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日本語における「謝罪表現」 ―ベトナム語との対照-= HÀNH ĐỘNG XIN lỗi TRONG TIẾNG NHẬT - đối CHIẾU với TIẾNG VIỆT-

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ハノイ国家大学 外国語大学 日本言語文化学部 卒業論文 日本語における「謝罪表現」 ―ベトナム語との対照- 氏名:NGUYEN THI THU TRA 学生番号:16041707 所属クラス:17J2 指導教員:PGS.TS Do Hoang Ngan ハノイ‐2021 ĐẠI HỌC QUỐC GIA HÀ NỘI TRƯỜNG ĐẠI HỌC NGOẠI NGỮ KHOA NGÔN NGỮ VÀ VĂN HÓA NHẬT BẢN KHÓA LUẬN TỐT NGHIỆP HÀNH ĐỘNG XIN LỖI TRONG TIẾNG NHẬT -ĐỐI CHIẾU VỚI TIẾNG VIỆT- Họ tên: NGUYỄN THỊ THU TRÀ Mã số sinh viên: 16041707 Lớp: 17J2 Giảng viên hướng dẫn: PGS.TS Đỗ Hoàng Ngân Hà Nội, 2021 謝辞 本研究は、ハノイ国家大学・外国語大学・日本言語文化学部にて行われたもの です。本研究を進めるに当たり、多くの方々からご協力及びご支援を頂きました。 ここに深く感謝の意を表します。 まず、日本言語文化学部の Đỗ Hoàng Ngân 先生は、本研究に対していつもお世話に なっており、テーマ、構成の大枠から様々ご指導いただきました。先生のご助言のおか げで、本研究の完成度が高まりました。深く感謝致しますとともに、御礼申し上げます。 次に、本研究が完成できるように、両親にも心をこめて、感謝の気持ちを表し たいと思います。本研究のみならず、学習過程にいつも応援し励まして頂きました。 グエン・ティ・トゥー・チャー i 要旨 本論は日越両言語の謝罪表現の使用頻度、使用目的の類似点・相違点を明らかにす るため、日本語原作の『ノルウェイの森』と『容疑者 X の献身』における『ごめん』 類『すまない』類、 『申し訳ない』類、 『失礼』類、 『悪い』という謝罪表現に対して ベトナム語翻訳版『Rừng Na-uy』と『Phía sau nghi can X』における謝罪表現の翻訳 傾向を明示し、比較・対照を行う。研究方法として、謝罪言語行動、条件、両言語 の謝罪表現の特徴についての理論を論述した上で、文学作品の日本語原作とベトナ ム語翻訳版の考察と対照から受け取る結果を分析する。研究の結果としては、まず 謝罪表現の使用頻度について、日本語原作版における謝罪表現の出現率は高く、各 類別には多様な言語形式が含まれるのに対し、ベトナム語翻訳版はほとんど「xin lỗi」 が含まれる表現に翻訳され、日本語より種類が少ない傾向があるという一つである。 次に、使用目的について、日本語原作版における謝罪表現は「罪」の有無にもかか わらず、 《感謝》や《注意喚起》や《挨拶》様々な場面で使用される。しかし、ベト ナム語翻訳版における謝罪は《感謝》、《注意喚起》、《挨拶》という目的を持ってい ないという二つの結果である。また、謝罪の使用場面を通して、両言語の謝罪に影 響を与える話し手と聞き手の人間関係も最初の一歩分かるようになった。日本語の 謝罪は、親疎関係・上下関係が重要な要素であるが、ベトナムの方は、親疎関係・ 年齢に密接な関係がある。 ii 目次 1.研究の背景 2.先行研究 3.研究の目的 4.研究の対象・範囲 4.1 研究の対象 4.2 研究の範囲 5.研究方法 6.研究構成 第 章:日本語及びベトナム語の謝罪言語行動についての理論 1.1 謝罪言語行動とは何か 1.1.1 言語行動の定義 1.1.2 謝罪の定義 1.1.3 謝罪の適切性条件 11 1.2 ポライトネス理論 13 1.2.1 Brown & Levinson (1987)のポライトネス理論 13 1.2.2 謝罪言語行動におけるポライトネス 14 iii 第 章:日本語とベトナム語の謝罪言語行動の概念 2.1 日本語の謝罪言語行動 15 2.1.1 謝罪の機能・目的について 15 2.1.2 謝罪が行われる状況について 17 2.1.3 謝罪表現の機能の分類 21 2.2 ベトナム語における謝罪言語行動 23 第 章:日本語謝罪表現とベトナム語謝罪表現の対照研究 3.1 研究データ 25 3.1.1 データ収集法 25 3.1.2 データ資料の説明 26 3.2 研究結果と考察 28 3.2.1 研究結果 28 3.2.1.1 謝罪表現の使用頻度 28 3.2.1.2 謝罪表現の使用目的 30 3.2.2 考察 43 3.2.2.1 両言語の謝罪表現の類似点 44 3.2.2.2 両言語の謝罪表現の相違点 44 3.3.3 研究の貢献 iv 45 3.3.3.1 外国語教育への貢献 45 3.3.3.2 日越の翻訳・通訳への貢献 45 結論 1.まとめ 46 2.今後の課題 47 図表リスト 48 参考文献 49 v 1. 研究の背景: 外国語教育は世界中で重視されており、ベトナムも例外ではない。この数年、ベ トナムでは日本語教育が急速に進んでいると見られている。国際交流基金の 2018 年 度日本語教育機関調査によると、ベトナム人学習者数は 174,521 人に達成し、東南ア ジア地域で 位、世界で 位となったそうだ。これは 2015 年度調査に比べると、学 習者が 169.1%増加し日本語学習熱の高まりが顕著である。その状況で、日本語教育 ではコミュニケーション能力・異文化相互理解を育成することが目的の一つである。 また、実際の社会において円滑にコミュニケーションを図るためには、様々な表 現を身に付ける必要がある上に、それらの研究も不可欠であろう。その中で、謝罪 表現のに関する先行研究は多く見られ、この分野への関心や興味が高まっているそ うだ。謝罪という言語行動は、 「話し手のあやまちや相手への被害等への責任を認め、 許しを乞い、それによって相手との人間関係における均衡を回復する行為」(熊谷 1993:4)で、どのような社会においても存在するものの、行われ方や文化によって相 違点もさまざまだ。日本語とベトナム語の場合は、日本語の代表的な謝罪表現であ る「すみません」は「お詫び」の意味もあれば、「感謝」の意味もあるのに対して、 ベトナム語の唯一と意識される謝罪表現である「Xin lỗi」(シンロイー)は「感謝」 の気持ちが含まない。例えば、他の人の足をつい踏んでしまったとき、同じ「謝る」 気持ちを表す表現「すみません」と「Xin lỗi」は両言語とも使われる。しかし、お茶 を出されたときの感情の表現として「ありがとうございます」よりも「すみません」 の方が日本人はよく言うが、ベトナム人は「Xin lỗi」とは言わない。それで、日本語 における謝罪表現とベトナムにおける謝罪表現はどの点が同様であるのか、どの点 が相違するのか、という疑問が出てくる。 以上のようなことから日本語とベトナム語の謝罪行動についての様々な問題に 興味を持ち、さらに深く研究したいと思うようになっている。 2. 先行研究: 日本語に関する謝罪研究の中には、日本語母語話者の言語行動と、他の言語を母 語とする人々の言語行動を対照したものが多い(田中 1989、池田 1993、生越 1993、 山本 1995、大谷麻美 2002 等) 。 その中で、日本語と中国語の対照研究が多く見られる。彭国躍(1992)はさまざ まな社会的要因によって、日中の謝罪行為がどのように遂行されるのかを意識調査 を通して考察した。この研究の結果としては、まず、中国語の場合は上下関係が謝 罪の遂行に影響を及ぼしているが、日本語の場合は上下関係より親疎関係が大きな 影響を与えていることが明確になったという。そして、謝罪の遂行と男女差につい て調べたところ、その結果からは「中国も日本も問題にするほどの大きな差がある とは認めがたい」と述べている。そして、 「同じ条件で、中国人は日本人と比べてよ り自分のメンツが脅かされることを意識し、それを守る意向がある」が、 「日本人は より他者との調和を重視し対人関係の修復に積極的である」とし、 「その背後にある、 上下、親疎関係のコンテクストが決まれば真っ先に謝ることを要求する日本社会と、 ある程度謝らないことを要因する中国社会との社会 的、文化的環境の差がみえる」 としている。 日本語と英語の対照研究について、大谷麻美(2002)は、話し手の心理や場面認 識の言語文化間での差に注目し、日本語と英語の謝罪慣用表現の特徴を分析してい る。すなわち、同じ場面における、日本語と英語の謝罪慣用表現の使用差、心理的 反応や状況判断の差を指摘した上で、それがどのように影響するかを明らかにした。 「英語の謝罪慣用表現は話し手志向であるのに対し、日本語の謝罪慣用表現は聞き 手志向であるという点である。英語の場合、話し手の迷惑度や聞き手に対する気の 毒さが高くとも、話し手に責任や後悔がなければ謝罪慣用表現は出にくいといえる。 一方、日本語の場合、話し手に責任がなくとも、聞き手が迷惑を被れば謝罪慣用表 現が使用されやすいという結論であった。 一方、感謝の表現を視野に入れた研究としては、山本もと子(2003)は日本語母 語話者と日本語学習者を対象として、「 謝罪」と「感謝」という全く別の言語行動 の意味を持つ「すみません」の使用の調査を行い、分析している。結果としてその 差はほとんどなく、両方とも感謝の場合は「ありがとう」 、謝罪の場合は「すみませ それで、 《感謝》の目的で謝罪表現を使う場面には日本語の謝罪表現からそのままベ トナム語に翻訳するのは誤解されやすいので、 「cảm ơn」に訳される傾向がみられて いる。 c 《注意喚起》 【用例 8】 「すまないけどさ、ラジオ体操は屋上かなんかでやってくれないかな」 “Này, cậu làm động tác mái nhà khơng hử?” bảo “Tớ ngủ được” (“Rừng Na-uy” - p.49) 【用例 9】 「すみませんが、緑さんはいらっしゃいますか」と僕は訊いた。 「いや、緑は今いませんねえ」と相手は言った。 “Xin lỗi làm phiền ông”, tơi nói, “Midori có nhà khơng ạ?” “Khơng, khơng có nhà”, ơng ta nói (“Rừng Na-uy” - p.117) 上記にも述べたように本研究の資料で《注意喚起》によく使用される謝罪表現は「す みません」である。【用例 8】は男子の友だち同士で相手を呼びかける場面である。 「すみません」の砕けた言い方「すまない」を用いて、本当に「相手に負担をかけ る」わけではないが、ただ相手の注意をひくためである。この場合はベトナム語翻 訳版でベトナム語の直接に呼び掛けるための言葉「Này」を使用する。実際の生活に 37 呼び掛けるときのベトナム語は 「Này」のほかに、 「名称+ơi/này」 や「第二人称+ơi/này」 などを使うのが一般的である。そして、【用例 9】から見えるように謝罪表現を呼び かけとして利用するのは「相手に何等か迷惑をかける」という感じも含まれるので、 「すみません」から直訳される「xin lỗi」のほかに、 「làm phiền」 (迷惑をかける)も 同時に追加されるのである。 d 《挨拶》 【用例 10】 石神の細い目が少し大きくなった。やがてすぐに自分が手にしている郵便物に気づ いたようだ。 「ああ、これですか。学部の OB 会の会報です。それが何か?」 「いいえ、知り合いに帝都大の出身者がいるものですから」 「はあ、そうですか」 「どうも失礼しました」草薙は一礼してから部屋を出た。 Đôi mắt sợi Ishigami giãn Giờ anh để ý tới thứ cầm tay – Đây tin Hội cựu sinh viên Sao vậy? - À khơng, tơi có người quan học Đại học Teito - Thế à? - Thôi xin phép Kusanagi cúi chào về” (“Phía sau nghi can X” - p.81) 本論文の範囲では入室・退室・別れの《挨拶》として使われている謝罪表現は《失 38 礼する》が目立つ。しかし、ベトナム語翻訳版から分かるように、 《挨拶》の場面は 謝罪表現を全然使わない。ここでは、 「xin lỗi」ではなく、 「xin phép」に翻訳された。 ベトナム語の「xin phép」は「許可を求める」という意味で、この場面では「帰る・ 退出する許可を求める」と分かるようになった。 e 《依頼の前置き》 【用例 11】 「あのう、すみません、このへんにまだお酒飲めるお店を教えていただけませんか?」 僕は本を置いて彼女を見た。 「朝の五時すぐににですか?」と僕はびっくりして訊きかえした。 “Xin lỗi làm phiền anh, anh giúp tơi qn khu bán rượu không ạ?” Bị bất ngờ, đặt sách xuống hỏi, “Sau năm sáng ư?” (“Rừng Na-uy” - p.164) 【用例 12】 「何でしょうか」 靖子が訊くと岸谷は頭を下げた。 「すみません、また映画の件なんですが…」 (省略) 「どういったことでしょうか。もう、あれ以上はお話することはないんですけど」 39 「お話はよくわかりました。今日は例の半券をお借りしたいと思いまして」 - Có chuyện vậy? Kishiya cúi đầu: - Xin lỗi chị, lại chuyện rạp chiếu phim (省略) - Anh hỏi chuyện nữa? Tơi chẳng cịn để nói đâu - Tơi hiểu chị khai Hơm tơi muốn mượn chị vé (“Phía sau nghi can X” - p.182) 【用例 11】と【用例 12】は相手に依頼を求める場面である。日本語もベトナム語も この場面だと、聞き手にある程度の「負担」や「迷惑」を与えてしまうので、前置 きとして謝罪表現が必要だと考えられる。収集した結果によると、 《依頼の前置き》 の用例が最も多いのが「すみません」 (5 件)で、 「申し訳ない」類や「悪い」類もそ れぞれ(2 件)だった。いずれも、ベトナム語の場合は「xin lỗi」と翻訳される。 f 《辞退》 【用例 13】 帰り道電話ボックスに入って緑に電話をかけてみた。珍しく緑が電話を出た。 「ごめんなさい。今あなたと話したくないの」と緑は言った。 Trên đường vào trạm điện thoại gọi cho Midori, thật ngạc nhiên nhấc máy: “Xin lỗi”, nói, “nhưng tớ khơng muốn nói chuyện với cậu (“Rừng Na-uy – p.384) 40 【用例 14】 「時間がほしいんだ」と僕は言った。 「考えたり、整理したり、判断したりする時間 がほしいんだ。悪いけど、今はそうとしか言えないんだ」 “Tớ cần thêm thời gian”, tơi nói “Tớ cần thời gian suy nghĩ thu xếp chuyện, định việc Tớ xin lỗi, tớ nói thơi” (“Rừng Na-uy” - p.476) つの用例とも聞き手の望ましいことに対応できず、聞き手の期待に添えない「断り」 の場面である。話し手は聞き手への心理的な迷惑などを想定することができる点で 謝罪表現を使う。日本語の謝罪表現に対してこの場面ではベトナム語も同様に「xin lỗi」に翻訳された。 g 《軽妙なマナー違反》 【用例 15】 (省略) 「失礼ですが、ご家族は?」と草薙は訊いた。 「妻は昨年亡くなりました。息子が一人いますが、事情があって、私の実家で面倒 を見てもらっています」 (省略) - Xin lỗi, gia đình anh đâu ạ? – Kusanagi hỏi - Vợ tơi năm ngối Tơi có trai hồn cảnh nên tơi gửi cho bố mẹ 41 tơi chăm sóc (“Phía sau nghi can X” - p.195) 【用例 16】 (石神さんが話し中) 「失礼」草薙は手を出して、彼の話を遮った。 「あなたはそれだけのことを、その瞬 間にすべて考えたというんですか」 - Xin lỗi – Kusanagi đưa tay ngắt lời Ishigami – Anh nghĩ tất chuyện lúc à? (“Phía sau nghi can X” - p.315) 今回の資料では《軽妙なマナー違反》の目的で最も使用されるのは「失礼」類だっ た。 【用例 15】の場面は草薙さんという警察は容疑者にプライベート的な情報を聞く ので、これから失礼になる可能性がある質問を聞くという前置きを先に言う。調べ た結果、家族や名前や年齢などの個人情報を聞く時によく使用される。 【用例 16】は 相手の話を中断する場面である。両方の場面は聞き手に何等かの不愉快を与える可 能性があるので、謝罪表現を使うすべきだ。それと同様に、ベトナム語の場合も「xin lỗi」をそのまま翻訳された。 42 3.2.2 考察 本論文では、日本語原作とベトナム語翻訳版の小説を資料として、両言語の謝罪表 現の使用頻度、使用場面、相手との関係における類似点と相違点を明らかにした。 まず、謝罪の使用頻度についてである。日本語はベトナム語より謝罪の使用頻度が 高い。小説から抜き出した結果、日本語のは 101 件で、ベトナムのは 93 件であった。 また、日本語の謝罪表現には「ごめん」類、 「すまない」類、 「申し訳ない」類、 「失 礼」類、 「悪い」類があって、言語形式が豊富なのに対し、研究の範囲ではベトナム の謝罪表現はほぼ「xin lỗi」に翻訳されて、言語形式の数少ないと見られる。 次に、謝罪の使用場面についてである。日越とも謝罪表現の使用場面が多く現れる が、日本語に比べベトナム語の謝罪の機能は少ない。両言語の共通機能は《謝罪》、 《依頼の前置き》 、 《辞退》 、 《軽妙なマナー違反》で、相当ではない機能は《感謝》 (3 件)、《注意喚起》 (2 件) 、 《挨拶》 (3 件)という結果になった。 最後に、話し手と聞き手との人間関係についてである。本論文の研究範囲は広くな いので、最初の判断として日本語とベトナム語における人間関係の相違を触れたい。 日本語の場合は、話し手と聞き手との親疎関係・上下関係に意識して、謝罪表現を 適切に使用する。ベトナム語の場合は、話し手と聞き手との親疎関係・年齢を考え て、 「xin lỗi」のほかに、ふさわしい第二人称をつけることが多い。 以上の つの結果から、両言語の謝罪表現の類似点・相違点を明らかにした。 43 3.2.2.1 両言語の謝罪表現の類似点 ・謝罪の使用目的は《謝罪》 《依頼の前置き》 《辞退》 《軽妙なマナー違反》という点 が共通である。 ・聞き手との親疎関係に気を使って、ふさわしい謝罪の言語形式を使用する傾向が ある。 3.2.2.2 両言語の謝罪表現の相違点 ・日本語の謝罪表現には様々な言語形式がある。これは目的、相手、感情によって 使われる。ベトナム語はどの目的、相手、感情でもほぼ「xin lỗi」を使う傾向がある。 ・日本語では謝罪の使用目的・場面が広く、感謝などの場面でも謝罪表現を使うが、 ベトナム語には《感謝》 《注意喚起》 《挨拶》という目的を持っていないと見られる。 ・ベトナム語の謝罪形式は年齢という点によって少し変わることがある。 44 3.3 研究の貢献 3.3.1 日本語及びベトナム語の外国語教育への貢献 本研究の結果は、外国語教育、特にベトナム語日本人学習者や日本語ベトナム人学 習者にとって、参考できる資料になると期待している。「謝罪表現」は両言語の間、 相違点が いくつがあるので、違和感や誤解にならないように、それぞれの謝罪表 現の機能・使用場面を把握すべきだと思っている。また、言語教育のみならず、両 国の異文化コミュニケーションを理解し、スムーズにコミュニケーションを図るた め、言語行動の参考資料が必要であろう。 3.3.2 日越の翻訳・通訳への貢献 日越の翻訳や通訳のとき、そのまま「謝罪表現」を直訳するのを避け、場面をよく 分析し、両言語・両国の文化の類似点と相違点をよく把握してから適切な表現を使 用すべきである。それで、本研究の結果は翻訳や通訳の分野にも役に立つと期待し ている。 45 結論 まとめ 本論文では日本語とベトナム語の謝罪表現を対照した。 結果としては次の つのようにまとめる まず、両言語の謝罪表現の使用頻度、言語形式についてベトナム語より日本語の方 が高い。また、日本語の謝罪の言語形式も豊富である。一方、ベトナム語はどんな 場面であろうと、どんな相手であろうと使うことができる「xin lỗi」が目立つ。 次に、両言語の謝罪表現の使用目的について、日本語は「罪」の有無に関係なく、 《感謝》や《挨拶》など様々な機能を持っている。しかし、日本語とことなり、ベ トナム語は謝罪場面において《感謝》《注意喚起》 《挨拶》が単独で使用されること がない。 また、初めての一歩として両言語の謝罪表現の話し手と聞き手との人間関係も少し 助言し、相違を指摘した。日本語は親疎関係・上下関係を、ベトナム語は親疎関係・ 年齢を考えて、適切な謝罪の言語形式が使用される。 この結果から、日本語教育と異文化コミュニケーションに役立つと期待している。 ベトナム人日本語学習者は日本語でコミュニケーションの際、両言語の謝罪表現の 特徴・使用場面を誤解しないようにしっかり把握すべきである。 46 今後の課題 今回の研究では小説作品を研究資料として行うので、ある程度制限がある。例えば、 実際のコミュニケーションと異なる点もあるし、収集データも多くない。また、今 回は両言語の使用頻度、使用目的・場面を中心とし、両言語を比較したので、今後 の研究は以上の話し手と聞き手との人間関係やジェンダーをさらに深く研究するこ と及び両言語の謝罪ストラテジーを比較するを目的としたい。研究方法について、 両言語のテレビドラマの脚本やアンケート調査を行おうと考えている。この研究は 文学作品を超えて、実際の発話・コミュニケーションに近い資料を収集し、研究を 進めたいと思っている。 47 図表のリスト <図> 図 1:言語行動・コミュニケーション・インターラクションの関係 図 2:日本語原作版の謝罪表現の出現率(%) 28 図 3:ベトナム語翻訳版の謝罪表現の出現率(%) 29 <表> 表 1:謝罪表現の機能の分類 21 表 2:研究資料として使用された文学作品 26 表 3:謝罪表現の使用目的(統計) 30 48 参考文献 日本語文献 (1) 池田理恵子(1993) 「謝罪の対照研究:日米対象研究-face という視点からの一 考察」 『日 本語学』12 巻 12 号 明治書院,pp.13-22 (2) 大谷麻美(2002) 「謝罪慣用表現と謝罪心理―日・英対照研究」 『日本英語コミュ ニケーション学会紀要』第 巻 号・東京日本英語コミュニケーション学会 (3) 生越まり子(1993) 「謝罪の対照研究―日朝対照研究―」 『日本語教育』12 巻 12 号 明治書院,pp.29-35 (4) 柏木厚子(2015) 「映画・テレビドラマにみる日米謝罪表現の差異―オリジナル 言語版及び吹き替え版の分析から―」 『学宛』893,昭和女子大学国際学科,pp.11 -25 (5) 国際交流基金(2018) 「海外の日本語教育の状況-2018 年度日本語教育機関調査 より」, pp.32 – 33 (6) 熊谷智子(1993) 「研究対象としての謝罪」『日本語学』12 巻 12 号 明治書院, pp.4-12 (7) 熊取谷哲夫(1992) 「発話行為対照研究のための統合的アプローチ―日英語の「詫 び」を例に―」 『日本語教育』79 号 明治書院,pp.26-39 (8) 近藤富智子(2002) 「日米比較『謝罪』考―謝罪のあり方とその照準」 『現在社会 49 学』3 号, pp.49-63 (9) 佐藤啓生(2011) 「現代日本語の謝罪言葉に関 する研究」 『岩手大学大学院人文 社会科学研究科 紀要』第 20 号・岩手大学大学院 (10) 杉戸清樹(1992) 「言語行動」『社会言語学』桜楓社 (11) 中田智子(1989) 「発話行為としての陳謝と感謝―日英比較―」 『日本語教 育』68 号,pp.191-203 (12) ネウストプニー,J.V.(1988) 「日本人のコミュニケーション行動と日本語 教育」 『日本語教育』67 号,pp.11-24 (13) ネウストプニー,J.V.(2005)「日本の言語行動の過去と未来」『日本語教 育』67 号,pp.11-25 (14) 森山卓郎(1992) 「係修復のコミュニケーション―現代日本語のお礼とお 詫びの定型表現―」 『藤森言葉の論集』清文堂,pp.270-29 (15) 山本もと子(2003)「謝罪の謝罪表現「すみまん」―「すみません」が感 謝と謝罪の両方の意味を持つわけ」 『信州大学留学生センター紀要』第4号・信州 大学 (16) 山梨正明(1986) 『発話行為』 大修館書 (17) 彭国躍(2005) 「現代日本語の謝罪発話行為の類型と機能」 『日本語学』24 巻 号 明治書院,pp.78-90 50 英語文献 (1) Austin, J.(1962) How to things with words., In J O Urmston(Ed., Cambridge, Mass: Harvard University Press (2) Brown,P & Levinson, S.C.(1978) Politeness: Some Universals in Language Usage Cambridge: Cambridge University Press (3) Goffman,E (1971) Relations in Public: Microstudies of the Public Order New York: Halt, Rinehart and Winston (4) Goffman,E (1972) Interaction Ritual: Essays on Face-to-Face Behavior Harmondsworth: Penguin (5) Kotani,M.(1999)A discourse analytic approach to the study of Japanese apology: The feel-good apology as a cultural category., In N Sugimoto ed., Japanese apology across disciplines, Commack, NY: Nova Science Publishers, Inc., pp.125-154 (6) Searle,J.R.(1969)Speech Acts Cambridge University Press ベトナム語文献 Nguyen, D.(2006)Hành động xin lỗi: Một phân tích dụng học – văn hóa tiếng Việt 『言語学科』ハノイ国家大学・人文社会科学大学,pp.55-62 51 ... TRƯỜNG ĐẠI HỌC NGOẠI NGỮ KHOA NGƠN NGỮ VÀ VĂN HĨA NHẬT BẢN KHĨA LUẬN TỐT NGHIỆP HÀNH ĐỘNG XIN LỖI TRONG TIẾNG NHẬT -? ?ỐI CHIẾU VỚI TIẾNG VIỆT- Họ tên: NGUYỄN THỊ THU TRÀ Mã số sinh viên: 16041707... Duong(2006)の研究から、ベトナム人は「間接的謝罪」のストラテジ ーの方がよく使用しているが、ベトナム人に好まれる典型的な謝罪表現は? ?xin lỗi? ?? が含まれる表現であることと分かった。例えば、 ? ?xin lỗi? ??しか使えない場合もあれ ば、 「A xin lỗi B」、 「A xin lỗi? ?? 、 ? ?xin lỗi B」 (A は話し手、B は聞き手)という名称や 第二人称を追加する形ある。また、謝罪表現の前後に「ôi」... 性の容疑者である。そのため、日本語の「申し訳ありません」がベトナム語の? ?xin lỗi anh」に翻訳された。「anh」は男性を指す丁寧な第二人称である。 このように、日本語は親疎関係・上下関係によって「ごめん」やすみません」や謝 罪表現を頻度に使う。しかし、ベトナム語翻訳版を見ると、同じ? ?xin lỗi? ??を使用し ても? ?xin lỗi? ??だけや「第一人称? ?xin lỗi? ??や? ?xin lỗi? ??第二人称」など親疎関係・年

Ngày đăng: 08/09/2021, 15:41

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