Vấn đề 8050 trong xã hội nhật bản nghiên cứu về hoạt động hỗ trợ cho các hikikomori trung và cao niên

82 9 0
Vấn đề 8050 trong xã hội nhật bản nghiên cứu về hoạt động hỗ trợ cho các hikikomori trung và cao niên

Đang tải... (xem toàn văn)

Tài liệu hạn chế xem trước, để xem đầy đủ mời bạn chọn Tải xuống

Thông tin tài liệu

Vấn đề 8050 trong xã hội Nhật Bản Nghiên cứu về hoạt động hỗ trợ cho các Hikikomori trung và cao niên Vấn đề 8050 trong xã hội Nhật Bản Nghiên cứu về hoạt động hỗ trợ cho các Hikikomori trung và cao niên

ベトナム国家大学ハノイ校日越大学 地域研究プログラム日本研究専攻 - DINH QUYNH TRANG 現代日本における 8050 問題 ― 中高年ひきこもりへの支援活動に着目して ― 修士学位論文 ハノイ、2020 年 ベトナム国家大学ハノイ校日越大学 地域研究プログラム日本研究専攻 - 修士学位論文 現代日本における 8050 問題 ― 中高年ひきこもりへの支援活動に着目して ― 地域研究プログラムコード:8310604.01QTD 指導教員 NGUYEN PHUONG THUY 教授.博士 学位申請者 DINH QUYNH TRANG (学生番号:18110013) ハノイ、2020 年 論文要旨 ひきこもり問題は 1970 年代ごろに認知され、1990 年代の終わりまで若者の問題として日本 社会で広く捉えられていた。ところが、時間が経ち、当時の若者が中高年になっていく。つ まり、ひきこもりの長期高齢化問題が生じた。この問題に対応するため、2018 年に内閣府 は 40 歳から 64 歳までの国民を対象とし、「生活状況に関する調査」を実施した。ひきこも りの長期高齢化は、50 代のひきこもる中高年の子と 80 代の高齢の親が孤立するという 8050 問題に繋がる(当事者の若者が 40 代から 50 代、彼らの親が 70 代から 80 代となった)。近 年、日本全国には 8050 問題が知られるようになった。8050 問題はひきこもり問題が新しい 局面を迎えていることを示している。ひきこもり問題は、経済的問題だけでなく、社会心理 的・教育的・医療的等な面も含めて、現代日本の深刻な社会問題としてとらえられている。 ひきこもり一般に対する支援はいまだに不足していると言える。日本政府はさまざまな支 援策を公表したが、ほとんどの対策は若年ひきこもりを対象として実施されている。中高年 ひきこもりへの対策はまったくないわけではないが、その有効性はまだ確認されていない。 そのため、彼らがどのような支援を必要としていて、どのような支援が有効であるのかにつ いてはいまだに明らかになっていない。 近年では、民間レベルで 8050 問題や中高年ひきこもりの原因に関する研究が行われている が、中高年ひきこもりへの支援活動に注目が集まっている研究は尐ない。それで、この問題 についての研究が求められる。 本研究では、現代日本社会における 8050 問題の解決策として、中高年ひきこもりへのどの ような支援活動が求められるのかを明らかにすることを目的とする。具体的には、中高年ひ きこもりと言われている問題がどのような問題であるのかを明らかにし、日本の現行のひき こもり施策を検討し、ひきこもり支援の問題点を指摘した。また、日本でのいくつかのひき こもり支援団体(NPO 等)の現場でインタビュー調査を行った。これらを通して、現行のひき こもり対策の方針と実践の乖離について指摘した。そして、若年ひきこもりと中高年ひきこ もりへの支援方法の相違点に関する知見も提供した。 目次 序論 1 問題の所在 先行研究 研究目的・研究意義 研究範囲・研究方法 論文の構成 第1章 現代日本における中高年ひきこもり問題 11 1.1 ひきこもり問題の概要 11 1.1.1 ひきこもりの定義 11 1.1.2 ひきこもりの原因 12 1.2 「ひきこもりシステム」 14 1.2.1 「ひきこもりシステム」における個人と社会の関係 17 1.2.2 「ひきこもりシステム」における個人と家族の関係 17 1.2.3 「ひきこもりシステム」における家族と社会の関係 18 1.3 中高年ひきこもり問題の概要 19 1.3.1 ひきこもりが高齢化した原因 19 1.3.2 中高年ひきこもりの概念 21 1.3.3 中高年ひきこもり問題による 8050 問題 21 1.4 ひきこもりが高齢化するまでのプロセス 22 小括 25 第2章 現行のひきこもり対策 26 2.1 ひきこもり対策推進事業 26 2.1.1 ひきこもり地域支援センター設置運営事業 26 2.1.2 ひきこもり支援に携わる人材の養成研修・ひきこもりサポート事業 27 2.2 生活困窮者自立支援制度 29 2.3 就職氷河期世代への支援策 32 2.3.1 就職氷河期世代支援プログラム 33 2.3.2 厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン 34 2.4 「地域共生社会」の全面展開 37 2.5 これまでのひきこもり支援策の動向 39 小括 44 第3章 事例から見た中高年ひきこもりへの支援活動とその評価 45 3.1 ひきこもり者とその家族から見た支援活動と評価 45 3.1.1 本人のひきこもりになる前からひきこもり状態へ移行するまでの過程とその支援 について 45 3.1.2 事例 から分かったこと 48 3.2 支援団体から見た支援活動と評価 48 3.2.1 X センター 49 3.2.2 Y 団体 57 3.3 中高年ひきこもり支援に対する検討 61 小括 62 結論 64 参考文献 69 付録 74 表目次 表 0-1 表 1-1 表 1-2 表 2-1 表 2-2 表 2-3 表 2-4 調査協力者一覧 ひきこもりの定義 11 ひきこもりの三分類 12 生活困窮者自立支援制度の各事業概要 29 厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プランにおける各種事業の主な内容 35 市町村の新たな事業の概要 37 ひきこもりに関する施策の経緯 42 図目次 図 1-1 健常なシステム 16 図 1-2 ひきこもりシステム 16 図 1-3 ひきこもりが高齢化するまでのプロセス 24 図 2-1 ひきこもり地域支援センター設置運営事業の概要 27 図 2-2 ひきこもり支援に携わる人材の養成研修・ひきこもりサポート事業の概要 28 図 2-3 市町村でのひきこもり支援の強化の全体像 32 図 2-4 厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン(全体像) 36 図 2-5 市町村の新たな事業の枠組み 38 図 3-1 X センターのひきこもり支援の取り組み 49 図 3-2 個室(1) 52 図 3-3 個室(2) 52 図 3-4 パソコン室(1) 52 図 3-5 パソコン室(2) 52 図 3-6 年内のイベントの写真コーナー 52 図 3-7 コモンルーム 52 序論 「ひきこもり」「8050 問題」という概念の定義についてはそれぞれ第 章第 節第 項と 第 章第 節第 項に整理されているので参照されたい。 問題の所在 ひきこもり問題は 1970 年代ごろに認知され、1990 年代の終わりには若者の問題として広く 日本社会で認識されるようになるテーマになってくる。この時期、日本の経済状況は高度成 長期から停滞期に変わった。そのため、専門的な知識や技術、実務経験の一定年数などを必 要としない単純労働への需要が減尐するなど、雇用システムが変化した。その結果、若者向 けの仕事が減尐し、また企業による雇用削減によって就職難で働けない若者が増えた。この ような新しい雇用システムに適応できない若者は、社会から脱退することになった。そして、 彼らは、多くの場合、親に共感と支援を求めるが、世代差のため十分な理解を得ることがで きない。彼らの親の世代は高度経済成長期の黄金時代を経験してきた世代であり、就職口に 困った経験がない。1990 年代以降状況が大きく変化し、就職がそれ以前より困難になってい るにも関わらず、自分の成功体験の価値観から自分の子の様子を「怠け者」「精神が弱い」 などと咎めるだけで、積極的な援助をしない。このように、彼らは長期間にわたって助けを 求められないまま、ひきこもりの状態から抜け出せなくなってしまう。 かつては、若者に限られた問題と考えられていたが、解決が難しいひきこもり問題は多く の場合長期化し、中高年になっても社会参加ができないケースが多く示された。2016 年に内 閣府の「若者生活に関する調査」では、15 歳から 39 歳までのひきこもりの推計数は 54.1 万 人とされた(内閣府、2016)。しかし、その後、ひきこもりの長期高齢化問題が生まれた状 況に応じて、内閣府は、対象年齢を 40 歳から 64 歳までにし、2019 年度に改めて実態調査 を実施した。その調査では、61.3 万人がひきこもりと推計された(内閣府、2019)。このこ とは、ひきこもり問題が若者だけではなく中高年者の問題でもあることを意味する。 ひきこもりの長期高齢化は、8050 問題に繋がる。ひきこもりは長期高齢化しており、その 結果として 80 代の親と同居するひきこもりの 50 代の子がともに孤立している問題が深刻化 している。ひきこもり本人は働かないため自分の収入がないまま、親の年金で生活せざるを 得ない。また、本人も親も年齢が高いほど、体力的および精神的な問題に直面する可能性が 高くなる。そのため、長い間経済的・精神的・体力的問題が進んでいることによって、結局 は親も本人も倒れることを引き起こす可能性が非常に高い。近年、日本全国には 8050 問題が 知られるようになった。8050 問題はひきこもり問題が新しい局面を迎えていることを示して いる。つまり、今のところひきこもり問題が収束に近づいているという兆しは見えないと言 えるだろう。 先行研究 これまで、ひきこもり問題に関する現状、長期高齢化問題、8050 問題と課題について述べ てきた。次はひきこもり問題に関わる先行研究をまとめていく。詳しくは先行研究が、ひき こもり問題の変化過程、ひきこもりの実態調査、8050 問題に関する研究、ひきこもり支援に 関する研究という つの部分に分かれる。それを踏まえて、最後に先行研究の問題点につい て述べる。 ィ ひきこもり問題の変化過程 ほとんどの先行研究が、ひきこもりは 1970 年代に合われた現象であるとしている。 長谷川(2019)が指摘する通り、1945 年の戦後は大きな改革が求められた時期であるから、 他人と協力し、古いものを壊し、新しいものを創ることを意味する「社会力」が個人にとって 必要とされた。しかし、1970 年代以降、高度経済成長期が終わって、「一億総中流」の実現 を目指す時代では、「社会力」ではなく、「社会性」(改革することではなく、現在の状況 に適応していく姿勢)こそが求められた。この時代に、「強迫的に社会へ適用する態度の形 成や、社会のあり方を問わない子供や若者の誕生が始まった」(長谷川、2019:16)。 保坂(2000)は「不登校」が 1970 年代から徐々に現れるとしている。井出(2007)による と、この時代に「ひきこもり第一世代」 が誕生した。1980 年までのひきこもり問題は不登校 の問題と見なされた(荻野、川北、工藤、高山、2008:44)。 関水(2016)が指摘するように、1990 年代の企業福祉の縮小により、近代家族は過重な生 活保障の責任に苦しんでいる。同筆者は「産業化の進展とそれに適応した『男性稼ぎ主』型 の近代家族の確立、その反面、政府が経済政策への傾倒した結果としての社会保障の未整備」 と述べた(関水、2016:53)。この不均衡がひきこもり問題を成立させる。また、日本の 「失われた 10 年」と呼ばれるこの時代に、バブル崩壊とともに、就職氷河期世代が生まれた。 不動産バブル崩壊と多くの企業の倒産により、失業者数が増加した。そこで一部の失業者が、 就職活動をしないまま、ひきこもりの状態に移ることが問題化された。 上で言及したとおり、内閣府は対象年齢を 40 歳から 64 歳までにし、2019 年度に改めて実 態調査を実施した。その調査では、61.3 万人がひきこもりと推計された。ひきこもりの長期 高齢化問題は、ひきこもり問題がもはや若者特有の問題ではなく、ひきこもり問題が新しい 局面を迎えていることを示している。この問題は、以下で説明する「8050 問題」と名付けら れている。 池上(2019)はこの「8050 問題」が注目されるようになったのは、ここ 2~3 年間のことで あると指摘した。8050 問題にはそもそも中高年ひきこもりである人と、もうすぐひきこもり 状態に入る 7040 問題が含まれている。ここでの 7040 問題は不安定雇用や無職で生活に困難 を抱える 40 代の子供の生活を、仕事から引退した人も多い 70 代の親が支え、結果的に貧困 状態で共倒れする問題を意味している。7040 問題は 8050 問題へと深刻化する可能性がある (玄田、2019:131)。現在の 40 代の世代には、就職氷河期世代1が含まれており、就職でき ないきっかけで無職状態が継続している人または不安定な雇用形態のままで暮らしてきた人 も多く、社会的孤立を抱えている人も多い。彼らは、8050 問題の予備軍となっている。 ロ ひきこもりの実態調査 2019 年までの日本政府のひきこもりに関する大規模実態調査は 回実施されており、その 結果は以下のようにまとめられる。 2006 年に厚生労働省の「こころの健康についての疫学調査に関する研究」 では、ひきこも りの経験者は 1.1%であり、約 26 万世帯(出現率 0.56%)が「ひきこもり」者を抱えてい ると推測された(厚生労働省、2006)。 2010 年に内閣府の「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」 では、ひ きこもりの推計数は 69.6 万人と報告された(内閣府、2010)。 2016 年に内閣府の「若者生活に関する調査」 では、「狭義のひきこもり」と「準ひきこも り」の合計を「広義のひきこもり」とされ、15 歳から 39 歳までの広義のひきこもりの推計数 は 54.1 万人とされた(内閣府、2016)。 2019 年に内閣府の「生活状況に関する調査」 では、40 歳から 64 歳までのひきこもり当事 者の推計数は 61.3 万人とされた(内閣府、2019)。 ハ 8050 問題に関する研究 川北(2019)は現代社会に、人口構造や若者の雇用環境の変化など複数の原因が重なり、 8050 問題のような深刻な問題を生み出すだろうと述べている。同筆者によると、このような 「就職氷河期世代」とは、概ね 1993(平成 5)年~2004(平成 16 年)年に学校卒業期を迎えた 世代を指す言葉である。 減尐するが、本人の社会参加への就労支援や自立支援が必要とされる。最後の親 90 歳・本人 60 歳のステージでは、親が亡くなる可能性があるため、本人に親の葬儀の準備と一人で生き ていくために早急な支援が実施される必要がある。ここで留意すべき点は、親の死亡により、 親の財産は凍結してしまうため、相続の手続きをしなければ凍結を解除できないことである。 そのため、遺言、ライフプランニングのような事前対策が非常に重要となってくる。 3.3 中高年ひきこもり支援に対する検討 第 章では、中高年ひきこもりへの支援活動を親の視点および支援者の視点から検討した。 第 章の第 節第 項と第 項から、X センターと Y 団体の つの民間団体は、それぞれ支援 の方針が異なるが、行政と協力し、ひきこもり本人をはじめ、生きづらさを抱えている人達 を早期に発見し、支援する努力をしていることが分かる。そして、3 つの事例から有効なひき こもり支援について分かったことが つある。 つ目は、現行のひきこもり支援制度が不十分を一因として、過去に支援を受けたが、本人 は元のひきこもり状態に戻るケースが生じていることである。事例 で述べたように、本人 の支援過程から見ると、本人がひきこもっている 16 年間において、効果が出た支援は 回の みであり、その支援すらも続かなかった。残りの支援は本人にとってあまり効果がなかった 支援である。本人は再びひきこもり状態に陥り、現在何のひきこもり支援を受けておらず、 その状態を保っている。これは、単なる つのケースであるが、支援側と支援される側のミ スマッチが生じていることが示された。この状況が続くと、A さんの場合だけでなく、A さん の場合と同じ状況を直面している他の家族は、今後 8050 問題を抱えるリスクが高いと言える だろう。 つ目は、ひきこもりについて、同じ状態像を前提としているが、現実には場合によってそ れぞれの個別特殊性の度合いが高いため、支援方法を場合に応じてより細かく分類する必要 があるということである。3 つの事例から、ひきこもり支援に検討すべき要素には、ひきこも り状態になったきっかけ、本人の年齢、本人の就労経験、ひきこもっている期間、本人の健 康状態、親子関係などがあると言える。 つ目は、2 つ目の点と関連して、ひきこもりの種類は幅広いが、国としての現在に実施さ れている縦割りの対策が全部のひきこもりの種類をカバーしていないということである。今 後政策の対象者の範囲を広げつつ、現存の制度同士を有効に連携させる必要があることが示 唆されたと言える。 つ目は、若年ひきこもりと中高年ひきこもりへの支援方法の相違点に関するものである。 年齢が上がると就職の選択肢が狭くなり、理解力・運動力などの柔軟性が減り、ひきこもり 61 期間が長ければ長いほど独り言、自傷行為が増えるなどといった二次的な問題が発生するこ とが示された。そのため、中高年ひきこもりの支援の際にはこのような要因を考慮に入れ、 本人に適切な支援プランを作成する必要がある。加えて、年齢とともに就職の選択肢が減る が、全くないわけではないため、選択肢がまだあることをひきこもり本人に知ってもらうこ とは重要であるだろう。 つ目は、3 つの事例から、支援する側と支援される側の両方にとって、ひきこもり支援に おける最大の問題は、社会からの偏見であると分かる。ひきこもりに対する見方などが変わら ないと、ひきこもり本人の社会復帰はきわめて困難である可能性が高いため、ひきこもり支援 はどんなにより良く実施されたとしても、長期的に 8050 問題をはじめ、ひきこもり問題を解決 することは難しいと思われる。そのため、ひきこもり問題に対して社会から共感を得ることが 必要であると考えられる。したがって、ひきこもり支援策を講じるにあたって、ひきこもりに 対する社会の偏見や差別を減らす指針をも打ち出すことが必要になると考えられる。 つ目は、8050 問題解決への有効な取り組みの方向性に関するものである。早期にひきこ もり問題に対応するために中学校・高等学校教育でひきこもり支援に関する情報を提供する 仕組みや、行政と民間の連携を充実し、ひきこもりに関する情報を発信することなど、ひき こもり支援に関する情報の発信方法を工夫することが期待されると言える。また Y1 さんによ れば、日本においてはひきこもり支援団体が多いが、支援団体の中で情報が共有されていな いということがある。したがって、自治体・支援団体は情報共有の仕組みを作成することが 求められる。さらに、今の制度では 8050 問題予備軍が支援対象から抜け落ちるため、Y 団体 のような民間団体は、8050 問題について自力で先駆的に研究し、確立してきたようである。 ただし、このような解決策は効果をもたらすかについてはまだ明確でない面があるよって 8050 問題の解決策とその効果に関する詳細研究が求められる。 小括 第 章では、ひきこもり支援の実際として、事例から見た中高年ひきこもりへの支援活動 を記述した。序章で提示したように、日本における つのひきこもり支援団体の理事長と、 長期化したひきこもりの息子を持つ母親にインタビュー調査を実施した。母親の話から、ひ きこもり本人が経験したひきこもりになる前からひきこもり状態へ移行するまでの過程を明 らかにし、ひきこもり本人とその家族に対してどのような支援が求められるのかを検討した。 そして、2 つのひきこもり支援団体の理事長とのインタビュー調査に基づき、現在で行われる 支援活動と抱えている課題などを検討した。ひきこもり支援の実際を紹介し、それを踏まえ 62 て、現行のひきこもり対策の方針と実践の乖離について指摘した。その結果と先行研究の概 観から、中高年ひきこもり支援における注意点について検討した。 63 結論 ひきこもり問題は 1970 年代ごろに認知され始め、1990 年代の終わりには若者の問題として 広く日本社会で認識されるようになるテーマになってくる。かつては、若者に限られた問題 と考えられていたが、解決が難しいこの問題は多くの場合長期化し、中高年になっても社会 参加ができないケースおよび 8050 問題にケースが多く示された。中高年ひきこもりは、ここ 数年可視化されたばかりの問題であるがゆえに、有効な支援策は目下確立していない。本研 究の目的は、現代日本社会における 8050 問題の解決策として、中高年ひきこもりへのどのよ うな支援活動が求められるのかを明らかにすることである。 本研究は上記の問題について、5 つの章を通して論じてきた。序論では、本研究における筆 者の問題意識を示したのち、ひきこもり現象の変化過程、ひきこもりの実態調査、8050 問題、 ひきこもり支援をめぐる先行研究を概観し、先行研究の問題点を明らかにした。次に、本研 究の目的、意義、研究方法を示した。第一章「現代日本における中高年ひきこもり問題」で は、ひきこもり問題と中高年ひきこもり問題について記述した。まず、ひきこもり問題にお いて、ひきこもりの定義と原因を説明した。そして、ひきこもりシステムという概念を用い てを明らかにした。次に、中高年ひきこもり問題を紹介し、ひきこもりの長期化・高齢化の 理由を述べ、8050 問題について説明した。また、中高年ひきこもり問題を日本社会の中でど のように位置付けるのかについても検討した。第 章からひきこもりが高齢化するまでのプ ロセスを得た。第二章「現行のひきこもり対策」では、現在日本政府が実施している「ひき こもり対策推進事業」「生活困窮者自立支援制度」「就職氷河期世代支援プログラム」 「『地域共生社会』の実現に向けて」を紹介した。また、その つの対策の関連性を検討、 これまでのひきこもり支援策の動向をも概観した。それを踏まえて、中高年ひきこもり問題 を解決するために、現行の対策はどのような効果を発揮するのかについて説明した。第三章 「ひきこもり者の側から中高年ひきこもりへの支援活動」では、実際に中高年ひきこもり支 援はどのように行われているのかを検討した。ここで、3 つの事例を挙げ、若年ひきこもりと 中高年ひきこもりへの支援方法の相違点を述べた。結論は、本論文全体のまとめとしてそれ らから導きうる結論を述べるものである。以下、リサーチクエスチョンへの答えを述べる。 現在、日本政府が実施しているひきこもり対策には 種類がある。まず、「ひきこもり地 域支援センター」を中心としてひきこもり支援に通した「ひきこもり対策推進事業」が つ 目である。2 つ目は「生活困窮者自立支援制度」である。3 つ目は就職氷河期世代の支援策に おけるひきこもり支援策である。4 つ目は「地域共生社会」の実現に関する施策である。 64 2013 年からは「ひきこもり対策推進事業」における「ひきこもり支援に携わる人材の養成 研修・ひきこもりサポート事業」が実施された。2015 年には厚生労働省の「生活困窮者自立 支援制度」が発表された。これは年齢制限のない制度であるため、中高年ひきこもりや 8050 問題を抱える人への支援の強化が期待されるものである。2019 年に、「厚生労働省就職氷河 期世代活躍支援プラン」および「就職氷河期世代支援プログラム」の就職氷河期世代への支 援策の講じることを通じて、地域関連ネットワークの推進としてひきこもり支援がより強く 強化される。最後に、2020 年から厚生労働省が全面的に展開する「地域共生社会」に関する 対策である。これにおいて、8050 問題の支援、地域連携ネットワークの強化、市町村レベル での支援の強化などの事業が含まれる。 これまで政府が実施してきたひきこもり支援策の動向については、次のように述べる。ひ きこもり問題は、若者だけではなく中高年者の問題でもあることが指摘され、ひきこもり支 援においても若年層だけを対象とした従来の年齢制限がなくなる傾向が見られる。そして、 ひきこもり支援の法的根拠は、15 歳から 39 歳までを対象とした「子ども・若者育成支援推進 法」から 2015 年度に施行された 40 歳以上も含まれている「生活困窮者自立支援法」へと変 化した。また、ひきこもり問題は当初、精神医療に関する問題と見られる傾向が強かったが、 ますます就労問題や生活のおける困窮問題として見られるようになるという変化がある。ひ きこもり支援も、精神医療や福祉に関する支援から、教育、就労などを含む支援に広がり、 現在は包括的・総合的な支援に変わってきた。とりわけ、中高年ひきこもり問題および 8050 問題の支援への関心はますます高まっている。これまでのひきこもり支援策は、第 章で指 摘した、「中高年者」「経済的に困窮する者」「社会的孤立」という視点から検討されたと 言えるが、実際にはどのように実施されるのか、どのような課題が発生するのかなどについ ては未だ明らかになっていないことが多い。さらに、対策の実施主体については、全都道府 県と指定都市レベルから、市町村レベルに拡大する傾向が見られる。そして、地域における 支援ネットワークの緊密度が高まり、支援の必要な人にとってより有用になってきたと言え るだろう。対策の主体の広がりと地域における支援ネットワークの強化は、2009 年のひきこ もり対策推進事業が 2020 年の地域共生社会の実現に向けた取り組みに包摂されたことから知 ることができる。そして、これにより、第 章で述べた、支援を受けないまたは受けられな い 8050 問題を抱え孤立している家族を早期に発見し、支援に関する情報を効果的に届けられ ることが期待される。 ひきこもり問題とその従来の支援策に関しては、上記のような改善点が見られるが、四つ の問題点を指摘することができる。1 つ目は、ひきこもりの長期化に関する問題は、早くも 2003 年のガイドラインで言及されたが、おそらくこれまでのひきこもり対策における長期化 65 予防の支援策に不十分なところが存在するため、ひきこもりの長期化問題が続いているとと もに、高齢化問題も発生したと言えるだろう。2 つ目は、様々な側面で拡充したひきこもり支 援策全体を概観すると、それらを支えるための人材も合わせて必要となるので、ひきこもり 支援者やサポーターなど人材の育成に取り組む必要があると言える。序章で指摘したように、 ひきこもり支援の現場ではすでに人材不足という問題が発生しているので、ひきこもり支援 者の育成は今後有効な対策が求められる点である。3 つ目は、現場でのひきこもり支援に、上 記のような人材不足問題の他にも、「暴力的支援団体」に関する問題が報告されている。こ のような似非治療を行う人々は、ひきこもり本人の意思や気持ちを無視し、支援者が本人を 拘束して自称「自立支援」という施設に連れ込み、監禁状態に置く。監禁状態の中でひきこ もり本人は強い恐怖を感じ、自分を監禁状態に置いた親を恨む可能性が高くなる。結果とし て、親子間のコミュニケーションがさらに減尐するといった問題が発生する。このような団 体は、ひきこもり本人の人権を侵害し、また親子関係を悪化させるグループであるがゆえに、 「暴力的支援団体」と呼ばれている。文字通り暴力までいかなくても、彼らの行為はひきこ もり本人の心の特性と矛盾しており、本人を強制的に社会に適合させるので、精神的暴力と 見なされる。こうした中、そのような団体にどのように対処するのか、そしてひきこもり本 人やその家族がそのような団体との接触を未然に防ぐような支援ネットワークが求められる。 つ目は、ひきこもり問題に対しての社会からの偏見や差別に関する点である。ひきこもり支 援はどんなにより良く実施されたとしても、社会からのひきこもりに対する偏見が変わらな いと、ひきこもり本人の社会復帰はきわめて困難である可能性が高い。したがって、ひきこ もり支援策を講じるにあたって、ひきこもりに対する社会の偏見や差別を減らす指針をも打 ち出すことが必要になると考えられる。 ひきこもり支援の実際として、事例から見た中高年ひきこもりへの支援活動を記述した。 第 章で提示したように、X センターと Y 団体の つの民間団体は、それぞれ支援の方針が異 なるが、行政と協力し、ひきこもり本人をはじめ、生きづらさを抱えている人達を早期に発 見し、支援する努力をしていることが分かる。そして、3 つの事例から有効なひきこもり支援 について分かったことが つある。 つ目は、現行のひきこもり支援制度が不十分を一因として、過去に支援を受けたが、本人 は元のひきこもり状態に戻るケースが生じていることである。事例 で述べたように、本人 の支援過程から見ると、本人がひきこもっている 16 年間において、効果が出た支援は 回の みであり、その支援すらも続かなかった。残りの支援は本人にとってあまり効果がなかった 支援である。本人は再びひきこもり状態に陥り、現在何のひきこもり支援を受けておらず、 その状態を保っている。これは、単なる つのケースであるが、支援側と支援される側のミ 66 スマッチが生じていることが示された。この状況が続くと、A さんの場合だけでなく、A さん の場合と同じ状況を直面している他の家族は、今後 8050 問題を抱えるリスクが高いと言える だろう。 つ目は、ひきこもりについて、同じ状態像を前提としているが、現実には場合によってそ れぞれの個別特殊性の度合いが高いため、支援方法を場合に応じてより細かく分類する必要 があるということである。3 つの事例から、ひきこもり支援に検討すべき要素には、ひきこも り状態になったきっかけ、本人の年齢、本人の就労経験、ひきこもっている期間、本人の健 康状態、親子関係などがあると言える。 つ目は、2 つ目の点と関連して、ひきこもりの種類は幅広いが、国としての現在に実施さ れている縦割りの対策が全部のひきこもりの種類をカバーしていないということである。今 後政策の対象者の範囲を広げつつ、現存の制度同士を有効に連携させる必要があることが示 唆されたと言える。 つ目は、中高年ひきこもりへの支援の注意点に関するものである。年齢が上がると就職の 選択肢が狭くなり、理解力・運動力などの柔軟性が減り、ひきこもり期間が長ければ長いほ ど独り言、自傷行為が増えるなどといった二次的な問題が発生することが示された。そのた め、中高年ひきこもりの支援の際にはこのような要因を考慮に入れ、本人に適切な支援プラ ンを作成する必要がある。加えて、年齢とともに就職の選択肢が減るが、全くないわけでは ないため、選択肢がまだあることをひきこもり本人に知ってもらうことは重要であるだろう。 つ目は、3 つの事例から、支援する側と支援される側の両方にとって、ひきこもり支援に おける最大の問題は、社会からの偏見であると分かる。ひきこもりに対する見方などが変わらな いと、ひきこもり本人の社会復帰はきわめて困難である可能性が高いため、ひきこもり支援はど んなにより良く実施されたとしても、長期的に 8050 問題をはじめ、ひきこもり問題を解決する ことは難しいと思われる。そのため、ひきこもり問題に対して社会から共感を得ることが必要で あると考えられる。したがって、ひきこもり支援策を講じるにあたって、ひきこもりに対する社 会の偏見や差別を減らす指針をも打ち出すことが必要になると考えられる。 つ目は、8050 問題解決への有効な取り組みの方向性に関するものである。早期にひきこ もり問題に対応するために中学校・高等学校教育でひきこもり支援に関する情報を提供する 仕組みや、行政と民間の連携を充実し、ひきこもりに関する情報を発信することなど、ひき こもり支援に関する情報の発信方法を工夫することが期待されると言える。また Y1 さんによ れば、日本においてはひきこもり支援団体が多いが、支援団体の中で情報が共有されていな 67 いということがある。したがって、自治体・支援団体は情報共有の仕組みを作成することが 求められる。さらに、今の制度では 8050 問題予備軍が支援対象から抜け落ちるため、Y 団体 のような民間団体は、8050 問題について自力で先駆的に研究し、確立してきたようである。 ただし、このような解決策は効果をもたらすかについてはまだ明確でない面があるよって 8050 問題の解決策とその効果に関する詳細研究が求められる。 本研究は、中高年ひきこもりへの支援をはじめ、有効なひきこもり支援ついて検討してお り、先行研究にはない情報を提供している点で意義があると考えている。 本研究で得られた知見を一層発展させる一つの方向性として、ひきこもり経験者に対する 継続支援の役割について分析することが挙げられる。ひきこもり経験者がどのような会社で、 どのような仕事をするのか、元のひきこもり状態に戻ることを防ぐ支援の注意点などについ て研究が今後の具体的な課題と言える。また、一般にひきこもりは男性であるという前提が 暗黙に共有されているがひきこもりの状態にある人は男性のみならず、女性の場合もある。 女性のひきこもりは、就労への社会的圧力が比較的尐ないため、男性とは異なる次元の問題 とそれに適した支援方法があると考えられる。そのため、女性のひきこもりの場合、年齢に 合わせてどのような支援が求められるのかを検討していくことも本研究の射程を広げる一つ の方向性と言える。 68 参考文献 図書 1)池上正樹「中高年ひきこもり『八○五〇問題』の過酷な現実」潮出版社、2019 年7月、 725 号、90-97 頁。 2)池上正樹「ひきこもり 8050 問題を生み出す社会構造」月刊自治研、2019 年 11 月、61 巻、 22 号、22-27 頁。 3)井出草平『ひきこもりの社会学』世界思想社、2007 年、53 頁。 4)荻野達史、川北稔、工藤宏司、高山龍太郎「『ひきこもり』への社会学的アプローチ―メ ディア・当事者・支援活動」ミネルヴァ書房、2008 年 12 月。 5)川北稔『8050 問題の深層「限界家族」をどう救うか』NKH 出版親書、2019 年。 6)川北稔「引きこもり親の会の組織戦略 ―『親が変わる』という解決策の選択」『現代の 社会病理』2004 年、第 19 号、77-92 頁。 7)玄田有史「8050 問題解決のためにできること“親子ペア就業”で SNEP と社会をつなぐ」 中央公論、2019 年 月、133 巻 号、130-137 頁。 8)小林清香、吉田光爾、野口博文「『社会的ひきこもり』を抱える家族に関する実態調査」 精神医学、2003 年 月、45 巻 号、749-756 頁。 9)斎藤環『社会的ひきこもりー終わらない思春期』PHP 研究所、1998 年。 10)斎藤環『「ひきこもり」救出マニュアル』PHP 研究所、2002 年。 11)斎藤環『ひきこもり文化論』紀伊国屋書店、2003 年、107-120 頁。 12)斎藤環「20 年間の『失敗の教訓』生かせ―対話的な支援に向けた政策転換を」新聞研究、 2019 年 月、816 号、8-11 頁。 13)斎藤環『改訂版 社会的ひきこもり』PHP 研究所、2020 年。 14)自立相談支援事業従事者養成研修テキスト編集委員会『生活困窮者自立支援法 自立相談 支援事業従事者養成研修テキスト』中央法規出版、2014 年 月 日、106 頁。 15)関水徹平『「ひきこもり」経験の社会学』左右社、2016 年。 16)土居健郎『「甘え」の構造 』弘文堂、1971 年。 17)土居健郎『続「甘え」の構造』弘文堂、2001 年。 18)中垣内 正和「ひきこもりを生む社会」Japanese journal of addiction & family、2004 年、21 号、17-26 頁。 19)長谷川俊雄「ひきこもり支援の難しさ―当事者理解と支援のゴールとは」、月刊自治研、 2019 年 11 月、61 巻、22 号, 16-21 頁。 20)保坂亨『学校を欠席する子どもたち―長期欠席・不登校から学校教育を考える』東京大 学出版会、2000 年。 69 21)桝田智彦『中高年がひきこもる理由』青春出版社、2019 年 12 月 日。 22)村尾泰弘『ひきこもる若者たち』至文堂、2005 年、127-138 頁。 23 ) Carla Ricci, “A comparative research about the phenomenon of Hikikomori born in Japan and now also present in Italy”, Unpublished Ph D dissertation, The University of Tokyo, 2012 24) Furlong, A., The Japanese Hikikomori Phenomenon: Acute Social Withdrawal among Young People, Sociological Review, 2008, 56, 309-325 25 ) Lock, M., Encounters with Aging: Mythologies of Menopause in Japan and North America, University of California Press, 1994 URL 資料 1)安宅 仁人「『若者自立塾』の実践が提起するもの : 若者自立支援政策の批判的検討と支 援実践の展望」北海道大学大学院教育学研究院紀要、2007 年 12 月 29 日、103 号、183 頁。 https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/30343/1/103_181-190.pdf 2)厚生労働省「10 代・20 代を中心とした「ひきこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイ ドライン-精神保健福祉センター・保健所・市町村でどのように対応するか・援助するか -」2003 年、2020 年 月 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/topics/2003/07/tp0728-1.html 3)厚生労働省「ひきこもり対策推進事業」2009 年、2020 年 月 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html 4)厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」2010 年、2020 年 月 29 日 閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-ShakaiengokyokuShakai/0000147789.pdf 5)厚生労働省「ひきこもり施策について」2010 年 月 日、2020 年 月 15 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/seisaku/2010/02/02.html 6)厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」2015 年、2020 年 月 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html 7)厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」2010 年、2020 年 月 閲 覧。 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000147789.pdf 8)厚生労働省ウェブサイト「就職氷河期支援施策の取組について」2019 年 月 30 日 、2020 年 月 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06487.html 70 9)厚生労働省「厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン」2019 年、2020 年 月 10 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000513529.pdf#search=%27%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D %E7%9C%81+%E5%B0%B1%E8%81%B7%E6%B0%B7%E6%B2%B3%E6%9C%9F%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%27 10)厚生労働省「2040 年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめについて」2019 年 月 29 日、2020 年 月 10 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000101520_00002.html 11)厚生労働省「『2040 年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめ』について」 2019 年 月 12 日、1 ページ、2020 年 月 10 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000517328.pdf 12)厚生労働省「『地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検 討会』(地域共生社会推進検討会)最終とりまとめ(概要)」2019 年 12 月 26 日、2 ペー ジ、2020 年 月 13 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000582595.pdf 13)厚生労働省「『ひきこもり地域支援センター』の設置状況リスト」2020 年 月 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000515493.pdf 14)厚生労働省「ひきこもり対策推進事業」2020 年 月 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikik omori/ 15)厚生労働省「ひきこもり対策推進事業実施要領」2020 年 月 閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/dl/hikikomori02.pdf 16)厚生労働省「統合失調症」2020 年 月 17 日閲覧。 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html 17)内閣府「ユースアドバイザー養成プログラム(改訂版)」2007 年、2020 年 月 日閲覧。 https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/h19-2/html/5_6_9.html 18)内閣府「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」2010 年、2020 年 月 日閲覧。 https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/pdf/gaiyo.pdf 19)内閣府「若者生活に関する調査」2016 年、2020 年 月、3 日閲覧。 https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/h27/pdf-index.html 20)内閣府「生活状況に関する調査」2019 年、2020 年 月 21 日閲覧。 https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/life/h30/pdf-index.html 21)内閣官房「就職氷河期世代支援プログラム(令和元年 月 21 日)」2019 年 月 21 日、 2020 年 月 10 日閲覧。 71 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/program.html 22)内閣府「「経済財政運営と改革の基本方針 2019~『令和』新時代:『Society 5.0』への 挑戦~」2019 年、2020 年 月 10 日閲覧。 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/decision0621.html 23)内閣官房「就職氷河期世代支援プログラム(3 年間の集中支援プログラム)の概要」2019 年 月 21 日、2020 年 月 10 日閲覧。 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/pdf/20190621gaiyo.pdf 24)佐藤隆也「ひきこもり支援の変遷と課題」川崎医療福祉学会誌、2018 年、28 巻、1 号、 27-36 ページ。 http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2018-j28-1/P27-P36_sato.pdf 25)齊藤万比古「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・ 援助システムの構築に関する研究」2007 年、2020 年 月 日閲覧。 https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=200935010B 26)電子政府の総合窓口「生活困窮者自立支援法」2019 年、2020 年 月 20 日閲覧。 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=425AC0000000105 27) 電子政府の総合窓口「子ども・若者育成支援推進法」2016 年、2020 年 月 20 日閲覧。 https://elaws.egov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=421AC0000000071 28)認定 NPO 法人ニュースタート事務局、2020 年 月 17 日閲覧。 http://www.newstart-jimu.com/side/outreach/ 29)花嶋裕久「遷延化するひきこもりのプロセスを探る―変容の契機と分岐点の検討」2016 年。 30)KHJ 全国ひきこもり家族会連合会「行政担当窓口一覧」2020 年 月 日閲覧。 https://www.khj-h.com/media-administration/administrative-services/ 31)『北海道新聞』2018 年 月 日。 http://www.sattosho.hokkaido-c.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=2032 32)山梨県「市町村におけるひきこもりサポーター養成・派遣の手引き」2019 年 月、3 ペ ージ、2020 年 月 日閲覧。 https://www.pref.yamanashi.jp/shogai-fks/hikikomori/documents/ketsugo1.pdf 33)Alan R Teo, Michael D Fetters, Kyle Stufflebam, Masaru Tateno, Yatan Balhara, Tae Young Choi,Shigenobu Kanba, Carol A Mathews,and Takahiro A Kato, Identification of the hikikomori syndrome of social withdrawal: Psychosocial 72 features and treatment preferences in four countries, Int J Soc Psychiatry 2015 Feb; 61(1): 64–72 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5573567/ 73 付録 面接質問集(案) 現在、貴センターは何種類のひきこもり支援サービスを提供していますか? 各支援 サービスの主な取り組み内容は何ですか? 貴センターの取り組みにより、ひきこもり支援の成功した事例をご紹介ください。 成功した理由は何だとお考えですか? 「支援を受ける側が相談したのに助けてもらえなかった」というような状況に直面し たことがありますか?もしあれば、その事例についてお話しください。その際にはど のように対応しましたか? ひきこもり支援活動を評価するための、貴センターでの基準について教えてください。 貴センターが支援しているひきこもりの方の主な年齢層を教えてください。その方々 の特徴や相談・支援の際の注意点について教えてください。 中高年ひきこもりは、その期間と年齢代についてどのように定義されるべきとお考え ですか。例えば、A さんが 50 歳でひきこもりになり、2 年だけひきこもっていた場合、 中高年ひきこもりとされていますか?そして、20 歳から 35 歳までのひきこもりの B さんは中高年ひきこもりとしてされていますか? 若年ひきこもりと中高年ひきこもりへの支援方法の類似点と相違点について何かあれ ば教えていただけますでしょうか。 中高年ひきこもりを効果的に支援し、長期的には 8050 問題を解決するための取り組 みの要点は何だと思われますか。 東京都のひきこもり支援体制についてお考えのところを、貴センターの取り組みと比 較して教えていただけますか。 10 8050 問題の主な原因は何だとお考えですか。 11 玄田(2019)は、以下のような取り組みを提案しています。「他者と一切交流しない 未婚無業者を「孤立無業社(SNEP)」とする。それから、玄田は新たな挑戦として、 就職氷河期世代の子供と働ける高齢の親が、一緒に同じ職場で働くことを可能にする 「親子ペア就業」支援の展開を提案している。この支援モデルのメリットは、直接コ ミュニケーションが難しい SNEP でもその親を介して指示や意志を伝えることが可能 になる。それを通じて SNEP の心身の不調を親がカバーできるようになる」。ここで の SNEP を中高年ひきこもりの方に置き換えた場合、このような方策はひきこもり解 消に有益と思われますか? 参考文献: 玄田有史「8050 問題解決のためにできること“親子ペア就業”で SNEP と社会をつな ぐ」中央公論、2019 年 月、130-137 頁。 74 謝辞 本研究は、日越大学地域研究プログラム修士論文として提出するものです。本研究の執筆 にあたっては、大勢の方からのご指導、ご協力と支えをいただきました。ここに記し、心か ら感謝いたします。 はじめに、終始温かいご指導と多くのご示唆をいただいた、ハノイ国家大学人文社会科学 大学日本研究学科の Nguyen Phuong Thuy 先生に心より感謝申し上げます。Nguyen Phuong Thuy 先生からは、本研究へのご助言をいただきました。そして日越大学地域研究プログラム の Pham Thi Thu Giang 先生、伊藤まり子先生と日越大学の先生方からも貴重なご支援をいた だきました。深くお礼申し上げます。 続いて、ゼンショー東京大学・ベトナム国家大学ハノイ校日本研究拠点プログラムの先生 方と東京大学の先生方に感謝いたします。授業やゼミ活動を通じて多くのご指導やご指摘を いただきました。また、インタビュー調査を行うにあたっては、東京大学大学院総合文化研 究科の岩月純一先生、佐藤俊樹先生、齋藤希史先生、清水剛先生からご支援をいただき、無 事調査を終えることができました。本研究以外の場でも、東京大学でのインターンシップに あたっては、生活上のご支援をいただき、本当に貴重で有意義なインターンシップを過ごす ことができました。心から感謝いたします。 また、論文作成にあたっては、李東宣さんから細かいご指摘と熱心なご助言をいただきま した。論文の執筆には困難を直面していましたが、議論のポイントを指摘いただいたおかげ で迷うことなく時間内に執筆を完了させることができました。誠に有難うございました。 さらに、本研究のインタビュー調査を進めるにあたってご協力とご支援をいただいた皆様 に心よりお礼申し上げます。 最後に、2 年間という長い間、勉強と研究に集中できる環境と経済的な支援をいただいた株 式会社ゼンショーホールディングス、そして日越大学での学びの機会と東京大学でのインタ ーンシップの機会を与えていただいた日越大学に心よりの感謝を捧げます。 75 ... 歳までの国民を対象とし、「生活状況に関する調査」を実施した。ひきこも りの長期高齢化は、50 代のひきこもる中高年の子と 80 代の高齢の親が孤立するという 8050 問題に繋がる(当事者の若者が 40 代から 50 代、彼らの親が 70 代から 80 代となった)。近 年、日本全国には 8050 問題が知られるようになった? ?8050 問題はひきこもり問題が新しい 局面を迎えていることを示している。ひきこもり問題は、経済的問題だけでなく、社会心理... は親も本人も倒れることを引き起こす可能性が非常に高い。近年、日本全国には 8050 問題が 知られるようになった? ?8050 問題はひきこもり問題が新しい局面を迎えていることを示して いる。つまり、今のところひきこもり問題が収束に近づいているという兆しは見えないと言 えるだろう。 先行研究 これまで、ひきこもり問題に関する現状、長期高齢化問題? ?8050 問題と課題について述べ てきた。次はひきこもり問題に関わる先行研究をまとめていく。詳しくは先行研究が、ひき... 高齢化問題は、ひきこもり問題がもはや若者特有の問題ではなく、ひきこもり問題が新しい 局面を迎えていることを示している。この問題は、以下で説明する? ?8050 問題」と名付けら れている。 池上(2019)はこの? ?8050 問題」が注目されるようになったのは、ここ 2~3 年間のことで あると指摘した? ?8050 問題にはそもそも中高年ひきこもりである人と、もうすぐひきこもり 状態に入る 7040 問題が含まれている。ここでの

Ngày đăng: 13/04/2021, 13:15

Tài liệu cùng người dùng

Tài liệu liên quan