⑥論理的思考、⑦説得力のあ る口頭表現、⑧傾聴、⑨(相手の論の)矛盾点から反論への発展を挙げており、ディベートに よって、読む、書く、聞く、話す、考えるの総合的な言語活動が取得できると述べている。

加えて、清水(2006)はディベートが学習者の話すことに関する動機付けに効果的であると 述べている。上級レベルの学習者の口頭能力や、中級レベルの学習者が難しい課題に対しても 自信の向上にディベートが有効であると明らかにした。

オンライン型のディベート授業における学習意欲に関する先行研究

2020年から新型コロナウイルス感染拡大のため、大学の教室ではオンライン授業を行ってい る。その背景には学習者の学習習慣を変更させただけではなく、教師も新しい授業形態に対策 をしなければならなかった。

平成 19年文部科学省告示第 114号によると、「通信衛星、光ファイバ等を用いることにより、 多様なメディアを高度に利用して、文字、音声、静止画、動画などの多様な情報を一体的に扱 うもので、次に揚げるいずれかの要件を満たし、大学において、大学設備基準第25条第1項に 規定する面接授業に相当する教育効果を有すると認めたものであることと述べ、村上(2020) は「従来の対面授業と同等の教育効果があれば、様々なメディアを用いて実施した授業も大学 の卒業単位として認められることになっている。」として「オンライン授業」を説明している。 本研究では「オンライン授業」の村上の定義を扱う。

「オンライン授業」にはライブ配信等の同期型(同期双方向型)と資料やビデオ、課題にア クセスさせる非同期型(オンデマンド型)を2種類に分類されている(文部科学省、2018)。 また、オンライン授業のメリットとデメリットについては先行研究が多く存在する。Loyd & Gresard (1984)はテクノ不安の類似概念であるコンピューター不安が学習やスキル取得にマイナ スの影響をもたらすことを指摘している。また、坂部・山崎(2012)によると、テクノ依存も、 現在の人間関係が希薄化して孤独感が悪化するなど、全般的な生活障害へ波及するリスクが高 いことが指摘されている。一方、内田(2021)はオンライン授業は効果的に活用することがで きれば、時間や場所を選ばずに自分のペースで自由に教育を受けることができる等、様々な制 約を取り払い、教育を得けることのコストを下げ、より個人に敵合した教育を提供することが 可能になることが期待されていると述べている。

このように、オンライン授業に関する課題(アクセス・学習者の集中度・通信環境・教師と

学習者のICT スキル等)が多いとわかった。オンライン型のディベート授業ではこれらの課題

がまだあるかまたはこれらの課題を克服できるかを明らかにしたい。

研究方法

本研究のディベート実践授業

文野(1994)はディベート授業ではディベート活動のルールや課題、語彙・表現の効果的な インプットを行って、ディベートによる口頭運用能力を向上させると述べている。そのため、 本実践では活動前にディベート授業の目的とルールについて授業の導入段階で明確に説明した。 本実践を行ったのは日本語中級会話クラスである。受講生はベトナム語母語の学生から JLPT の

N3・N2 レベルの学生、12人であった。本科目は100分の授業、週1回、5週の短期コースであ

り、対面型の授業が3回とオンライン型の授業が2回で実践した。各授業のグループは学習者 の日本語能力によって、構成した。毎回の授業はアンケート調査を行い、対面型の授業後とオ ンライン型の授業後には総合アンケート調査もあった。

表3.1にディベート実践授業の5回のスケジュールを示す。

表3.1:ディベート実践授業の5回のスケジュール

授業型 授業目 内容 グループ分け

対面 1回目 ディベート授業導入と準備

対面 2回目 ディベート練習① 異なる日本語能力

対面 3回目 ディベート練習② 同じ日本語能力

オンライン 4回目 ディベート練習③ 異なる日本語能力 オンライン 5回目 ディベート練習④ 同じ日本語能力

次はディベート活動の流れについて述べる。1回目のディベート授業にはディベート流れとル ールに関するビデオを見せて、学習者に流れと準備について立論からまとめまでの形式を説明 した。2・3回目は対面型で、4・5回目はオンライン型でディベート授業を行った。2回目 以降のディベート準備、論点から試合までは基本的には学習者で実施し、教師は支援者や観察 者として回った。表3.2は準備から試合・アンケート調査までのディベート活動の流れである。

表3.2:対面型とオンライン型のディベート授業の流れ

流れ 基本的な活動

1.テーマの決定 ・2回3回目は教師がテーマを決定する。

・4回5回目は学習者がテーマを決定する。

2.グループ分け ・グループを決める。

・各グループのリーダーを決める。

・肯定側と否定側を決める。

3.グループ準備 ・(対面型用)作戦シート紙また(オンライン型用)作戦シートの

リンクを配り、グループで立論を作成する

・調べた必要な情報と資料を集めて、作戦シートを書いて完成す る。

・相手の反論点を予測し、自分のチームの意見を準備する。

4.試合 ・発表者は一人ずつ相手のチームとジャッジに向かって話す。

・ジャッジは発表の話したことを判断し、点数をつける。

・各チームは時間内に発表を終わらせる。

5.アンケート調査 ・オンラインアンケート調査に記入する。

・各授業後のアンケート調査:5回

・対面授業への総合アンケート調査:1回

・オンライン授業への総合アンケート調査:1回

また、本研究の実施ディベート授業では、協働学習を用いるディベート授業で、各授業の流 れには「前作業」「本作業」「後作業」の3つで協働学習の構成になされる。

表3.3:ディベート授業における協働学習の構成

協働学習の内容 時間(100分)

学習者がグループでテーマを検討する 5分

グループで話し合いする 10分

資料を集める 10分

作戦シートを記入する 5分

本作業 ディベート練習 55分

教師のフィードバック・他のチームの評価 10分

アンケート調査 5分

次には、ディベートのテーマ選定について述べる。松本(2011)はディベートのテーマ選定にはディベートする価値があるか、参加者に適しているか、予想される議論や数が適当であるか、資料があるか、本番までに決着がつかないかという4つの要素を考えるべきと述べている。

また、内藤地(2015)によると、学習者自身が論題を探して決めることについて、学習者のモ チベーションが上がるというメリットがあるとわかった。したがって、本実践ディベート授業 では2回・3回目のテーマは教師が決定したが、4回・5回目のテーマは学習者が決めたと決 心した。

表3.4は実践ディベート授業のテーマを示す。

表3.4:実践ディベート授業のテーマ

ディベートテーマ 2回目 テーマ1:将来の成功のために、大学での勉強は必要です

テーマ2:若者はできるだけ早く結婚したほうがいいです。

3回目 テーマ1:人生では愛よりお金のほうが大事です。

テーマ2:人間にとっては外見より性格のほうが大事です。

4回目 テーマ1:企業に求められるのは、姿勢より能力のほうが大切です。

テーマ2:仕事では、やりがいより 給料のほうが大切です。

5回目 テーマ1:定年の年齢を引き上げるべき

テーマ2:妊娠・出産にかかる費用を無料にすべき

2回目、3回目のテーマは学生に親しみのあるテーマであり、学習者の意見がさまざまであ る。学習者は自分の経験と意見を考え、肯定側と否定側が意見を述べ、わかりやすくて、ディ ベートの流れに慣れることに適当なテーマだと考える。4・5回目では学習者は自分が社会的 な問題に対する関心度が高い話題を選んで、テーマを選定した。学習者はディベート授業に活 用できるテーマを挙たことで、ディベート活動を理解し、様々な意見が出て、授業に積極的に 参加し、ディベート活動への学習意欲の高まりが観察できた。

各授業では全体学習者を4つのグループを分ける。各二つのグループでテーマの一つについ て議論する。残りの二つのグループは評価グループになる。グループ分けは日本語能力に基づ いて、教師が決定した。各グループでリーダーを一人選出させた。教師は司会とタイムキーパ ーという役割を果たす。全体授業ですべての学習者が発表を通してディベートの経験ができる ようにした。

ディベート練習での学習者の役割は3.5で示す。

表3.5: ディベート練習の役割

ディベート練習での学習者の役割

司会者・タイムキーパー ・教師

肯定側グループ ・発表者3人

否定側グループ ・発表者3人

ジャッジ(評価グループ) 残りの学習者:6人を二つの評価グループに分ける

・肯定側を評価するグループ:3人

・否定側を評価するグループ:3人

表3.6はディベート練習の流れを示す。

表3.6: ディベート練習の流れ

肯定側 5分 否定側からの質問 3分 否定側 5分

肯定側からの質問 3分 作戦タイム

反対尋問の準備

否定側 5分 肯定側 5分 作戦タイム

最終弁論の準備

否定側 5分 肯定側 5分

表 3.6 によると、立論、反論、最終弁論は各グループでそれぞれ異なった1人が担当する。 なお、質問の時間にはだれが回答してもいいこととした。

評価グループは教師が作成した採点表を活用し、勝ち負けを決定した。表 3.7 は採点表を示 す。

表3.7: ディベート練習の採点表

評価対象:グループ… 総合計:

説得力(論理性・

発 表 態 度 ( 表 現力ー声・

チ ー ム ワ ー ク

時間配分 合計

証拠・準備) 丁寧さ) 意見調整)

点数の目安:

5点:非常によくできた

2点:あまりよくできなかった

1点:全然よくなかった

調査目的と調査協力者

本研究の調査の目的は、まず協働学習を用いディベート授業についてハノイ工業大学の外国 言語学校の日本語学部の教師と学習者の認識を調べることによって、日本語教育と日本語学習 において、学習意欲の役割を明らかにすることである。次に、協働学習を用いディベート授業 を実践授業として展開してから、学習者を対象としたアンケート調査から、ハノイ工業大学の 外国言語学校の日本語学部の学習者の学習意欲における問題点と学習意欲を高めるための協働 学習を用いディベート授業の応用性について分析し、考察を行う。

本研究では二つの調査を行う。これは学習者へのアンケート調査と教師へのインタビュー調 査である。アンケート調査の対象はハノイ工業大学の外国言語学校の日本語学部において日本 語を専攻する3年生である。調査協力者の学生数は12人である。

インタビュー調査の対象はハノイ工業大学の外国言語学校の日本語学部で日本語を教える現 職のベトナム人教師である。

インタビュー調査の協力者の情報は以下の通りである。

教諭① 教員歴:3.5 年未満、担当科目:聴解、会話、読解、観光専門日本語(1年生・4年 生)

教諭② 教員歴:5年未満、担当科目:会話、作文、翻訳(1年生・4年生)

教諭③ 教員歴:2.5年未満、担当科目:読解、作文(1年生・3年生)

調査方法

3.3.1 インタビュー調査

教師へのインタビューは 2022 年 10 月から 2020 年 11 月まで実施し、オンラインツールの ZOOMで 30分から 45分程度で実施した。インタビュー調査の内容は主に15質問であり、半構 造化インタビューでデータを収集した。

インタビューの質問は大きく三つの要素から構成した。一つ目は教師の基本的な情報と日本 語教育経験。二つ目はディベート授業に対する認識や日本語授業における学習者の学習意欲と 協働学習の課題である。三つ目は協働学習を用いるディベート授業の実践に対する教師の期待 である。

インタビュー調査の目的はまずディベート授業に対して、ハノイ工業大学の日本語学部の教師はどのように認識しているかを明らかにすることである。また、教師の観点と経験から日本語授業における学習意欲と協働学習の状態と課題を把握し、学習意欲の役割を明らかにするこ

とである。最後にディベート授業における学習者の学習意欲の向上の効果に対する教師は何を 期待しているのかにすることである。

3.3.2アンケート調査

調査協力者は2022年 11月1日から2023年1月1日までの間に、ディベート実践授業に参加 し、オンラインのアンケート調査に記入した。アンケート調査は授業前のアンケート調査と授 業後のアンケート調査の2度にわたり実施した。また、授業後のアンケート調査には二つの部 分がある。一つ目は対面型のディベート授業へのアンケート調査である。二つ目はオンライン 型のディベート授業へのアンケート調査である。また、3つの対面型ディベート授業後と2つ のオンライン型のディベート授業後の総アンケート調査も実施した。

授業で活動を行う前のミニアンケート調査の構成には学習者の基本的な情報と日本語能力が ある。また、選択肢の質問と自由記述の部分もある。選択肢の質問には、ディベート授業に対 する認識と興味について検討する。自由記述の部分にはディベート授業に対する期待について の答えが求められている。ミニアンケート調査の目的はディベート授業における学習意欲の向 上の効果に対する学習者は何を期待しているのかにすることである。

授業後のアンケート調査の構成には 8 つの選択式の質問が学習者の学習意欲に関する質問で、 最後の一つの自由記述は学習者の感想である。

授業後の総アンケート調査は 27 つの質問は選択式で、3 つは自由記述である。最初の8つの 選択式の質問は学習者の学習意欲、残りの 19 つは学習者の協働学習である。その中には協働学 習のルーブリックの質問が4つ、自己チェックリストの問が 10 つ、ペアーチェックリストの問

が 5つである。3つの自由記述には学習意欲に関する要素、授業のメリットとデメリット、学習 者の困難なことなどである。

授業後のアンケート調査と総アンケート調査の目的は学習者から、協働学習を用いるディベ ート授業は学習者の学習意欲に対して、どのような効果があるかを明らかにすることである。 加えて、学習者の学習意欲はオンライン型のディベート授業にどのような変化があるのかを明 らかにしたうえで、学習意欲に影響を与えるどんな要素があるかを解明することを目指す。

インタビュー調査のデータは文字化して、コード化で表示し、自由記述の分析を行った。また、学習者への授業事前のアンケート調査と授業後のアンケート調査にある半構造化の質問が含まれるため、アンケート調査の協力者の学習者は名称を署名化するため、記号に変換している。アンケート調査の協力者のコードは学習者の日本語能力に対して順番を付けている。本研究では学習者の日本語能力は学習者が取得した JLPT レベルに基づいて、分類されている。中級レベルの学習者はJLPT N3からJLPT N2までの学習者である。

具体的には、日本語能力がJLPT N2である学習者は N201からN204、日本語能力が JLPT N3 である学習者はN301からN308で記号に変換している。

次に、アンケート調査の選択式の質問で収集したデータに対しては、ARCS モデルで統計分析 を行う。

ARCS モデルとは、学習意欲への主な影響を理解するためのより効果的な方法であり、学習意 欲に関する問題を特定して解決するための体系的な方法である。 結果として得られるモデルに は、学習者の動機づけに関する変数の 4 つのカテゴリーの統合と、典型的な教育設計モデルと 互換性のある動機づけの設計プロセスが含まれている。具体的に、Keller(2010)は ARCS モデ ルとは学習意欲を高めるための 4 つの視点(Attention:注意、Relevance:関連、Confidence:自 信、Satisfaction:満足)に焦点を当て、それぞれの頭文字からモデル名を命名した(表 3.8 参 考)。

表3.8:ARCSモデルカテゴリー概念

Major Categories and Definitions Attention Capturing the interest of learners, stimulating the curiosity to learn

Relevance Meeting the personal needs/ goals of the learner to affect a positive attitude Confidence Helping the learners believe/ feel that they will succeed and control their success Satisfaction Reinforcing accomplishment with rewards (internal and external)

研究結果と考察

ディベート授業及び協働学習に対する認識

4.1.1 ハノイ工業大学の日本語教師の認識

本節ではハノイ工業大学の外国言語学校の日本語学部の教師のディベート授業と協働学習に 対する認識について分析し、考察を行う。

インタビュー調査の対象者の教師の基本的な情報を表4.1に示す。

表4.1:インタビュー調査の教師の基本的な情報

学位 日本語能力 教師資格 経験年数 参加した日本語トレーニング

A教師 修士 N2 なし 3.5年 アクティブラーニングの

ワークショップ

B教師 修士 N2 なし 4.5年 まるごとに関するワーク

C教師 学士 N2 なし 2年 文法・会話に関するワーク

学位の専門資格

A教師 日本語言語

B教師 日本研究

C教師 日本研究

表 4.1を見ると、教師の専攻は日本語教育ではなく、また、教師資格も持っていないとわかる。したがって、協働学習とディベート授業についてまだはっきり理解していないことが推測できる。本節ではハノイ工業大学の日本語学部の教師のディベート授業と協働学習に対する認識を明らかにするために、教師の日本語授業におけるディベート授業の導入状態、教師が担当した授業における学習者の学習意欲と協働学習の役割、協働学習を用いるディベート授業に対する教師の期待から分析し、考察していく。

4.1.1.1 教師の日本語授業におけるディベート授業の導入状態

ハノイ工業大学の日本語学部の日本語教育カリキュラムには様々な科目がある。1年生・2 年生のカリキュラムには文法・語彙・読解・聴解・会話・作文等がある。教師の自分の授業に ついての語りから、ディベート授業の導入状態が明らかになった。

インタビュー①

ディベート授業について聞いたことがない。それで、導入したこともない。但し、学習者に対 する効果は学習者の日本語会話の機会を作って、日本語能力を上がると考える。また、思考能 力を向上させる。教師に対する効果には自分の授業が面白く、学習者と知識やスキルが共有で きる。

インタビュー②

知っていました。自分の授業に導入したことがある。ディベート授業を実施するために、学習 者の日本語能力がかなり高い(N3 レベル以上)という条件が求められている。ディベート授業 では学習者が主体的に行動し、教師が観察者としている。学習者に対する効果は会話能力を向 上させ、協働学習も上がると考える。しかし、日本語能力が異なるグループに対する評価は難 しい。詳しくは学習者の各個人の能力を客観的かつ効果的に評価することはできない。

インタビュー③

ディベート授業について聞いたことがない。但し、ディベート授業を導入したら、会話能力を 向上させると思う。しかし、グループ間のメンバーの日本語能力の格差があったら、ディベー ト授業と協働学習の効果に影響を与えるだろう。また、日本語能力が高くても、自信がない学 習者はディベート授業で積極的に参加しないと思う。

A 教師は(インタビュー①)は日本語教師として4年間以上働ている。聴解・会話・作文・文法・専門日本語といった日本語科目を担当した経験がある。日本語教育と自分の授業に対して、熱心な教師だと見える。アクティブラーニング教授法に関するワークショップにも参観したことがあり、学習者の主体性を中心とした教授法として学習者を授業で積極的に参加させ、

思考能力も向上させるアクティブラーニングの効果を認識した。しかし、現在のベトナムの日 本語教師は教師に中心した伝統的な教授法で教えているから、その習慣を消し、新しい教授法 を導入するのが誰でもできるとは言えない。また、学習者も伝統的な教授法に慣れてしまって、 新しい教授法が導入される授業に積極的に参加せずに、授業の効果がまだ見られない。したが って、ディベート授業を聞いたことがないが、導入する予定がまだないと A 教師は述べている。

B 教師は(インタビュー②)ディベート授業を導入したことが1度しかないと述べているが、

C教師はまだ聞いたことがない。B教師は自分の授業にアクティブラーニング型の授業を導入し たことがあるが、実施した経験は多くない。学習者は積極的に参加し、授業の内容も覚えやす い。しかし、授業の活動の実施に時間がかなりかかり、授業管理はむずかしいと述べている。 そのため、会話能力を向上させ、グループ活動がよくなるディベート授業の効果があると認識 しているが、自分の授業に導入したことが尐ない。

C 教師は(インタビュー③)ディベート授業について聞いたことがないが、アクティブラー ニング教授法を導入したことがある。自分の作文授業では学習者が授業前に内容を準備し、授 業中に積極的に参加したことが見られた。それで、学習者の成績も上がる。したがって、ディ ベート授業が会話能力を向上させるという効果があると考え、導入したいと述べている。

また、二人の教師はグループ間にある学習者の日本語能力の格差がディベート授業の効果に 対する影響について自分の意見を述べている。学習者間の日本語能力の格差が大きかったら、 各学習者に対するディベート授業の効果を評価するのが難しい。特に、日本語会話に対する自 信がない学習者にとっては、ディベート授業で日本語会話能力を向上させることができるとは 言えないと述べている。

3人の日本語教師のインタビュー内容を見ると、ディベート授業に対する教師の認識がまだ 浅いとわかった。アクティブラーニング教授法を導入した教師がいるが、ディベート授業に対 する認識と経験がまだない。また、学習者の学習意欲に対するディベート授業の効果があるの かをはっきり理解していないとわかった。教師は新しい教授法を導入することに対して、努力 しているが、伝統的な日本語教育の習慣を変更するのが難しく、また「授業時間の管理」、

「学習者の平等的な評価」、「学習者の日本語能力の格差」という問題があったため、ディベ ート授業などの新しい教授法を導入するのがまだ困難であると確認している。

4.1.1.2 教師が担当した授業における学習意欲と協働学習の役割

次に自分の授業における学習意欲と協働学習の役割に対する教師の認識を以下のインタビュ ーの結果は示している。

インタビュー④

学習者の学習意欲において、協働学習を用いるディベート授業の効果

4.2.1 学習意欲に関する効果

本研究ではKeller(2010)はARCSモデルという4つの視点(Attention:注意、Relevance:関 連、Confidence:自信、Satisfaction:満足)から、協働学習を用いるディベート授業においては 学習意欲に対してどんな効果があるかを推測した。各項目で2津の質問を設定し、合計が 1 か

ら 5 の範囲のスコアを採点し、平均スコアで比較した。

まず、対面型のディベート授業において、学習意欲に対する効果を推測した。第2・3回の 授業後のアンケート調査と対面型の総合アンケート調査の選択式の質問と自由記述の結果に基 づいて考察した。

学習意欲に関する第2回の授業のアンケート調査結果が以下の表4.2で示す。

表4.2:学習意欲に関する第2回の授業(対面型)のアンケート調査結果

学習者 注意① 注意② 関連① 関連② 自信① 自信② 満足① 満足②

表 4.2によると、協働学習を用いるディベート授業に参加した学習者の「注意」「関連」「満 足」はかなり高いとわかった。具体的には「授業に対する興味がある」、「授業に集中度」と いう「注意」の平均点は 4.3/5、「学んだスキルと知識は期待に満たした」、「学んだスキルと 知識は役に立った」という「関連」の平均点は 4.1/5、「授業の満足度」、「授業での自分の努 力に見合った結果が得られた」という「満足」の平均点は4/5である。

学習者はディベート授業の流れのステップに慣れて、積極的に練習した。特に、学習者の感 想から、第1回の授業でディベート授業の流れについての教師が紹介した知識を実際に運用し、 ディベートのステップを身に付けることができたとわかった。特に、情報検索・ディベートス キルといった学習スキルも磨いて、思考能力を高めたことで、授業に関心度が高くなった。ま た、ディベート実践授業の活動を通して、自信を持って、日本語で発表することができ、自分 の日本語の会話能力が高まったという意見も出ていた。これは授業への興味を高めた。

また、ディベートのテーマの面白さによって、学習者の学習意欲が高くなるとわかった。第2回のディベートのテーマは「将来の成功のために、大学での勉強は必要です」と「若者はできるだけ早く結婚したほうがいいです」で、学習者にとって、関心のある課題であり、その課題について深く情報を検索して、自分の知識と意見を述べたいという姿勢が見られた。そのため、学習者はチームのメンバーと意見を交換し、他のチームと積極的にディベートを行った。特に、ディベート授業では自分の意見と観点を交換するチャンスがあり、自分自信を高めるので、学習者は授業が楽しく感じた。

また、ディベート授業の特徴はインタラクティブ性があることで、相手のチームの立論の弱 い点を見つけ、反対の論点を考え、反論する。そのため、学習者の競争能力が刺激され、相手 チームに勝利するために自分のチームと交換し、議論するようになったと考える。この競争的 な雰囲気は授業の全体的な学習雰囲気に影響を与えた。クラスの全員が興奮していれば、この 興奮は各チームに広がっていると見られた。

それに、ディベート授業では学習者の主体的学習能力を発揮するので、もっとよりディベー トテーマに関する情報を積極的に見つけ出し、分析して、ディベートの課題と自分のタスクを 理解することができ、このディベート授業に興味をもつと学習者の感想からわかった。特に、 授業に対する学習意欲があるため、学習者は次回の授業に情報と知識を準備する意識がある。 授業に興味があり、積極的に参加することだけではなく、次回の授業に主体的に準備する行動 は学習意欲の新しい段階になるではないかと考える。

学習者N301の自由記述

次回の授業にもっと知識を準備するつもりです。

学習者N308 の自由記述

私は授業の前に、ディベートのテーマについてさらに研究します。 インターネット、本、等か ら情報を探します。

学習者N204 の自由記述

インタネットでさらに詳しく情報を探し、友達と前回の授業の経験を学びます。

学習者N202 の自由記述

自分のチームのディベートテーマだけではなく、相手のチームのテーマについても研究する。

一方、協働学習を用いるディベート授業に参加した学習者の「自信」は ARCS モデルの他の 要素に比べて、比較的に低かった。具体的には「よくできたか」「授業の結果で自分がよくで きたことを確信した」という「自信」の平均点は 3.8である。この理由は学習者の自由記述で述 べた。

学習者N303の自由記述

今回の授業のディベートテーマは自分自身の観点と逆なので、そのテーマについて立論を作成 し、チームの意見を守ることには自信がなかった。

学習者N304の自由記述

ディベート授業の流にはまだ慣れなくて、日本語で自分の意見を言うのにはまだ自信があまり なかった。

学習者N203の自由記述

今回の授業は自分のチームは負けました。授業に興味があるが、次回の授業は勝つかどうか自 信があまりないです。

学習意欲において、オンラインと対面ディベート授業での相違点

4.3.1オンライン型のディベート授業において、学習意欲の変更

本研究では、協働学習を用いるディベート授業は学習者の学習意欲に対する効果があると明 らかにした。しかし、まだ対面型のディベート授業で考察したのみである。オンライン型のデ ィベート授業では学習者の学習意欲がどのように変更されたかを第4・5回のディベート授業 後(オンライン型)のアンケート調査の結果とオンライン型のディベート授業の総合アンケー ト調査の結果を分析し、考察する。

まず、第4・5回のディベート授業後(オンライン型)のアンケート調査の選択式の質問を ARCSモデルの4つの要素で分析し、学習者の自由記述を考察する。

表4.4は学習意欲に関する第 4回の授業(オンライン型)のアンケート調査結果を示している。

表4.4:学習意欲に関する第4回の授業(オンライン型)のアンケート調査結果

学習者 注意① 注意② 関連① 関連② 自信① 自信② 満足① 満足②

表4.5は学習意欲に関する第 5回の授業(オンライン型)のアンケート調査結果を示している。

表4.5:学習意欲に関する第5回の授業(オンライン型)のアンケート調査結果

学習者 注意① 注意② 関連① 関連② 自信① 自信② 満足① 満足②

表 4.4と表 4.5によると、最初の第4回のオンライン型のディベート授業で、学習者の学習意 欲が低くなったが、第5回のオンライン型のディベート授業で、学習者の学習意欲が高くなっ たと明らかになった。具体的には第4回のオンライン型のディベート授業では、「授業に対す る興味がある」、「授業に集中度」という「注意」の平均点は 3.88/5、「学んだスキルと知識は 期待に満たした」、「学んだスキルと知識は役に立った」という「関連」の平均点は 4.17/5、

「「よくできたか」「授業の結果で自分がよくできたことを確信した」という「自信」の平均

点は 3.75/5、「授業の満足度」、「授業での自分の努力に見合った結果が得られた」という

「満足」の平均点は 4/5である。対面型と比較して、「関連」がまだかなり高かったが、「注意」

「自信」「満足」が低くなった。なぜ今回のディベート授業の学習意欲が低かったのだろうか。 学習者の自由記述を見ると、わかる。

グループのメンバーが不足したため、論点を深く分析、作成することは難しくなって、集中で きませんでした。ネットワークの悪い状態で、相談の時、チームメンバーが再びログアウトす ることが多いため、グループ練習は困難でした。

オンライン授業では地理的距離の制限のため、友人と直接交流し、相談することはできません でした。

第 4 回のオンライン型のディベート授業では、オンライン学習のため重要な内容がうまくできず、自分が集中できなかったから、テーマに関する重要な内容がうまくできませんでした。な

ぜというと、オンライン学習はより自由になるため、教師やチームリーダーによる観察は限定 的になると思います。

ディベート授業において、学習意欲に影響を及ぼす要素

本研究では、協働学習を用いるディベート授業を実施し、学習者のアンケート調査の結果を分 析した。その結果を見ると、協働学習を用いるディベート授業では学習者の学習意欲を高めた ことが明らかになった。また、学習者の学習意欲に影響を与える要素がいつかあるとわかった。

一つ目はディベートのテーマである。ディベートのテーマを授業の順番と学習者のレベルに応じて設定することが必要だと考える。最初のディベート授業ではディベート授業の流れに慣れたり、授業に学習者の学習意欲を生み出すために、学習者に親しみのディベートテーマを設定する。また、恋愛・学習・性格といった学習者の関心度が高いテーマを設定することで学習意欲が高まる。学習者のディベート授業の流れと方法に慣れてから、学習者の知識とスキルを向上するために、もっとより社会・経済・政治的なディベートテーマを設定していく。学習者が簡単なレベルから複雑なレベルのテーマを通して、自分自身が挑戦し、知識とスキルも成長していくのはディベートテーマの設定の目的である。

二つ目はチーム間の学習者の主体性である。確かに、ディベート授業は学習者のスキルを向 上したことを感じて、学習意欲が高まったことがわかった。そこで、学習者は自分の主体的な 学習を発揮し、チーム活動を順調に進んで、学習の効果を明確的に出す。実践ディベート授業 では学習者がチーム間で自分の役割と責任感を認識し、タスクの理解ができ、積極的にチーム メンバーと相談した上で、チームの活動がよくでき、いい結果が出た。また、学習者はテーマ に関する知識とチームメンバーとの協働学習のスキルも磨いていた。また、授業前、学習者が テーマに関する情報と資料を主体的に検索し、分析して、チームメンバーとの意見交換を行っ た。これは学習者の主体的な学習スキルを発揮したと言えるではないかと考える。

三つ目はチーム間の協働学習の効果とチームリーダーの役割である。チームで活動するとき、 学習者は自分の役割と責任を認識し、積極的に他のメンバーと連携し、学習者の人間関係を整 理し、お互いの理解ができたら、チームの協働学習の効果が出て、学習者の学習意欲が高まる。 チーム間とクラスメイトとよく協働したら、授業の全体的な雰囲気を楽しくさせ、学習者の学 習意欲も高めると考える。また、チーム間の協働学習ができるために、チームリーダーの役割 の大切さが求められる。チームリーダーが全体の情報を十分に伝え、各メンバーのタスクと役 割を調整することができたら、チームの活動に対する各メンバーの満足度が高まると考える。 本研究では、チームリーダーを教師が設定した。日本語能力による設定することではなく、リ ーダー設定の目的は学習者のリーダースキルを発揮するために、学習者が尐なくとも一度リー ダーとしての役割を担当させたためである。その結果、以外に全員の学習者がリーダーとして の役割と責任をよくでき、チームメンバーからのフィードバックがよかった。

四つ目は学習環境と授業形態である。本研究では、対面型とオンライン型のディベート授業 を実施し、この二つの授業型と学習環境において、学習意欲がどのように変化したかを考察し た。その結果、どの授業型と学習環境にもメリットとデメリットがあるとわかった。「直接的 に話し合い、理解度が高い」「集中度が高い」「意見交換をしやい」「競争的な感じをさせる」

「インタネットの影響がない」という対面型のディベート授業のメリットと「学習の時間や場 所の柔軟性」「情報検索の便利さ」「圧迫感が尐ない」「データが保存できる」「チームの相 談スペースがある」というオンライン型のディベート授業のメリットがあるため、学習者の学 習意欲を高めるとわかった。一方、「学習の時間や場所の固定性」 「情報検索が便利ではない」

「圧迫感がある」「データが保存できない」「チームの相談スペースがない」という対面型のディベート授業のデメリットと「直接的に話し合わない、理解度があまり高くない 」「集中度があまり高くない 」「意見交換は難しい 」「競争的な感じをさせない」「インターネットの影響がある」というオンライン型のディベート授業のデメリットがあるため、学習者の学習意欲を減らすとわかった。したがって、学習者の学習意欲を高めるために、適当な授業型と学習環境という授業設定に努力するべきだと考える。

結論

リサーチクエスチョンへの答え

本章では日本語の教師をインタビュー調査の分析と考察と協働学習を用いるディベート授業 の実施を観察し、学習者のアンケート調査の考察に基づいて、リサーチクエスチョンにこたえ る。

本研究の目的は協働学習を用いるディベート授業に対して日本語教師と学習者の認識と期待 を明らかにすることで、協働学習を用いるディベート授業を実践した後、学習者の学習意欲に どのような効果があるかを明らかにすることであった。また、オンライン型の協働学習を用い るディベート授業では対面型のディベート授業に比べて、学習者の学習意欲がどのように変化 するかを考察したうえで、日本語学習者の学習意欲に影響を及ぼすどんな要素があるかを明ら かにすることでもあった。本研究の目的を達成するために3つのリサーチクエスチョンを以下 の通りに設定した。

リサーチクエスチョン①:「日本語教師:ディベート授業や協働学習への意識はあるのか。学 習者の学習意欲への関心がみられるのか。学習者:ディベート授業への認識はあるか。どのよ うな期待があるか」

リサーチクエスチョン②:学習者:学習意欲において、ディベート授業や協働学習はどのよう な効果がみられるのか。

リサーチクエスチョン③:学習者:学習意欲において、オンラインと対面ディベート授業では、 どのような違いが見られるのか。

本章ではまず第4章「研究結果と考察」を踏まえて、3つのリサーチクエスチョンに答える。 つぎに、学習意欲を高めるために提言をし、最後に今後の課題を述べる。

5.1.1 リサーチクエスチョン1への答え

「日本語教師:ディベート授業や協働学習への意識はあるのか。学習者の学習意欲への関心が みられるのか。学習者:ディベート授業への認識はあるか。どのような期待があるか」

第一に、ハノイ工業大学の外国言語学校の日本語学部の教師のインタビュー調査と学習者のミニアンケートの結果を踏まえ、協働学習に対する教師の認識と経験があるが、ディベート授業に対する認識がまだ浅い、経験がまだないと明らかになった。さらに、教師はアクティブラーニング教授法のトレーニングに参加した経験があるが、アクティブラーニング型授業の類型の一部としてディベート授業のトレーニングに聞いたことがなく、自分の担当授業にも導入したことがなかった。また、自分の授業の効果に対する学習者の学習意欲の大切さを認識する必要があるとわかった。しかし、教師の授業ではクラスとしての学習意欲があるが、学習者によ

って、学習意欲に個別性があると見られた。教師は学習意欲を高めるために、教師の役割だけ ではなく、学習者の自分自身の日本語学習の目標を認識すべきだと指摘した。そこで、日本語 の学習に対する学習者の学習意欲を高める必要があると認識したとわかった。したがって、学 習者が主導性を発揮できるアクティブラーニング授業としてディベート授業の導入することは、 学習意欲を高めると教師は期待した。また、ディベート授業で協働学習を用いることに対して、

「学習者の学習能力の格差」「学習者間の関係」「学習者の能動」などの協働学習の活動の問 題点を解決するように期待することもあった。

第二にミニアンケート調査の結果によると、学習者はディベート授業についての認識度が 低いとわかった。確かに、日本語教師はディベート授業を導入した経験がなかったため、学習 者がディベート授業に参加したことがないと理解できる。しかし、新しい授業型としてディベ ート授業を体験することで、学習スキルを向上させ、自分の主体的学習能力を発揮し、日本語 学習への学習意欲を高める目標を設定する学習者が多い。

このように、ディベート授業を活用ディベート授業を活用することにより、学習者の学習意 欲を高めることが可能であると、教師も学習者も考えていることが明らかになった。

5.1.2 リサーチクエスチョン2への答え

「学習者:学習意欲において、ディベート授業や協働学習はどのような効果がみられるのか。」 の答えについて述べる。

協働学習を用いるディベート授業の実践授業の観察と学習者のアンケート調査の結果を踏まえ、 ディベート授業と協働学習は学習者の学習意欲を高めたと明らかになった。

第一に、ディベート授業はアクティブラーニング授業における学習者を中心とした授業形態 で、教師を中心とした伝統的授業と違い、学習者が主体的な学習能力を発揮すると思われる。 ディベート授業では学習者が自分のチームが勝つために、自分が積極的にチームテーマに関す る情報と資料を検索し、分析し、チームメンバーとの意見交換を行い、立論を作成した。また、 ディベート中に、自分のチームの立論を明確に伝え、相手の立論を理解し、反対立論を作成す るという流れに沿って、学習者が集中しないとタスクを効果的に完成できない。そこで、学習 に必要なスキルを磨いて向上させ、学習者の自信と満足度も高めた。ディベート授業の第2 回・3回の対面型の実践授業において、学習者の「注意」「関連」「自信」「満足」という学 習意欲の4つの要素が高かった。また、学習者は授業の前にディベートテーマに関する情報を 積極的に検索し、分析し、他のメンバーと意見交換を行うことは学習者に能動的かつ主体的な 学習能力を発揮させた効果である。

学習意欲を高めることに関する提言

本研究では協働学習を用いるディベート授業を実施、学習者のアンケート調査の考察を通し て、学習意欲に影響を及ぼす要素が様々であることが明らかになった。

そのため、本節では 4.4「ディベート授業において、学習意欲に影響を及ぼす要素」で明らか にした結果を踏まえ、学習者の学習意欲を高めるための提言を述べる。どんな学習環境であっ ても、協働学習を用いるディベート授業により、学習者の学習意欲を高めることができると考 える。

第一には対面授業とオンライン授業の双方の良い点を受け継いているため、教師はハイブリ ッド型のディベート授業を導入することで、学習意欲の向上が期待できる。なぜというと、ハ イブリッド型のディベート授業では対面とオンラインそれぞれの特メリットが合わさることに よって、学習の効果を高める。例えば、「直接に相談できる」「競争的な学習雰囲気を感じる」

「意見交換しやすい」などの対面型のディベート授業のメリットと「柔軟的な時間と場所」

「情報検索しやすい」などのオンライン型のディベート授業のメリットを合わさる。また、ハ イブリッド型のディベート授業を展開していたら、学習者の理解度も高まり、オンライン型の 授業で学習者の個人的な責任感を果たさせる機能を発揮することで、教師にとっても、学習者 にとっても、効率的な授業設定だと考える。

第二にはディベートのテーマを選択するまたは作成するために、授業で活動を行う前の学習 者にミニアンケートを実施し、学習者が関心のある課題について調査すれば、効果的である。 なぜかというと、本研究の結果から、ディベートテーマが学習者の学習意欲に影響を与えるこ とが明らかになった。教師が自分でテーマを設定すれば、学習者が関心のないのテーマを選定 する可能性がある。学習者は自ら関心のあるテーマリストを見つけ、学習者はディベートした いテーマを選択することで、学習者の主体的な学習を発揮できると考える。確かに、学習者が 行動する際には、自分で選択し、決定するといった感覚は重要である、自分で選択する機会の ある学習者は選択する機会のない学習者に比べては動機づけが高くなるではないかと考える。 また、学習者の日本語能力に応じて、ディベートテーマを簡単なレベルから難しいレベルまで 分類した方がいいと考える。関心のあるディベートテーマでも、学習者の日本語能力による設 定をしなければ、知識が不足しているため、明確に日本語で意見を伝えにくい学習者がおり、 学習者の自信を無くし、授業に対する学習意欲が低くなる可能性があるではないかと考える。

第三には学習者の主体性を高めるために、授業前に学習者のディベートの準備を十分な時間や授業中にチーム間の意見交換の時間を確保するべきである。学習者がテーマについて詳しい情報を収集し、十分な知識があれば、難しいテーマであっても、明確に伝え、ロジック的立論を作成できると考える。また、ディベートの準備の際には、学習者にテーマについて多面的に

考え、批判的な意見を準備できるように相手の立場に立って考えるよう提案する。このことに より、学習者の主体的な学習も促され、思考能力も向上することができると考える。また、授 業前のチームでの意見交換の時間があると、チームの連携性。関係性がよくなり、お互いの理 解度も高くなるだろう。その結果、授業でディベートを行う際に学習者の自信を高め、チーム の協働学習がよくでき、相手のチームからの批判的な議論に対応できるようにするためにも役 に立つ。また、授業前に、ディベートの流れに早めに納得し、自分とチームのタスクをわかり やすくするために、教師は授業前に見本のディベートビデオを提供し、学習者がビデオを見て、 事前に練習することにより、実際のディベートで自分の自信を高め、学習意欲が高くなると考 える。

第四には対面型とオンライン型のディベート授業のメリットを発揮したり、デメリットを克 服したりするために、学習環境を改善するように授業の設定に取り組む必要があると考える。 教師は対面型のディベート授業で、適当的な学習スペースを確保し、チームの活動を行う際に、 各チームの間で、十分な空間のある教室環境を整備しなければならない。また、オンライン授 業ではインタネットの設備を確保し、静かな学習スペースを積極的に作るように学習者に勧め ていく。

第五には学習者の主体的な学習を高く発揮するディベート授業でも、学習者のパフォーマン スを改善するために各授業の後で、教師はフィードバックやコメントを出した方がいいと考え る。学習者の日本語能力の限定で、明確に意見を伝えることができでも、ロジック的な場面で はまだできない。また、相手のチームの意見に対して、強い反対論点を作成するのは重要であ る。そこで、教師のフィードバックやコメントなどで、学習者はよくでき事が認識、まだ改善 すべき事も理解し、次回のディベートを効果的に準備し、自分の期待に満たすいい成績が出た ら、学習意欲が高まると考える。

第六にはベトナム人の日本語教師や学習者にとって、伝統的な教授法に慣れてきたため、新しい教授法や授業形態を運用し、日本語授業を実施することは挑戦的な意識を持たなければならない。そのため、自信を持たずに、不安になるかもしれない。したがって、最初はベトナム語でディベート授業を行い、日本語でディベート授業を実施すれば、教師と学習者もディベート授業の流れに一歩一歩慣れ、最初の不安感を軽減することができると考える。

本研究の限定と今後の課題

本研究では協働学習を用いるディベート授業の実践授業を通して、学習意欲を高めることを考察した。また、ディベート授業の様々な授業形態が学習者の学習意欲に影響を与えるとわかった。より詳細な影響を把握するためには、まだ以下の点については本研究の限定と今後の課題として研究する必要がある。

第一に、実践授業・インタビュー調査・アンケート調査の参加者の人数はまだ尐ない。また、 実験対象はハノイ工業大学の外国言語学校の日本語学部の教師と3年生の中級レベルの学習者 に限定されている。そこで、本研究の結果は学習意欲において協働学習を用いるディベート授 業の効果の一つの事例を示したものである。広い研究範囲ではさらに検討する必要があると考 える。

第二に、本研究のディベートの実践授業型の流れは対面型からオンライン型まで実施した。 この授業の流れに沿ってディベート授業は学習意欲の効果を考察した。しかし、オンライン型 から対面型までの逆転的な授業型の流れを実施したら、学習意欲に対する効果はどのように変 更されるかをさらに検討したい。

第三に、ディベートの実践授業では対面型やオンライン型でも、学習者の「発話によるコミ ュニケーション」を分析対象にしたが、「テキストによるコミュニケーション」も確認するこ とができた。「発話によるコミュニケーション」をする際には、グループ活動で会話中で実施、 日本語能力の高い学習者がよくできた。しかし、各授業では学習者によって、ストレスが出て、

「テキスト」で意見を発表しやすいと述べた。「テキストによるコミュニケーション」はディ ベート授業において、学習意欲を高めることにどのような関連性があるかを今後の課題として 研究したい。

第四に、本研究ではディベート授業の際、学習者の日本語能力に基づいてグループを分け、 実施した。学習意欲の4つの要素の結果を見ると、すべての学習者の学習意欲が高かったとわ かったが、学習者の日本語能力はディベート授業に対する学習者の学習意欲にどのように影響 を与えるかをまだ考察できなかった。学習者の日本語能力が学習意欲の要素の一つではないか を今後の課題として検討したい。

ベトナムで日本語教育やハノイ工業大学での日本語教育の課題がまだ多い。その中で学習者 の日本語学習に対する学習意欲を維持し、向上するために、様々な日本語の教授法の導入だけ ではなく、日本語学習に対する学習者の主体的な認識と自己調整をさせるのにさらに検討する 必要がある。また、学習者の特性に応じるグループ活動をデザインし、授業設定をどのように 有効に用いるため考えて続けたい。

本研究のディベート実践授業の結果に基づいて、学習者の学習意欲を高めたとわかった。前述の通り、日本語学習の過程において学習者の学習意欲を維持することはベトナムにおける日本語教育の大きな課題である。したがって、学習者の学習意欲の維持・向上に効果的な教授法であるアクティブ・ラーニング教授法やディベート授業などの新しい授業形態を日本語授業に導入することが奨励されるべきである。また、新しい教授法・授業形態に関する教師向けの研

修トレーニングや教育経験を共有するセミナーなどを実施すれば、教師の伝統的な認識や教育 方法を変えることができる。その結果、もっと効果的な学習授業・環境をもたらすと考える。

参考文献目録

1.大山牧子・田口真奈(2013)「大学におけるグループ学習の類型化―アクティブラーニン グ型授業のコースデザインへの示唆」『日本教育工学会論文誌』、37、p.129-143

2.加藤 澄恵(2011)「学習意欲を高める授業の研究」、p.71-79

3.溝上 慎一(1996)「大学生の学習意欲」, p.184-197

4.文部科学省(2012)「新たな未来を気づくための大学教育の質的転換に向けてー生涯学び 続け、主体的に考える力を育成する大学へ」『中央教育審議会答申』

5.溝上 慎一(2014)「アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換」『東信堂』

6.Tran Minh Anh(2019)「ベトナムにおける日本語教育分野でのアクティブラーニングの応 用性~ハノイの大学における日本語教育の事例~」, p.1-84

7.井上奈良彦(2007)「台湾における日本語ディベート教育の実践研究」『2006 年度財団法 人交流協会日台交流センター日台研究支援事業報告書』

8.高橋純子(2015)「ディベートの効果と可能性:「日本語学習Ⅰ」の実践報告」『筑波大学 留学生センター日本語教育論集』,p.299-307

Ngày đăng: 04/08/2024, 22:24

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