ベトナム国家大学ハノイ校日越大学 地域研究プログラム日本研究専攻 修士論文 21 世紀の日本語新語における漢語的要素 主指導教員 副指導教員 伊藤まり子博士 斎藤希史博士・教授 学位申請者 HOANG THI CHAM 2019 年 月 i ベトナム国家大学ハノイ校日越大学 地域研究プログラム日本研究専攻 修士論文 21 世紀の日本語新語における漢語的要素 主指導教員 副指導教員 伊藤まり子博士 斎藤希史博士・教授 学位申請者 HOANG THI CHAM 2019 年 月 ii 論文要旨 本論文では、2000 年初頭から 2018 年現在まで(以下、21 世紀と呼ぶ)の日本語新語を中 心として研究し、漢語的要素を含む新語がどのように造られたのか、その特徴は何かを明ら かにし、それを通じて日本語の変化の全体像を捉まえることを試みた。論文の本体は序章・ 本論 章・結論から構成される。 序章では、漢語的要素と新語に関する先行研究を取り上げ、従来の研究の多くが 21 世紀以 前の語彙を研究対象としており、21 世紀の日本語における漢語的要素の研究はほとんど取り 組まれていないことを指摘し、本論文が漢語的要素と 21 世紀の日本語新語との関係ないし漢 語的要素の重要性を考察し、音声・語形・意味の面での漢語的要素に関する総合評価をする ことを目的とすることを述べる。また、これらを通じて、現代日本の言語生活における漢語 的要素の役割を解明し、日本語の変化のイメージを具体的に提供することと、日本語学習者 に日本語の変化の全体像を把握するための材料を提供することを目指したことを述べる。 第一章では、先行研究に基づき、漢語的要素を明確に定義し、どのような卖語が 21 世紀の 日本語新語と認められるのかを明らかにする。また、2018 年に出版された『三省堂現代新国 語辞典』第六版、国立国語研究所が開発した「現代日本語書き言葉均衡コーパス」、および 「朝日新聞データベース」を資料として選択した理由を説明する。 第二章では、高校生向けの『三省堂現代新国語辞典』第六版に追加された新語を研究対象 としてリストアップした後、まず「現代日本語書き言葉均衡コーパス」の「中納言」で調べ、 次に朝日新聞記事データベースで検索して、その語がいつ頃出現したのかを検定する。そし て、これによって新語を分類し、漢語的要素を含む新漢語のみを分析することにする。さら に新語の属性と新語の発生背景を分析することで、新語の発生理由についても述べる。 第三章では、本論文の最も重要な内容として、新語における①漢字、②漢字音、③語構成、 ④意味といった漢語的要素について考察する。また、21 世紀においては、こうした漢語的要 素がどのように変化したのかということ、そして、21 世紀前との相違点について検討する。 最後に結論では、以上の漢語的要素をまとめるとともに、その特徴を再び言及し、21 世紀 においても漢語的要素が有力な造語成分として続いていることを述べる。そして、今後とも、 漢語的要素について引き続きより大規模な調査をする必要があり、今後の課題として検討し ていくことも述べる。 iii 目次 はじめに 序章 第一節 先行研究と研究目的 第一項 漢語的要素に関する研究 第二項 日本語新語に関する研究 第三項 研究目的 第二節 研究方法と論文構成 第一項 研究方法 第二項 論文構成 第一章 日本語新語 第一節 21 世紀の日本語新語とは 第二節 漢語的要素とは 第三節 三省堂現代新国語辞典第六版 11 第四節 現代日本語書き言葉均衡コーパス 12 第五節 朝日新聞データベース 14 第二章 日本語新語の分類 17 第一節 データ整理 17 第二節 属性と用語 20 第三章 日本語新語における漢語的要素の分析と役割 32 第一節 漢字 32 第一項 漢字の復活 32 第二項 漢字の使い分け 35 第二節 漢字音 38 第三節 語構成 42 iv 第一項 語構成パターン 42 第二項 造語法 45 第四節 意味 49 終章 結論 53 参考文献 55 v 表一覧 表 漢語的要素を含む新語リスト 18 表 漢語的要素を含む新語の属性 20 表 常用漢字表における漢字の推移 32 表 『三省堂現代新国語辞典』第六版における漢字の復活 33 表 「法令における漢字使用等について」における漢字の復活 33 表 『三省堂現代新国語辞典 第六版』における漢字の使い分け 36 表 「法令における漢字使用等について」における漢字の使い分け 36 表 新聞用語における漢字の使い分け 37 表 21 世紀の日本語新語における漢字音 39 表 10 21 世紀の日本語新語における結合パターン 42 表 11 造語法による新語の分類 46 表 12 『三省堂現代新国語辞典 第六版』に新しく追加された新語の造語法 46 表 13 意味の拡大 50 表 14 使用範囲の拡大 50 表 15 意味の変化 51 表 16 意味矛盾 51 vi 図一覧 図 BCCWJ の中納言による検索結果の例 13 図 朝日新聞データベースの「聞蔵 II」による検索結果の例 15 図 『三省堂現代新国語辞典 第六版』に追加された語 17 図 博士号取得者数の推移(課程博士/論文博士別) 25 図 日本における性別視覚障害有病率 2007 年~2050 年 28 vii はじめに 第 次産業革命における技術の継続的な開発は、人々のコミュニケーションと情報交換の 方法に著しい変化をもたらしている。それにより、人間のコミュニケーションツールの基礎 となる言語も急速に変化しており、それに関する研究は重要な課題とされる。なかでも日本 語は、世界中の国から繰り返し知識を取り入れながら、形成され、発展してきた。日本と漢 字を接触する前に、日本においては独自の文字が存在していなかったのは事实である。古代 日本列島において、日本語を話す人々は中華文明の漢字という文字体系を学び、漢語ととも に、自分自身の言語に輸入し使い始めた。それ以来、日本語の構造において漢字と漢語的要 素は欠かすことのできない要素となってきた。次の段階の変化は、近代において、日本が、 中華帝国の衰退及び西洋の新たな科学技術の発展に気づいた時に始まった。西洋文化を輸入 しながらも、漢字と漢語的要素が廃棄されることなく、逆に新しい概念や新しい現象をより 柔軟に表現できるように漢字と漢語的要素を巧妙に応用し、大量の和製漢語が作り出されて きた。 漢字の受容に関する既存の研究では、日本と同様に漢字文化圏に属するとされる朝鮮やベ トナムもその対象となってきた。例えば朝鮮では、15 世紀半ばごろにハングル文字が導入さ れたことをきっかけに、漢字と漢語的要素の使用が減尐し、1970 年からは漢字廃棄政策によ って、漢字を廃棄するようになった。他方ベトナムにおいては、15 世紀から 19 世紀にかけて、 漢語的要素を借用してベトナム語の記録用文字としてチューノムの表記体系を形成し使用し てきたが、 19 世紀に入ると、フランスの植民地主義の下で、ラテン語の表記体系の使用がよ り一般的になった。その後 1945 年までには漢字体系全体が廃棄され、漢字とチューノムは、 ラテンアルファベットの表記体系に完全に置き換えられた。このように朝鮮とベトナムは、 日本と同じ漢字文化圏に属するとされるが、漢字をめぐる状況は全く異なる方向へ展開して きたと言える。 現時点において、漢字文化圏に位置する国々では、漢字発祥の地である中国を除いて、日 本だけが、依然として漢字を文字体系として使用している。しかしながら、前述したように、 近年は、デジタル化とともに情報化も進んでおり、より多くの新しい現象や新しい概念が出 てきている。特に西洋からの新しい概念が国境を越え、日本語に輸入されている。1994 年の 国語国立研究所による「月刊雑誌七十誌の語彙調査」では、和語・漢語が変化しないにもか かわらず、カタカナ語で書かれる外来語だけが大きく増加していることが指摘されている。 さらに、「乗合自動車➝バス」「試験➝テスト」のように、もともと漢字で書かれていた語 彙が、カタカナ語に置き換えられ、広く使用されるという傾向もある。これらの点から、漢 語的要素を含む日本語に多くの変化があったことが考えられ、さらにこうした変化が、日本 語の存在と発展に確实に影響を与えていることが推測できる。 本論文では、現代の日本語新語における漢語的要素を検討することを通じて、日本人は今 後も漢語的要素を応用し続けるのか、それとも漢語的要素は徐々に消えて他の要素に変化し ていくのか、日本語の未来を見据えることに挑戦したい。 序章 第一節 先行研究と研究目的 第一項 漢語的要素に関する研究 漢字文化圏に属する国々において、造語に用いられる漢語的要素に関する研究は、古くか ら行われている。日本においては、明治時代前期から一連の新語が日本人によって作成され てきたが、その新語の構造及び造語法に漢語的要素が用いられたことに関する多くの研究が 昭和時代なされてきた。しかしながら、近代に入ると、西洋のことばをカタカナで表した新 語が多数導入され、漢語的要素の位置づけが衰退したかのように思われたことから、それら の研究の中には、今後は漢字における造語力が低下していくと指摘したり1、数百年後には漢 字が消滅すると推論したりするものもあった2。また、日本語の未来について、そのローマ字 への転換の可能性を指摘し、漢字の消滅を予想した研究があることを述べた 3。さらに、漢語 的要素の衰退をうけて、公式テキストにローマ字を使用することを提案した研究者もいた4。 他方、ベトナムでは、現代のベトナム語の語彙体系において、語彙の 70%が中国語から由 来するため、漢語的要素(多くのベトナム人は、漢越要素とも言うが、实際には違いがある5) に関する研究は盛んに行われてきた。例えば現代ベトナム語における漢語的要素の役割につ いて、グエン・タイ・カン(1987)6は次のように述べた。 Tiếng Việt vay mượn vốn từ để điền vào khoảng trống tiếng Việt, để thay từ ngữ khơng cịn phù hợp, sau tiếng Việt phải loại trừ Như vậy, yếu tố gốc Hán góp phần làm cho tiếng Việt trở thành phong phú hơn, với khả phân biệt tế nhị Chức đứng làm thành tố kết cấu định danh có hình thức cố định, có nội dung cần cho ngơn ngữ văn hóa Ở văn phong luận, văn phong khoa học kết cấu định danh kiểu thường xuất với tần số cao, có chúng chiếm đến 60%-70% tồn văn Tiếng Việt tiếp thu yếu tố gốc Hán, với tư cách đơn vị từ vựng, mà với tư cách công cụ ngữ pháp Trong số hư từ Việt Nam nay, có đến gần 野村雅昭(2008)『漢字の未来』三元社 安本美典(1963)「漢字の将来―漢字の余命はあと二百三十年か」『言語生活』 筑摩書房 Umesao Todao(2004)『日本語の将来―ローマ字表記で国際化を』NHK 茅島篤(2012) 『日本語表記の新地平:漢字の未来・ローマ字の可能性』くろしお出版 漢語的要素は漢越要素を含んでいる。 Nguyễn Tài Cẩn (1987), Văn hố chữ Hán ngơn ngữ Việt Nam: vai trò yếu tố gốc Hán tiếng Việt đại, in lần đầu tiếng Nhật Hán tự dân tộc đoán, Tokyo, 1987; in lại tiếng Việt trong: Một số chứng tích ngơn ngữ, văn tự văn hố, Nhà xuất Đại học Quốc gia Hà Nội, 2001, tr 424-439 動詞+名詞(補足関係):加憲 形容詞+名詞(連体修飾関係):健眼、繁熱・煩熱、無罰、双極性障害、二次創作 主語基が動詞である場合 名詞+動詞(実述関係):同族嫌悪、反实仮想 副詞+動詞(連用修飾関係):罰走 動詞+動詞(連用修飾関係):圧潰・圧壊 以上の結果から見ると、本論文の研究対象である漢語的要素を含む日本語新語については、 以下のような語構成パターンを整理することができる。 名詞が後要素である場合が最も数多い。「名詞+名詞」、「動詞+名詞」、「形容詞 +名詞」のなかで、「名詞+名詞」というパターンが現在でも高い生産性を持つパタ ーンである。 名詞が後要素である場合の他に、動詞が後要素となるパターンも一般的である。特に、 日本語語順に合う「名詞+動詞」パターンは、現在でも出現率の高いパターンの一つ であるが、二字漢語ではなく、四字漢語の結合パターンとしてより頻繁に表れている。 また、周知のように、日本語と中国語の語順は逆である。日本語は「名詞+動詞」であり、 中国語は「動詞+名詞」である。以上の例から見れば、日本人は独自な漢語を造る際に、中国 語式の「動詞+名詞」である語順を参考にし、日本語本来の語順とは違う形で言葉を組み合わ せている。たとえば、「加憲」という言葉を検討してみると、「憲法」の「憲」を含む他の 例も、「違憲」、「改憲」、「護憲」といった「動詞+名詞」という語順に基づいて組み合 わせられた。そのため、「加憲」を例外として「憲加」という日本語の語順にしたがって造 ると、奇異な語になるのである。ただし、「違憲」、「改憲」、「護憲」とは憲法(の各項 目)を違反・改正・保護するという意味であるが、「加憲」とは憲法の項目を加えるという 意味である。語の意義を除き、こうした新語の生成は、すべて伝統的な造語法にしたがうも のである。そうでなければ、日本の言語社会において異例ないし変則的な語と認められ、そ の語の存在権は承認されるはずがない。しかしながら、本論文の研究対象である日本語新語 には、こうした語順で構成された語はわずか一語しかない。言い換えれば、21 世紀になって も、中国語式の法則は日本語に影響を引き続き与えていると言えるが、その影響力があまり 強くない。 それに対して、日本語の語順である「名詞+動詞」はそのまま漢語化され、漢語の文法に したがっていない語も目につく。たとえば、「同族嫌悪」は「同族を嫌悪する」という意味 でそのまま漢語化した和製漢語であるが、「同族を嫌悪する」のであれば、本来の漢語の語 順であれば「嫌悪同族」となるべきところである。こうした形式は、21 世紀では「動詞+名詞」 44 という語順も用いられている。しかしながら、こうした形式は「同族の嫌悪」などの修飾関 係という考え方もできる。これについては、本論文で検討しないことにする。 次に、接頭辞および接尾辞を見ていく。日本語には接頭辞と接尾辞が多くあげられるが、 それは独立した語ではなく、文法要素としての性格を強く持っている。たとえば、「無罰」 における「無~」のような否定の意味を表す漢語接頭辞は、従来の日本語にはない語順であ った。日本語では、否定的な意味を含んだ名詞を造るために、「~なし」や「~ず」の形式 が一般的であるが、使用は限られる。しかしながら、漢語接頭辞は他の漢字・漢語と合成し、 非常に高い生産性を持っている。そして、接尾辞である「~的」は「~のような」という意 味で、名詞にそのまま追加される。このような特質は新しい語を造るのに便利な手段である。 これらが漢語内にとどまらず、日本語の語彙や造語法全般に定着したことに関しては、卖な る語彙の輸入だけではなく、漢語の文法が日本語に輸入されたと考えられる。こうした漢語 的要素は 21 世紀にもかかわらず造語法として日本語に浸透している。 表 3-8 には、語構成があいまいになりやすい漢語がある。それは三卖位から成り立ってい る五字漢語である。「防衛装備庁」は、「防衛装備+庁」なのか、「防衛+装備庁」なのか、 判断が難しい。その理由としては、「防衛装備品」と「国防装備庁」という言葉も存在して いるからである。しかしながら、どちらの語構成であると解釈しようと、その漢語全体の意 味の理解には影響はしない。漢語の文字数が増えるとともに、漢字の結合回数も増加する。 双極性障害の「(○○+○)+○○」パターンは、その標準的なパターンに基づいて造られ た語であり、三つのステップで構成される。 図 – 五字漢語の結合パターン 筆者作成 こうした結合パターンは以上の品詞性に準じる以外、下記の造語法にも従っている。 第二項 造語法 造語法とは、新しい語を造り出す際に使用される方法である。普通は既存の語基とまった く新しい語基を用いて造られる語に分けている。しかしながら、19 の例においては、新しい 語基を使用するわけではなく、すべて既存の語基からなる語である。既存の語基に基づいた 45 語については、米川明彦(1989)を参考にしたうえで、『三省堂現代新国語辞典』第六版に 新しく追加された 19 語を次のように分類した。 ① 合成法:既存の二つ以上の語を合して新たな卖語を造ること。 ② 派生法:既存の語に接頭辞あるいは接尾辞を付けて新たな語を造ること。 ③ 訳語法:日本で発生した語ではなく、ある外来語を翻訳して新たな語を造ること。 ④ 省略法:文字数の長い語から一部を取り除くことによって新たな語になること。 表 11 造語法による新語の分類 No 造語法 漢語 合成法 派生法 家政士、他発的、無罰 訳語法 暗号通貨、環世界、双極性障害 省略法 形動、博論 圧潰・圧壊、加憲、健眼、国石、同族嫌悪、二次創作、罰走、反实 仮想、繁熱・煩熱、防衛装備庁、和趣 筆者作成 表 3–9 から見れば、合成法が最も使われており、19 語中 12 語を占めている。次は訳語法で 語、省略法は 語、派生法は 語である。そのなかで、最も多い新語は二字漢語であり、 50%以上占めている。 現存の漢語では、二字漢語を構成している漢字は自立使用ができる場合はもあれば、使用 されない場合もある。たとえば、野村雅昭(1976)50は「科学」の「科」は「異なる科に属す る植物」のような場合を除けば、卖独で使用することができないと述べている。しかしなが ら、新語である 19 語中 10 語の二字漢語は、すべて卖独で使用される一字漢字から造られた 語であり、造語力の強い語基しか造られていない。表 3-10 で示しているように、こうした強 い生産性を持つ語基による新語は、訳語と略語を含め、主に他の類例を参考にしながら合成 されたとは言えるであろう。 表 12 『三省堂現代新国語辞典』第六版に新しく追加された新語の造語法 No 漢語 造語法 圧潰・圧壊 合成法 50 類例 前語基 圧砕、圧搾、圧接、圧着 後語基 「全壊・全潰」、「倒壊・倒 野村雅昭(1976)「現代漢語の語構成について」情報管理 Vol 18 No 11 pp.884-891 46 潰」、「崩壊・崩潰」 暗号化、暗号鍵、暗号文、暗 電子通貨、企業通貨、現金通 号資産 貨、国際通貨 加圧、加音、加階、加給 違憲、改憲、合憲、護憲 家政学、家政婦、家政夫、家 「看護婦→看護士」、消防 政科 士、航海士、栄養士 暗号通貨 訳語法 加憲 合成法 家政士 派生法 環世界 訳語法 環境世界 形動 省略法 補助動詞→補動、補助形容詞→補形 健眼 合成法 健胃、健脚、健腕、健聴 晴眼、近眼、遠眼 国石 合成法 国花、国歌、国教、国旗 瓦石、砒石、喬石、硅石 双極性障害 訳語法 双極性星雲 10 他発的 派生法 11 同族嫌悪 合成法 12 二次創作 合成法 13 博論 省略法 14 罰走 合成法 罰金、罰酒、罰則、罰杯 競走、試走、背走、逃走 15 反实仮想 合成法 反实在論 拡張仮想 16 繁熱・煩熱 合成法 解離性障害、強迫性障害、自 閉性障害、早発性障害 他罰的、他責的、他目的、他 自発的、外発的、内発的、多 動的 発的 同族経営、同族会社、同族結 自己嫌悪、味覚嫌悪、女性嫌 婚、同族企業 悪、同属嫌悪 二次汚染、二字回路、二次災 歴史創作、思弁創作、一次創 害、二字産品 作、三次創作 修士論文→修論 「煩雑・繁雑」、「煩多・繁 多」、「煩忙・繁忙」 防衛装備移転三原則、防衛装 17 防衛装備庁 合成法 備品、防衛研究所、防衛施設 庁 炎熱、苦熱、温熱、極熱 海上保安庁、科学技術庁、行 政管理庁、経済企画庁 18 無罰 派生法 無料、無人、無役、無法 重罰、加罰、体罰、処罰 19 和趣 合成法 和室、和式、和食、和風 異趣、画趣、景趣、詩趣 筆者作成 まず、合成法は和製漢語の世界では最も多く使われる造語法であり、最も高い生産性を持 つ方法と言える。实際には、訳語法を始めとする他の造語法も、合成法の構成を参考にしな 47 がら組み合わせた語である。たとえば、「学」という語基は、二字漢語から見ると、卖なる 他の語基と合わせて前語基として「学士、学部、学科、学会、学生、学校、学院、学習、学 園、学位、学術、学者、学籍」などの言葉を構成する一方で、後語基として「科学、哲学、 工学、好学、向学、化学、小学、中学、大学、開学」などの言葉も構成している。そのなか で、科学や哲学のような言葉は訳語である。また、三字漢語や五字漢語である場合は、接尾 辞になり「教育学、経済学、政治学、社会学、心理学、政治経済学、言語聴覚学」などの言 葉を合成する上、「青山学院大学➝青学」のような略称も合成している。この方法は日本語 表現をより豊かにし、日本語の語彙をおびただしく拡大させた。21 世紀になっても、こうし た合成のやり方は大いに発揮されている。したがって、表 3-10 における一部の例を見せてい るように、既存の語基が十分に利用され、造語成分として新語が引き続き生まれた。例を挙 げると、「暗号通貨」においては、「暗号」と「通貨」は、前から多くの語基と合成して卖 語が造られて「暗号化、暗号鍵、暗号文、暗号資産」や「電子通貨、企業通貨、現金通貨、 国際通貨」などが存在している。現在はこうした語彙の生成のメカニズムを参照する上で、 「前語基+後語基」による「暗号通貨」という言葉が誕生した。一言でいうと、新語と言っ ても、かなり古い要素を有している。 次に、派生法のもとで造られた「家政士」という言葉を見ていく。この言葉は第二章で説 明したように、前身は「家政婦」である。この二つの言葉ができる前にも、「看護婦」と 「看護士」という同様の場合があった。男女平等になるように、「婦」という接尾辞から 「士」という接尾辞へ変更することが既に行われていたため、家政婦から家政士への変更も それに従うものとなった。つまり、このような新語は、語彙変化のルールに基づき、既存の 語基を利用して同じようなパターンに準じる変化である。また、「他発的」という言葉は、 特殊な場合とは言える。この言葉は「自発的」という言葉はまず存在し、その後「自発的」 の対義語として生まれた。2015 年に更新された『デジタル大辞泉』や 2000 年から 2002 年ま で刊行された『日本国語大辞典』第二版、2011 年に出版された『新選漢和辞典』第八版など を含むジャパンナレッジで検索してみたが、結果が出てこなかったため、現在でもあまり使 われていないと言えるだろう。したがって、「他発的」は卖なる「自発的」の対義関係をベ ースにし、言語上の対照的な現象になっている。このようなタイプの言葉は尐なくない。た とえば、「自罰的➝他罰的」、「自律的➝他律的」、「自生的➝他生的」などがあり、卖語 のペアになっている。 次は、省略法を検討していく。長い語の場合は、使用上の不便を避けるために、その語を 短くして省略するのが一般的である。省略することによって、使いやすく覚えやすくなり、 多くの情報を短く伝えられる利点もあり、記憶の負担の軽減という利点もある。こうした略 語は、日本語のみならず、世界各国の言語でも例が多い。しかしながら、アルファベットの 48 卖語とは異なり、漢語の略語のほうが、その語の本来の意味を想像しやすく、これは漢語的 要素を含む略語のメリットである。略語には、語の前の部分が捨て去られる「前略語」、語 の後ろの部分が捨て去られる「後略語」、語の最初の文字と最後の文字が捨て去られる「前 後略語」、語の真ん中の部分が捨て去られる「中略語」および二語以上からのそれぞれの語 の一字あるいは二字取り上げて組み合わせる「短縮語」などの構造パターンがあるが、『三 省堂現代新国語辞典』第六版に新しく追加された日本語新語では、一つのパターンしかない。 それは最も標準的な四字漢語「AB+CD」という構造から造られた「AC」型の略語である。 日本語において、本来の四字漢語という形式から意味を維持して語形のみ二次漢語へ変化 することは、決して新しいものではない。これは短縮語とも呼ばれる。明治初期から、こう した現象がよく発生し、「輸入超過→入超」、「全線開通→全通」、「外国資本→外資」、 「就職活動→就活」、「特別急行→特急」、「東京急行電鉄→東急」、「乳幼児健康診査→ 健診」などの例がある。文字数の多い漢語が頻繁に使かわれるようになれば、語の発音や表 記の時間を節約することができるために、話し手と聞き手の共有知識を二字漢語に短縮する 傾向がある。21 世紀においても、この現象が続いている。『三省堂現代新国語辞典』第六版 に新しく追加された 19 語のなかでは、こうした短縮語が 語あり、語の全体の 10%に占めて いる。しかしながら、この二語とも、それぞれの語の最後の文字が捨て去られ、語の最初の 一字だけをとってつないでいる。 以上のような造語法は、漢語の生成文法になっており、日本語の語彙が急速に発達するの に役に立つ。しかしながら、日本独特の構成によって造られた新語については、本節ではま だ言及されていない。これについては、次の節での意味構造を検討していく。 第四節 意味 漢語が日本語に用いられてきた歴史は長く、造られた当時と 21 世紀では意味・用法が大き く変わった場合は尐なくない。以下では『三省堂現代新国語辞典』第六版に新しく追加され た漢語の意味変化を述べる。 まずは意味の拡大という現象である。意味の拡大というのは、漢語の本来の意味を維持す るとともに、新しい意味を付け加えるということである。こうした場合は、21 世紀になって 初めて発生したことではなく、漢字・漢語が日本語に受容されて以来、継続している現象で ある。特に明治初期において、漢語の意味拡大が日本人によって頻繁に行われた。当時は日 本になかった西洋の概念が大量に輸入された。こうした多くの新しい概念に対応するために、 中国古典の漢語が生かされ、しかもその既存の漢語に新しい意味を与えて新語が作られた。 「意識」という言葉はもともと仏教語である。本来の意味は目、耳、鼻、舌、身の五識が 五根を通してそれぞれとらえる色、声、香、味、触の五境を含む一切のもの(一切法)を対 49 象(法境)として、それを認識、推理、追想する心の動き51という意味を持っている。明治初 期に入ると、西洋から consciousness という哲学用語が導入され、「意識」に訳語として新 しい意義が与えられた52。 現代でも、このような現象は引き続き行われている。第二章第二節で述べているように、 「反实仮想」という言葉は、もともと文語文法で事实と反対のことを想定するという意味で あ る が 、 21 世 紀 以 降 は 、 心 理 学 の 分 野 で 多 用 さ れ る よ う に な っ た 。 こ れ は 英 語 の Counterfactual Thinking の訳語とされ、思考实験の領域における用語として使われるように なった。また、「無罰」についても第二章第二節で述べているように、21 世紀以前は心理学 に属する言葉であり、「欲求が満たされず思うようにならないとき、自分も他人も責めず、 なんとかつじつまを合わせようとする傾向があるさま」という意味であったが、21 世紀にお いては、心理学的な意味の他に、新しいゴルフ規則とともに、「ゴルフでペナルティー(罰 打)が課されないこと」という意味でも用いられるようになった。 表 13 意味の拡大 漢語 古 新 反实仮想 文語文法 文語文法+思考实験の一つ 無罰 心理学 心理学+ゴルフ用語 筆者作成 また、意味の拡大のみならず、意味が維持されたままで他の領域で多く使われる場合もあ る。上述した「反实仮想」というような言葉は、もともと文法で使われ、心理学へ拡大し、 多義語になった。しかしながら、下記の「健眼」は、多義語になるわけではなく、意味がそ のまま維持され、使用範囲のみの拡大である。医学用語として出てきた言葉であるが、現在 は視覚障碍者数の増加によって、お寺で健眼を願う人が増えている。お寺では長寿・健康・ 幸運といった祈祷は一般的であるが、健眼まで祈祷するのは新しい現象と言えるであろう。 これは社会の変化による使用範囲の変化の事例の一つである。 表 14 使用範囲の拡大 漢語 古 新 『日本国語大辞典』第二版 明治初期における意味の拡大という現象は、米川明彦(1989)『新語と流行語』单雲堂を 参照 51 52 50 健眼 医学 お寺での健眼の祈祷 筆者作成 次は意味の変化である。この変化とは、従来の意味の拡大・意味の縮小・意味の転換など の変化とは異なり、もともとの内容が捨て去られて全く新しい内容が入れられるという現象 である。たとえば、周知のように、中国語から借用された「鯰」という語は、もともと中国 語では「アユ」という意味であったが、日本語に輸入された際「ナマズ」という意味へ変化 し、日本独自の使い方となった。現代でも、このような意味の変化現象が続いている。「国 石」という言葉は、従来通りの国を代表・象徴する鉱石や宝石という意味で使われているが、 日本鉱物科学会の選定によって内容が一変した。もともと日本を代表・象徴する水晶という ものが挙げられていたが、現在は水晶という意味が完全に捨て去られ、新たに翡翠という意 味に変化した。 表 15 意味の変化 漢語 古 新 国石 水晶 翡翠 筆者作成 最後に漢語の意味構造という観点から眺める。四字漢語では、主に「二字漢語+二字漢語」 という構造で造られた語であるが、前項の二字漢語と後項の二字漢語の関係は二字漢語のよ うに多種多様である。その前項二字と後項二字の意味構造から見れば、最も主要なのは、 「自由自在」、「完全無欠」、「廃仏毀釈」といった類似の意味の二字漢語を重ねた語と 「半信半疑」、「自問自答」、「右往左往」といった対義の二字漢語を組み合わせた語、あ るいは前項二字が後項二字を修飾する語であるが、一般的である。「二次創作」というよう な語義矛盾の語は筆者の管見が及ぶ範囲では存在していなかった。 表 16 意味矛盾 漢語 二回目、二番目 新しいものをはじめて作ること 二次創作 二次 創作 筆者作成 51 表 16 のように、「創作」とは新しいものをはじめて作ることであり、オリジナルという 意味であるが、「二次」はオリジナルではなく、二回目という意味である。つまり、創作さ れたものを二次的に作り変えるのは、「創作」とは言えないだろう。こうした語義矛盾の言 葉は語義パターンから見れば、前例がなかった。言い換えれば、従来的には、語義矛盾の場 合は新語発生のパターンではなく、むしろ間違った言葉と見なされて語彙の法則に従わない 言葉である。こうした不規則あるいは非論理的な言葉が発生するのは、新しい言語現象であ る。 以上、21 世紀の日本語新語における意味の変化を検討してきたが、意味の拡大などの変 化は 21 世紀以前に限った現象ではなく、21 世紀においても、その現象が新しい語のなかで引 き続き応用され、新語が作られている。日本人は語彙のもともとの意味を巧みに利用し、語 彙の意味、使用範囲および使用分野を変更または拡大した。このようにすることで、古い語 彙は使われ続け、新しい語彙が生まれた。他方で、これまでとは全く異なる意味構成で造ら れた漢語ができた。こうした「二次創作」のような語義矛盾は新しいパターンとして登場し、 これから新漢語の語構成パターンの一つになる可能性があり、今後の課題として検討する余 地があろう。 52 終章 結論 本論文では、21 世紀の日本語新語における漢語的要素の漢字、漢字音、語構成および意味 といった四つの側面について検討し、21 世紀の日本語新語との関係を明確にした。グローバ ル化の下で、西洋の言葉をカタカナで表した新語が多数導入されているが、「暗号通貨」や 「双極性障害」では、英語そのままのカタカナ表記ではなく、漢字が活かされることで漢語 が作られた。21 世紀になっても、漢語的要素は明治時代のように継続して利用され、新漢語 が引き続き誕生するのに重要な役割を担っている。 まずは、漢字についてである。漢字は表意性を持つ文字として使われており、非常に高い 造語力を持っている。一字一字が具体的な意味を表すため、他の漢字と組み合わせれば、新 しい語ができるはずである。こうした漢語の造語成分として機能している漢字は、残りの漢 語的要素と組み合わせることで、新しい現象や概念が生じてもすぐに対応できる。たとえば、 「家政士」や「防衛装備庁」などがそうである。また、かつて放棄された漢字の復活ととも に、漢字の意味戻しという現象、つまり言語の回帰現象があった。それによって、分野によ っての漢字の使い分けがはっきりと行われ、言葉に分野に応じた性格が与えられるようにな った。21 世紀においては、漢字変換技術の発展によって、手で書く機会が減り、漢字も新し い時代に向かっている。漢字の表意性がより発揮され、法律・新聞といった分野による漢字 の使い分けが再び活発化している。漢語の造語成分である漢字は、漢語の簡潔性に大いに役 に立ち、読み手にイメージを瞬間的にもたらし、表現しにくい概念を表している。『三省堂 現代新国語辞典』第六版に追加された分の他にも、「高校生向け」ではない漢語が数多く日 本語に新たに現れている。 次は漢字音についてである。『三省堂現代新国語辞典』第六版に追加された新語では、最 も多く使われた漢字音は漢音である。次は呉音であり、漢音と呉音が交じった読み方も一般 的である。漢音は 世紀後半から日本語における正統な字音として認識されて使われ、現在 では漢音をはじめとする漢字音が既に日本語に深く定着しているため、漢音が多く使われる ことには変化がなかった。このようなことによって、漢字音は漢字と支え合い、複雑で抽象 的な内容であっても簡潔に表現できる漢語を造っている。こうした漢語的要素は日本語の一 部になり、今後とも引き続き使われていくだろう。 新語の造語法から見れば、以下のように整理できる。 名詞が後要素である場合が最も数多い。「名詞+名詞」、「動詞+名詞」、「形容詞 +名詞」のなかで、「名詞+名詞」というパターンが現在でも高い生産性を持つパタ ーンである。 53 名詞が後要素である場合の他に、動詞が後要素となるパターンも一般的である。 また、新語を構成する造語法においては、合成法が最もよく使われ、造語力の強い語基を 用いるのが一般的になった。しかしながら、合成法で造られた漢語の意味はこれまでは類似 の意味の二字漢語を重ね、あるいは対義の二字漢語を組み合わせるというパターンが基本的 であったが、「二次創作」という語義の矛盾関係を持つ言葉が登場したのは、前例のない場 合とも言え、21 世紀において発生した特徴の一つとも言える。 以上のように、漢字・漢字音・語構成・意味の四つ漢語的要素が、それぞれ漢語の造語成 分として重要な役割を果たしている。こうした漢語的要素の受容によって、漢語の生産性が 高まり、今後とも日本語をより豊かにするのみならず、論理的または簡潔な日本語表現を生 み出すことが可能になる。言い換えれば、21 世紀の日本語新語における漢語的要素は、強い 生産性を持っていると見ることができ、カタカナ語が急増している現在においても、現代日 本語において漢字・漢語が一定の位置を未だに持っていると言えるだろう。 しかしながら、否定できないのは、『三省堂現代新国語辞典』第六版に新しく追加された 漢語的要素を含む漢語が、『三省堂現代新国語辞典』に収録された新語の全体においてわず か 10%にすぎない。より価値のある結論を下すためには、より大規模な調査を实施する必要 があり、今後の課題として検討していきたい。 54 参考文献 日本語資料 安本美典(1963)「漢字の将来―漢字の余命はあと二百三十年か」『言語生活』 筑 摩書房 野村雅昭(1976)「現代漢語の語構成について」情報管理 Vol 18 No 11 pp.884- 891 野村雅昭(1988)「二次漢字の構造」『日本語学』7(5), 44-55 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