1. Trang chủ
  2. » Giáo Dục - Đào Tạo

Luận văn thạc sĩ VNU ULIS những lỗi sai khi sử dụng kính ngữ thường gặp ở người việt nam học tiếng nhật trình độ trung cấp và trên trung cấp

87 0 0

Đang tải... (xem toàn văn)

Tài liệu hạn chế xem trước, để xem đầy đủ mời bạn chọn Tải xuống

THÔNG TIN TÀI LIỆU

Thông tin cơ bản

Tiêu đề Những lỗi sai khi sử dụng kính ngữ thường gặp ở người Việt Nam học tiếng Nhật trình độ trung cấp và trên trung cấp
Tác giả Trần Thị Mỹ
Người hướng dẫn Hoàng Anh Thi 准教授・博士, Ngô Minh Thủy 博士
Trường học Hanoi National University of Foreign Languages
Chuyên ngành Japanese Language
Thể loại Master's Thesis
Năm xuất bản 2012
Thành phố Hanoi
Định dạng
Số trang 87
Dung lượng 1,24 MB

Cấu trúc

  • 第 1 章 日本語における敬語表現及び誤用の概念と分類 … (13)
    • 第 1 節 敬語の概念・誤用の概念 (13)
    • 第 2 節 日本語における敬語表現 (17)
      • 1.1 尊敬語とは (18)
      • 1.2 尊敬語の形 (18)
        • 1.2.1 動詞の尊敬語 (18)
        • 1.2.2 名詞の尊敬語 (20)
        • 1.2.3 形容詞などの尊敬語 (20)
        • 1.2.5 その他 (20)
      • 2. 謙譲語 I (21)
        • 2.1 謙譲語 I とは (21)
        • 2.2 謙譲語 I の形 (21)
          • 2.2.1 動詞の謙譲語 I (21)
          • 2.2.2 名詞の謙譲語 I (23)
      • 3. 謙譲語 II (23)
        • 3.1 謙譲語 II とは (23)
        • 3.2 謙譲語 II の形 (24)
          • 3.2.1 動詞の謙譲語 II (24)
          • 3.2.2 名詞の謙譲語 II (24)
      • 4. 丁寧語 (26)
        • 4.1 丁寧語とは (26)
        • 4.2 丁寧語の形 (26)
      • 5. 美化語 (27)
        • 5.1 美化語とは (27)
        • 5.2 美化語の形 (28)
      • 6. 敬語以外の待遇表現 (28)
        • 6.1 尊大語 (28)
        • 6.2 侮蔑語 (29)
  • 第2章 ベトナム語における敬語に相当する表現 (31)
    • 2. ベトナム語における敬語に相当する表現 (32)
      • 2.1 ベトナム語における敬語の特定の動詞 (33)
      • 2.2 ベトナム語における人称代名詞 (36)
        • 2.2.1 人称代名詞の一覧表 (36)
        • 2.2.2 人称代名詞の用法 (37)
        • 2.2.3 人称代名詞の選定ポイント (38)
      • 2.3 ベトナム語における敬語的成分 (39)
  • 第 3 章 中・上級ベトナム人日本語学習者による敬語の誤用 (42)
    • 第1節 中・上級ベトナム人日本語学習者による文法上の敬語の誤用 (42)
      • 1. 種類・構成・文脈からみた敬語の誤用 (42)
        • 1.1 種類から見た誤用 (42)
          • 1.1.1 常体と敬体の混同による誤用 (42)
          • 1.1.2 尊敬語と謙譲語 I の混同による誤用 (43)
          • 1.1.3 尊敬語と謙譲語 II の混同による誤用 (44)
          • 1.1.4 謙譲語 I と謙譲語 II の混同による誤語 (47)
        • 1.2 構成から見た誤用 (49)
        • 1.3 文脈から見た誤用 (52)
      • 2. 過度の敬語使用 (53)
        • 2.1 二重敬語 (53)
        • 2.2 乱用 (55)
          • 2.2.2 本来の言葉を変える乱用 (57)
      • 3. 敬語の不足 (57)
      • 4. 話し手側の動作や物事に付ける「お(ご)」 (58)
    • 第2節 中・上級ベトナム人日本語学習者による場面での敬語の誤用 (60)
      • 1. 自分や相手の呼び方の敬語の誤用 (60)
      • 3. 褒めることにおける敬語の誤用 (65)
      • 4. 能力などを尋ねることにおける敬語の誤用 (66)
      • 5. 依頼の仕方における敬語の誤用 (68)
    • 第 3 節 敬語の誤用の原因解説及び使用ポイント (70)
      • 1. 敬語の誤用の原因解説 (13)
        • 1.1 学習者の心理 (70)
        • 1.2 日越間における言語特徴的な相違 (71)
        • 1.3 日越間における国民意識の相違 (71)
      • 2. 敬語使用ポイント (73)
        • 2.1 日本語の活用形・敬語の形・「お(ご)」の付け方を身に付けること (0)
          • 2.1.1 日本語の活用形 (0)
        • 2.2 敬語のシステムを理解すること (75)
        • 2.3 人間関係や場面を的確に把握すること (80)

Nội dung

日本語における敬語表現及び誤用の概念と分類 …

敬語の概念・誤用の概念

1.敬語の概念

敬語は日本語などで発達しているが、ヨーロッパ近代語では日本語ほど体系的には使 われていない。ヨーロッパ近代語に敬語があるかないかは敬語の定義次第である。敬語 の指針(2007)によると、「敬語表現とは、コミュニケーションにおいて、相互尊重の 精神に基づき、相手や場面に配慮して使い分けている言葉遣いを意味する。」(p.2)

。また、敬語について、Jack C Richards, Richard Schmidt(2002)が次のように定義 した。「Honorifics: Politeness formulas in a particular language which may be specific affixes, words, or sentence structures (略)(【日本語訳】敬語表現:特定の文法接辞

(接頭辞・接尾辞など)、言葉あるいは文構造などある言語に存在するポライトネスフ ォーミュラ」)(p.242 )。敬語を広く「人物間の上下関係や親疎関係を 反映した言語表 現」と定義すれば、英語で丁寧な命令文に please を付ける例を始め、学校や軍隊で生 徒や兵士の教師、上官に対する応答の文末に sir/madam を付ける例、2人称代名詞の敬 称(動詞の活用も 3人称など本来の二人称形と異なる形を用いる)が存在する例などヨ ーロッパ近代語にも敬語がある。英語の二人称代名詞である you も、もともとは敬称で あったものが、敬称でない thou が全くといっていいほど使われなくなった結果、敬称 として意味を成さなくなったものである。つまり、かつての英語話者が家族であろうと 親しい友人であろうと常に敬称のみを使っていたために、敬称でない形の thou が忘れ 去られるに至ったわけである。 しかし、日本語のように「人物間の上下関係を反映し た言語表現が体系的に文法化された形式」をもつものに限って定義すればヨーロッパ近 代語には敬語はないことになる。また、敬語は現代においては主に第三者等との会話で 使用され、見知らぬ相手との円滑なコミュニケーションを促す役割も持つ。

ここでいう上下関係とは年齢や地位といった社会的な関係に固定されたものではなく、相手が商売上の客であったり見知らぬ人であったりする場合にも使われ、場面によって変化する。親しさ、疎遠さとも関係している。また、暗に相手を見下したりするために用いられることもある。

ベトナム語においても、日本語においても、敬語というと、一般には上下関係のある 場合に使われる言葉遣いだと思われがちである。確かに、上司と部下、先生と生徒、年 上と年下など、上下関係に基づいて敬語が使われることは多い。

しかし、話し手と聞き手との間に上下関係が無いにもかかわらず、知らない人物に対 しては敬語を使う。また、知っている人の場合でも、親しい人には敬語を使わないが、

あまり親しくない人物に対しては敬語を使うだろう。つまり、敬語は、相手との親疎関 係に基づいても使用されるのである。一般に、親しさの度合いが低い相手ほど丁寧で、

敬意の高い表現を用いる傾向がある。

かつての日本語における敬語は、主として、絶対的・固定的な身分の上下に基づいて 使われる上下の敬語であった。しかし、現在では敬語の使用を選択する要因としては、

上下関係よりも親疎関係の方が大きな意味を持ち始めている。このことを上下の敬語に 対して「左右の敬語」と呼ぶ人もいる。

さて、そうすると、敬語は「敬意を示すための」表現である、という言い方に違和感 を覚えるベトナム人学習者が出てくるかもしれない。通りすがりの人や親しくない人に 尊敬や敬いの気持ちを抱いて敬語を使っているとは考えにくいからである。

しかし、敬意を持つということは、それに対して近寄りがたい気持ちを持つことに通 じる。尊敬している人には簡単に近づけないという気持ちを持ったことは誰にでもある だろう。このことを言い換えれば、敬意を示すことは、その人に対する心理的な距離を 示すことだとも言えよう。

したがって、親しくない人に対して敬意を示すのは、それだけの心理的距離があるこ とを示しているといえる。つまり、親疎関係による敬語は、相手を立てる表現をするこ とで、相手との心理的な距離を調整する(一定の距離をとり、必要以上に近づかない)

という働きをしていることになると考えられる。

このように、敬語とは、コミュニケーションにおいて、相手や場面に配慮し、相手 との社会的、心理的距離を調節する言語的手段である。本稿ではこの定義に従う。

2.誤用の概念

誤用(error )については、 Jack C Richards, Richard Schmidt ( 2002 )が次のように定義した。「Error: in the speech or writing of a second or foreign language learner, the use of a linguistic item (e.g a word, a grammatical item, a SPEECH ACT, etc.) in a way which a fluent or native speaker of the language regards as showing faulty or incomplete learning A distinction is sometimes made between an error, which results from incomplete knowledge, and a mistake made by a learner when writing or speaking and which is caused by lack of attention, fatigue, carelessness, or some other aspect of performance Errors are sometimes classified according to vocabulary (lexical error), pronunciation (phonological error), grammar (syntactic error), misunderstanding of a speaker’s intention or meaning (interpretive error), production of the wrong communicative effect, e.g through the faulty use of a speech act or one of the RULE OF

SPEAKING (pragmatic error).」(【日本語訳】誤用:第二言語あるいは外国語学習者

によるスピーチまたは文書において、ある言語に堪能なスピーカーもしくはその言語母 語話者が誤りまたは不完全なものとみなす言語アイテムの用法(例:単語、文法アイテ ム、発言行為等)。不十分な知識が原因の誤用(error)と区別し、間違い (mistake)

日本語における敬語表現

一般的には敬語を尊敬語・謙譲語・丁寧語の三つに分類する。日本語学においてはさ らに丁重語・美化語を立てた 5 分類が多く使われている。文部科学大臣及び文化庁長官 の諮問機関である文化審議会も、2007 年に、尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ(丁重 語)・丁寧語・美化語の5分類にするという敬語の指針を答申した。

敬語にはその性質上、話題中の人物を高めるもの(素材敬語)と話し手が対面してい る聞き手を高めるもの(対者敬語)があるが、5 分類は、従来の 3 分類を元に、両者を 区別することで定義されたものである。また、本来丁寧語の一部である美化語は「敬 語」からは外されることが多い。 中学校では、3分類で敬語の学習をしているほか、

常体・敬体についても学習している。

敬語の分類及び特徴

3分類 5分類 特徴

尊敬語 尊敬語

相手側又は第三者の行為・物事・状態など について、その人物を立てて述べるもの。

自分側から相手側又は第三者に向かう行為

・物事などについて、その向かう先の人物 を立てて述べるもの。

自分側の行為・物事などを、語や文章の相 手に対して丁重に述べるもの。

丁寧語 丁寧語 語や文章の相手に対して丁寧に述べるもの

。 美化語 - 物事を、美化して述べるもの。

(注)上記の表での「立てる」は「敬語の指針」(文化審議会、2007)で「言葉

の上で高く位置付けて述べる」という表現として用いられている。本論での「立てる」は、そのような意味で理解されたい。

1 1尊敬語とは

尊敬語は相手側又は第三者の行為・物事・状態などについて、その人物を立てて述べ るもの。

「先生は来週海外へいらっしゃるんでしたね。」と述べる場合、「先生は来週海外へ 行くんでしたね。」と同じ内容であるが、「行く」の代わりに「いらっしゃる」を使う ことで、「先生」を立てる述べ方になる。このように、「いらっしゃる」は行為者に対 する敬語として働く。この種の敬語は、一般に「尊敬語」と呼ばれている。「先生のお 導き」なども、行為者を立てる尊敬語である。

「お名前」「お忙しい」のように、行為ではなく、物事や状態を表す語にも、尊敬語 と呼ばれるものがある。例えば「先生のお名前」は「名前」の所有者である「先生」を、 また「先生はお忙しいようですね。」は「忙しい」状態にある「先生」を、それぞれ立 てることになる。

1.2 尊敬語の形 1.2.1 動詞の尊敬語

① 動詞の尊敬語の形

「行く→いらっしゃる」のように特定の語形(特定形)による場合と、「お(ご)…

になる」(例、読む→お読みになる、利用する→御利用になる)のように広く色々な 語に適用できる一般的な語形(一般形)を使う場合とがある。

【特定形の主な例】

・いらっしゃる (←行く・来る・いる)

・おっしゃる (←言う)

・なさる (←する)

・召し上がる (←食べる・飲む)

・下さる (←くれる)

・見える (←来る)

【一般形の主な例】

・お(ご) になる

・ (ら)れる(例:読む→読まれる、利用する→利用される、始める→始め られる、来る→来られる)

・ なさる(例:利用する→利用なさる)

・ご なさる(例:利用する→御利用なさる)

・お(ご) だ(例:読む→お読みだ、利用する→ご利用だ)

・お(ご) くださる(例:読む→お読みくださる、指導する→ご指導くださ る)

【「お(ご) になる」を作る上での留意点】

ア.「お」「御」の使い分け 一般に、動詞が和語の場合は「読む→お読みになる」「出掛ける→お出掛 けになる」のように「お になる」となり、漢語サ変動詞の場合は「利用する

→御利用になる」「出席する→御出席になる」のように「ご になる」となる。 イ. 変則的な「お(ご) になる」

次の場合は、変則的な作り方となる。

・ご覧になる (←見る)

・おいでになる (←行く・来る・いる)

・お休みになる (←寝る)

・お召しになる (←着る)

ウ.「お(ご) になる」が作れない場合

習慣上、「お(ご)」と組み合わせることがなじまず、「お(ご) に なる」の形が作れない動詞もあるので注意を要する。

例:×お死にになる(→お亡くなりになる、亡くなれる) ×御失敗になる(→失敗なさる、失敗される) ×御運転になる(→運転なさる、運転される)

② 可能の意味を添える場合 動詞に可能の意味を添えて、かつ尊敬語にするには、まず尊敬語の形にした上で 可能の形にする。

例:召し上がる →召し上がれる、

お読みになる →お読みになれる ご利用になる →ご利用になれる

1.2.2 名詞の尊敬語

ベトナム語における敬語に相当する表現

ベトナム語における敬語に相当する表現

日本語の敬語表現においては謙譲語Iと謙譲語 IIが区分されている。謙譲語 I は自分 側から相手側又は第三者に向かう行為・物事などについて、その向かう先の人物を立て て述べるものである。謙譲語 IIは自分側の行為・物事などを、話や文章の相手に対して 丁重に述べるものである。しかし、ベトナム語の敬語表現においてはそのように謙譲語

Iと謙譲語 IIが区分されず、同一の言葉が謙譲語 Iであれば、謙譲語 IIの用法や働きも 持つのが一般である。従って、本章では、謙譲語 Iと謙譲語 IIを謙譲語の一つにまとめ

、日本語の尊敬語・謙譲語(謙譲語 I・謙譲語 II)・丁寧語・美化語の分類形式を借用 し、典型的なベトナム語の敬語表現を考察していく。

また、ベトナム語において「Mồm(口)」という名詞を示す尊敬語と謙譲語 II のいずれにも属する「Miệng(お口)」のような敬語の特定の名詞は非常に少ない。それ故

、それを除き、ここでは、ベトナム語の上述のような特定の動詞、人称代名詞及びベト ナム語の特徴である敬語的成分(ạ, dạ, xin, kính)を中心に述べていく。

2.1 ベトナム語における敬語の特定の動詞

日本語に比べると、ベトナム語における敬語の特定の動詞の量は比較的に少ないと考 えられる。日本語とベトナム語には共通する敬語表現の特定の動詞が存在する。「Ăn

(食べる)、Ngủ(寝る)、Nghe(聴く)、Xem(見る)、Cho(あげる)、Nhận(も らう)」等といった動詞はその一例であるが、それはそれらの動詞が昔から日常会話に 最も頻繁に用いられてきたからであろう。一方、ベトナム語においては「Dạy(教える

)」という動詞を示す尊敬語の「Dạy dỗ, chỉ bảo(お教えくださる)」という特定の動 詞があるが、日本語においては「教える」という動詞を示す尊敬語の「お教えになる」

「お教えなさる」はあるが、特定の動詞はないように、日本語の敬語にない特定の動詞 はベトナム語にあるものもある。

以下にベトナム語における代表的な敬語の特定の動詞を表に示す。ただし、封建時代 や殖民地時代の敬語は、現在用いられなくなっているので、ここでは、ベトナム近代語 のみに留めてある。

尊敬語の特定の動詞表

動詞 ベトナム語 日本語

・召し上がる

・Sang thế giới người hiền

・隠れる(皇室関係)

・他界なさる

・崩御する(皇室関係)

・Cưới ・結婚する ・Tổ chức (đám cưới) なし

・Dạy ・教える ・Dạy dỗ

・出産する ・Lâm bồn なし

・Già đi ・年をとる

・老ける ・Có tuổi ・召す

・Hấp hối ・臨終する ・Lâm chung なし

・お耳に入る

・お聞きになる

・ご覧になる

・思う ・Thấy (thế nào) ・おぼしめす

・Đi ngủ ・寝る ・Đi nghỉ ・御寝る

・Sống lâu ・長く生きる ・Thọ ・なし

・答える ・Cho biết ý kiến ・おっしゃる

(表 2 ) 謙譲語の特定の動詞

動詞 ベトナム語 日本語

・Báo cáo ・報告する ・Cẩn cáo なし

面倒を見る ・Phụng dưỡng なし

・Cho ・あげる ・Biếu ・差し上げる

・Chúc ・祝う ・Cung chúc

・Thăm hỏi ・訪ねる ・Đến thăm

・Gặp ・会う ・Diện kiến ・お目に掛かる

・Ký tên ・サインする

・署名する ・Cẩn ký なし

・Lấy ・もらう ・Xin ・いただく

・Thưa chuyện ・申し上げる

・Tặng ・あげる ・Kính tặng ・差し上げる

(表 3 ) 丁寧語の特定の動詞

動詞 ベトナム語 日本語

・Chôn ・埋葬する ・Mai táng

・小便 する ・Đi vệ sinh ・「大便する」の敬体

・「小便する」の敬体

・Đẻ ・生まれる ・Ra đời

・Chào đời ・「生まれる」の敬体

・Đẻ ・生む ・Sinh (em bé) ・「生む」の敬体

2.2 ベトナム語における人称代名詞 2.2.1 人称代名詞の一覧表

ベトナム語には人を指す代名詞が数多くあり、それらは相手との関係(親族関係の有 無、性別、年齢、地位の上下関係、親疎の度合いなど)や場面によって使い分けられる

。親族名称が親族関係の有無に関係なく、また全ての人称で広く用いられるのがベトナ ム語の特徴である。

ベトナム語の親族名称 Ông nội Bà nội Ông ngoại Bà ngoại

(父方の祖父) (父方の祖母) (母方の祖父) (母方の祖母)

Bác trai Bác gái Chú Cô Bác trai Bác gái Cậu Dì

(叔父)(叔母) (叔父)(叔母) (叔父)(叔母) (叔父) (叔母)

Anh Chị Tôi Em trai Em gái (兄) (姉) (私) (弟) (妹)

日本語でも相手によって「あなた」「君」「お前」などを使い分けるが、ベトナム語 でも性別、年齢、人間関係(上下関係、親しさの程度等)を総合的に考慮し、複数ある

「あなた」に当たる言葉の中から一つを選び出す。上述のベトナム語の特徴であるが、

ベトナム語では「兄」「姉」等家族内の関係を示す言葉が、その元々の意味(兄や姉等

)で使われるだけでなく、「あなた」という意味にも使われる。

ベトナム語の基本的な人称代名詞

人称 単数 複数

1人称 Tôi Chúng tôi Chúng ta

Các ông Các anh Các cô

Các bà Các chị Các em

3人称 Ông ấy Bà ấy Các ông ấy Các bà ấy

Các anh ấy Các cô ấy

Các chị ấy Các em ấy

2.2.2 人称代名詞の用法

❖ 1人称について

中・上級ベトナム人日本語学習者による敬語の誤用

中・上級ベトナム人日本語学習者による文法上の敬語の誤用

第 2 章に述べてあるように、人を丁寧に待遇したいという動機そのものは同じでも、何 を丁寧と考えるかは同じではない。

一般に外国語を話すときに犯す誤りには 2種類ある。一つは発音や文法の誤りである。

もう一つは適切さ(どの場面でどのように言うのが適切か)についての誤りである。

ノンネイティブ・スピーカーが発音や文法の誤り(例えば、長音、促音、動詞の活用形

、助詞など)を犯したとき、ネイティブ・スピーカーはそれが誤りであるとすぐ認識で きる。言語によって発音や文法は異なるものだと知っているからである。ところが適切 さの誤りに対してはそうではない。場面に合わないことを言ってしまった誤り(たとえ ば、くだけた表現を、そうとは知らず、あらたまった場面で使ってしまったというよう な誤り)を聞くと、ネイティブ・スピーカーはそれがノンネイティブ・スピーカーの誤 りであることに気づかず、相手の人格の表れと解釈しがちである。発音や文法の誤りに 対しては、「あ、相手は今変なことを言った。でも、本当に言いたかったことはこうい うことだろう」と反射的に翻訳することができるが、適切さの誤りに対しては、「あ、

相手は今変なことを言った。なんて失礼な人なんだろう。」と反射的に思ってしまう。

特に、相手の発音や文法の点で誤りがなく、流暢である場合には、この傾向が一層強く なる。

したがって、外国語を話そうとする場合、特に中上級者は文法や発音の誤り以上に適切 さの誤りに注意する必要がある。

1 種類・構成・文脈からみた敬語の誤用 1.1 種類から見た誤用

中・上級ベトナム人日本語学習者による敬語の誤用には、敬語の種類についての認識の 不足から起こる例が非常的に多くある。それは立てるべき対象の誤認による誤用もあり

、敬語の種類の混同による誤用もある。

1.1.1 常体と敬体の混同による誤用

(1)(バス停や公園などで空いている席に座りたく、その席の近くに座っている人に聞く場合) ×この席は空いていらっしゃるんですか。

○この席は空いていますか。

(辻村(1965)、p.7) 誤用率:45%

「いらっしゃる」は尊敬語の特定の動詞であり、この場合には相手側又は第三者の「い る」の状態について、その人物を立てて述べるものである。しかし、席が空いていると いうのは相手の状態ではないから、明らかな誤用というべきである。これは、立てるべ き対象の誤認による誤用でもあり、常体と敬体の混同による誤用の一例である。

このような誤用はベトナム人学習者ではなく、非母語話者がしやすい誤用である。尊敬 語は相手側又は第三者の行為・物事・状態などについて、その人物を立てて述べるもの であるが、非母語話者は相手に対して、自分の行為・物事・状態ではないならば、敬語 を使わなければならないと誤った認識を持ち、誤用する。以下の例もこのパターンの誤 用に属する。

例1:皆様の税金も減られることでしょう。

例 2:黄色いしみがお付きになっていますね。(洗濯屋が洗い物を預かる時に言った言 葉)

1.1.2 尊敬語と謙譲語 I の混同による誤用

(2)(受付の人が客に対して言う場合) ×担当者に伺ってください。

○担当者にお尋ねください。

(敬語の指針(2007)、p.37) 誤用率:35%

「担当者に伺ってください」の「伺う」は謙譲語 I であり、「聞く・尋ねる」という動 作の「向かう先」を立てる敬語である。したがって、「受付の人」側の人物である担当 者を立ててしまうことになり、尋ねた客を立てる敬語とはならない。

同様に、「お聞きする」「お尋ねする」といった敬語も、「伺う」と同じ謙譲語 I であ る。したがって、「担当者にお聞きしてください。」「担当者にお尋ねしてください。

」なども「伺う」と同様に、客の動作に対しては用いることができない。

中・上級ベトナム人日本語学習者による場面での敬語の誤用

1 自分や相手の呼び方の敬語の誤用

(31)(会議中の場合) ×僕の考えでは...

○私の考えでは...

(敬語の指針(2007)、p.43) 誤用率:35%

日越辞典を引くと、「僕」は男子が自分自身を指す語で、謙った言い方でもあり、「僕

」も「私」もベトナム語の一人称の Tôi に相当することが分かる。それゆえに男性の日 本語ベトナム人学習者は「私」の代わりに「僕」を用いる傾向がある。しかし、公的な 場面には、「僕」を用いずに「わたし」或いは「わたくし」により自分のことを呼ぶべ きである。

基本的には、「僕」は、男性が日常の生活で用いる言葉であり、「わたし」は、やや改 まった場面で用いる言葉である。「わたくし」は「わたし」よりも更に改まった公的な 場面などで用いられる。したがって、例えば、式典や会議の場、面接試験などの時には

、「僕」よりも、「わたし」或いは「わたくし」を用いた方が、その場面にふさわしい 選択だと言える。

自分のことをどう呼ぶかについては、場面に応じたふさわしい言い方がある。ただし、

必ずこうしなければいけないという決まりがあるわけではない。実際には、どういう場 面においても、「僕」(或いは「わたし」)とだけ呼んでいる人もいるだろう。また、

「俺」「僕」「わたし」「わたくし」を場面に応じて使い分けている人もいるだろう。

自分自身のことをどういう言葉で呼ぶかという問題は、自分をどういう自分として表現 したいのか、ということとも深く関連している。「俺」「僕」「わたし」「わたくし」

など、自分を呼ぶ様々な言葉の中から、自分を表すのにふさわしいと思える言葉を選択すること、また、状況に応じてそれらを使い分けること、或いは使い分けないこと、そうしたことが自分をどう表現しようとするのかという、「自己表現」の在り方につながっているのである。

(32)(会議の司会をしているときに、先輩の同僚に言う場合) ×あなたはどう考えますか。

○○○さんはどう考えますか。

○お考えをお聞かせください。

(敬語の指針(2007)、p.82) 誤用率:41%

この場合、ベトナム語で言うならば「Anh (chị) nghĩ như thế nào (ạ)?」になるが、そのま ま日本語に「あなたはどう考えますか。」と訳する人が多くいるだろう。しかし、先輩 に対する呼び方として、「あなた」は不適切である。

「あなた」は、本来は遠くを指し示す「あなた(彼方)」という言葉から生じ、敬意の 高い敬語であった。しかし、現在では、年齢や立場が同等、或いは下位にある人に対し て使うことが一般的となっており、上位者に対しては用いにくくなっている。また、相 手の名前を示さずに呼ぶことで、中立的な表現となる反面、やや冷たい響きが感じられ るといえる。したがって、先輩に対する呼び方としては、適切だとはいえないだろう。

「あなた」には上で述べたような性質があることを考慮すれば、名前を知っている相手 に対しては名前を呼ぶことによって、名前を知らない相手に対してはその人の動作など に敬語を使うことによって、「あなた」を使わないようにすることもできる。例えば、

「あなたはどう考えますか。」ではなく、「○○さんはどう考えますか。」、「お考え をお聞かせください。」等という言い方である。

一方、「あなた」には中立的な語感があることから、例えば、会議の席上や授業中、或 いは面接試験などでは、比較的多く用いられている。「話し手」と「聞き手」の双方が

敬語の誤用の原因解説及び使用ポイント

1 敬語の誤用の原因解説

第1節及び第2節においては、中・上級ベトナム人日本語学習者による文法上の敬語 の誤用と場面での敬語の誤用について概説し、具体的な例にあたり、なぜベトナム人学 習者がそのような誤用をするかも解説が入っていたが、まとめとして、誤用の原因が主

な 3 つあると考えられる。それは(1)学習者の心理、(2)言語特徴の相違、(3)意 識の相違である。

1.1 学習者の心理

日本語学習者だけではなく、外国語学習者は誰でもその外国語を間違いなしで使える ようになりたいものである。「間違いがないように」いう心理とともに「間違いをする ことが怖い」という心理も発生しがちである。

日本語における敬語の場合は、言うまでもなく、難しいものであり、「知っているの にどうしてもうまく使えない」と困っている学習者が多くいるようである。そんな複雑 な敬語を使用する際には、非母語話者であるベトナム人学習者には礼を失しないように という気持ちがあるため、「敬語は難しいもので、気をつけなきゃ。」「敬意が伝わる ように頑張らなくちゃ…」と慌てるのが普通である。しかし、慌てたり、心配したりす るからこそ、文法上の誤用も場面での誤用もしやすいという逆効果がなり得る。

地位の高い人には、ついつい気負いすぎて敬語をいくつも重ねてしまう過剰敬語も この心理的原因によるものである。また、尊敬語を使うべき場面だと認識できるが、

慌てるため、不適切な謙譲語 I又は謙譲語 IIの表現を使ってしまうことも少なくないの だろう。

非母語話者であるベトナム人学習者は日本語能力試験の 1 級レベルでも、敬語使用において絶対誤用をしない人はいないはずである。しかし、敬語使用に自信が無いからといって避けることはするべきではない。敬語は古代から現在に至る日本語の歴史の中で、一貫して重要な役割を担い続けている。その役割とは、人が言葉を用いて自らの意思や感情を人に伝える際に、単にその内容を表現するのではなく、相手や周囲の人と、自らとの人間関係・社会関係についての気持ちの在り方を表現するというものである。敬語はそんな重要な役割を果たすので、ベトナム人学習者は敬語を回避せずに、使いこなせるように精一杯練習するしかないのである。練習するほど敬語使用

に慣れ、自信を持つことで、心理的な不安などによる敬語の誤用がなくなる時が来る はずである。

1.2 日越間における言語特徴的な相違

中・上級ベトナム人日本語学習者が敬語の誤用をする原因に、上記の心理的原因以 外、ベトナム語と日本語との相違点も一つの要因である。

ベトナム語における特定形或いは一般形の敬語は日本語に比べると正にわずかな数で ある。本稿の第 2 章に述べたが、一般に敬語的成分の「ạ」「dạ」「xin」「kính」、も しくは、人称代名詞を用いることにより尊敬又は謙譲の意を表す。そして、孤立語に分 類されるベトナム語は、単語に接頭辞や接尾辞のような形態素を膠着させたり、語頭や 語尾などの形を変化させたりすることがない。文法的関係は語順などによって示される 特徴をもつ。

これに対して、ベトナム語より体系立った敬語を持ち、膠着語に分類される日本語は

、ある単語に接頭辞や接尾辞のような形態素を付着させることで、その単語の文の中で の文法関係を示す特徴を持つ。

日本語において、名詞が格助詞を伴ってさまざまな格を示すのに対し、用言(動詞・

形容詞・形容動詞)および助動詞は、語尾を変化させることによって、文中のどの成分 を担っているかを示したり、時制・相などの情報や文の切れ続きの別などを示したりす る。この語尾変化を「活用」といい、活用する語を総称して「活用語」という。

ベトナム語において、単語に接頭辞や接尾辞のような形態素を付着させたり、語頭や 語尾などの形を変化させたりすることがないので、敬語を使用する際に、「活用語」以 外には、「お(ご)」の付け方は和語・漢語にも関係があること等、ベトナム人学習者 は間違えやすく、困難だと思われる。ベトナム語と日本語との相違点は構成の敬語の誤 用につながると考えられる。

Ngày đăng: 06/12/2022, 08:56

TÀI LIỆU CÙNG NGƯỜI DÙNG

  • Đang cập nhật ...

TÀI LIỆU LIÊN QUAN