ベトナム国家大学ハノイ校日越大学 地域研究プログラム日本研究専攻 修士論文 ベトナムにおける中等レベルの日本語教育政策 ―ハノイにおける高校の日本語教育を事例として― 主指導教員 宮崎里司教授 学位申請者 NGUYEN KIM NGAN ハノイ,2019 年 月 Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 要旨 この数年、ベトナムと日本との関係は最盛期に入っており、ますます戦略的パートナーシ ップが強化されている。現在、ベトナムで事業を拡大している日系企業は年々増えている。日本 との経済関係とともに、ベトナムの日本語学習者数と日本語教育機関数が急増している。ベトナ ムの日本語教育が両国の経済・政策関係の影響を受けているのが見られる。特に、ベトナム政府 と日本政府と協力し、2003 年の「ベトナムに中等学校における日本語教育試行プロジェクト」及 び 2008 年の「2008-2020 年国民教育システムにおける外国語教育プロジェクト」を立ち上げた。 本論文では、ベトナムにおける日本語教育政策がどのような課題を抱えているか明確にする。 本論文は、5 章の構成であり、具体的な内容は次の通りである。第 章では、ベトナムの 教育制度やベトナムの外国語教育政策などの概要を取り上げた。それから、ベトナムにおける中 等レベルの日本語教育事情及び日本語教育政策の現状について述べた。そして、問題の意識や研 究の目的を述べて、3 つのリサーチクエスチョンを設定した。第 章では、中等レベルの日本語 教育政策に関する先行研究をまとめた。先行研究の結論や課題を踏まえて、本研究を位置付けた。 本研究の新たなものというのはハノイの中等レベルの日本語教育政策の影響とベトナム人の教師 の問題点である。第 章では、ハノイにおける高校の日本語教育の現状と課題の調査方法につい て述べた。第 章において、収集された調査データを分析した。それらの分析結果からリサーチ クエスチョンに関する考察を述べた。第 章では、3 つのリサーチクエスチョンへの答えを理解 し、研究の結論と今後の展望を述べた。 本論文で明らかにしたものは、まず、現在「2008-202 年国家外国語プロジェクト」による 影響を受けている中等レベル教育には、日本語教育の拡大が進み、発展を続けていることである。 次、ハノイにおける高校の日本語教育の課題は日本語教育のカリキュラム改善、教師の質、教師 の人数不足であるが、その課題に対する解決の方向がまだ考えられている。一方、最近、多くの 生徒が高校を卒業した後、日本の大学へ進学する傾向がある。ハノイにおいて、いくつかの高校 は日本の大学と協力、日本語を学習する生徒に様々な連携プログラムを提供して日本への進学の 機会を与える。ベトナムの高校と日本の大学との積極的な協力は将来の学術交換・文化交流を行 っており、今後ベトナム人生徒が日本での良質で有名な高等教育機関で留学する機会が増えてる と期待されている。 ii Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 目次 要旨 ii 図一覧 v 表一覧 v 第 章 研究の背景と目的 1.1 研究の出発点 1.1.1 ベトナムと日本との外交関係 1.1.2 ベトナムでの日本語教育の拡大 1.2 ベトナムの教育の概要 1.2.1 ベトナムの教育制度 1.2.2 ベトナムにおける外国語政策 1.2.3 「2008-2020 年 国民教育 システム に おける 外国語教育 プ ロジェクト」 1.3 ベトナムにおける中等レベルの日本語教育事情 10 1.3.1「ベトナム中等学校における日本語教育試行プロジェクト」 10 1.3.2 中等レベルの日本語教育事情 13 1.4 問題意識 15 1.5 研究の目的 16 1.6 本論文の構成 17 第 章 先行研究 19 2.1 外国語教育政策・日本語教育政策に関する先行研究 19 2.2 ベトナムにおける日本語教育に関する先行研究 20 中等レベルにおける日本語教育に関する先行研究 21 2.4 本研究の位置付け 22 2.5 本章のまとめ 23 第 章研究方法 24 3.1 調査目的 24 3.2 調査協力者 24 3.3 調査方法 25 3.4 分析方法 26 3.5 本章のまとめ 26 iii Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 第 章 研究結果と分析 27 4.1 中等レベルの日本語教育の問題点 27 4.1.1 高校における日本語教育のカリキュラムと教科書 28 4.1.2 高校生が日本語を辞める状況 32 4.1.3 教材と設備の欠如 34 4.2 中等レベルの日本語教師の日本語教育政策に対する認識と評価 37 4.3 中等レベルの日本語教師の問題点 38 4.3.1 教師の人数不足 40 4.3.2 教師の資質 42 4.4 日本語教育担当者への要望 44 4.5 本章のまとめ 46 第5章 結論と今後の課題と展望 46 5.1 リサーチクエスチョンの答え 48 5.1.1 RQ1 の答え 48 5.1.2 RQ2 の答え 48 5.1.3 RQ3 の答え 49 5.2 本研究のまとめ 49 5.3 今後の展望 50 付録 52 参考文献 54 謝辞 58 iv Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 図一覧 図 ベトナムと日本の教育制度 表一覧 表 「2020 年国家外国語プロジェクト」の具体的な目標 表 各段階の卒業時における到達能力 表 ベトナムの 外国語能力 レ ベ ル の 枠組みと CEFR・JLPT の参照 表 ベトナムの外国語能力 レベルの枠組みの熟達度の総合目安 表 ベトナム国内の中等レベルの日本語教育実施校(モデル校)(2003-2013 年時点) 11 表 ベトナムにおける日本語学習者数 13 表 ベトナムにおける中等レベルの外国語教育の状況(2016 年時点) 13 表 調査を行った高校のリスト 24 表 調査協力者の情報 25 表 10 インタビュー調査のスケジュール 26 表 11 本質カテゴリーと包括的なカテゴリー 27 表 12 ハノイにおける高校の日本語教科書 29 表 13 チュー・ヴァン・アン高校、キム・リエン高校とヴィエット・ヅック高校の高校 年 の日本語クラスの人数変化 33 表 14 モデル校の一般合格点と日本語クラスの合格点 34 表 15 ハノイにおける高校の日本語教師数と学習者数 41 表 16 高校の教員の給システム 42 v Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 第1章 研究の背景と目的 1.1 研究の出発点 1.1.1 ベトナムと日本との外交関係 ベトナムと日本は同じアジア地域に位置する国であり、ベトナム人と日本人の間には、社会・ 習慣・文字・宗教に関する「同様・同調」の特徴が多くあった。中世において(15 世紀の初めか ら)日本とベトナムは友好な交流・貿易の関係が記録されている。数名の日本商人は商売のため に「安南国(当時のベトナムの名称)」に来て 1、ホイ・アンに住んでいた日本の商人はおよそ 700 人であり、「日本町」を成立した2。さらに、当時のグエン公の阮福源は日本商船に様々な優 遇を図り、その上、自分の養女 Ngoc Van 姫を日本の商人荒木宗太郎と結婚させた(Anh 1998: 78)。このような過去の行動はこの時期の日越両国の友好外交に大きく貢献した。 20 世紀において、日本とベトナム(当時はベトナム民主共和国である)との正式な外交関係 が樹立された。日本政府は ODA をベトナムに援助し始めた。1978 年から 1989 年にかけて、ベト ナムへの経済的援助を打ち切ったことがあったが、両国の外交は徐々に元の状態に戻ってきた。 1990 年からベトナムは経済改革を推進し、ASEAN の加盟国となり、高度成長期に入った市場経済 の影響を受けた。その結果、ベトナムに対する外交政策が変化し、日越関係は強く発展していく。 さらに、2007 年には『日本・ベトナム間の戦略的パートナーシップに向けたアジェンダ』が開始 され、政治、経済、文化などの多面的な交流が進展を遂げてきた。 特に、この数年、ベトナムと日本との経済協力は最盛期に入っている。2017 年を通じて日越 両国の指導者レベルの交流・訪問が数多くあった。日本からは天皇皇后両陛下をはじめ、安倍晋 三内閣総理大臣,大島理森衆議院議長が来越した。そして、ベトナムからはフック首相とティン 国家副主席が日本を訪問した。ベトナムの持続的発展は日本に非常に重要だと認められている3。 JETRO の調査によると、世界経済の不況下にあっても、ベトナムに代表事務所を開設した日系企 業の数がますます増加しており、1345 社である4。同調査では、ベトナムで事業を拡大すると回 Dao Duy Anh 『ベトナム文化史』(Viet Nam van hoa su cuong)(再出版)Dong Thap 出版社、1998 年、 78 頁による。 Phan Ngoc Lien.『歴史の流れに沿った日越関係』( Quan he Viet - Nhat lich su.)『社会科学通信 雑誌』1995 年 月号、28 ~30 頁による。 梅田邦夫(2018)「日ベトナム関係の現状―日越外交関係樹立45周年」ハノイ貿易大学 JETRO (2017) 「2017 年度アジアとオセアニアでの日系企業の活動調査」p.3 Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 答した日系企業は 70%であったことがわかった5。2017 年の日本外務省の統計では、日本とベト ナムとの貿易額は 334 億ドルで第 位の貿易相手国である6。法務省統計によると、在日ベトナム 人の数は 2017 年に 262,405 人であり、過去 年間で 倍増加している7。ベトナムの若者は日本 の尐子高齢化・労働者不足の状態を改善するようにすると期待されている。これはベトナムが今 後も日本にとってさらに重要なパートナーになっていくことと希望されている。 1.1.2 ベトナムでの日本語教育の拡大 ベトナムの政府は多くの外資系の企業を誘致するために様々な有利な条件を作り出し、経営環 境を改善するのに力を入れている。外国語教育政策は多くの国との経済と常に結合している。外 国語教育政策が外交関係・経済関係に支配されることはあまり珍しいことではなく、むしろ外国 語教育政策が経済発展のために重要な戦略と位置付けられる(嘉数 2011:28-29)。2016 年の新 しい動きとして注目されるのはベトナムにおいて、初等学校に日本語が第1外国語として導入さ れることである。それは経済協力の結果の一つの例であろう。 近年、日本におけるベトナム留学生数は急激に増加しており、JASSO の 2017 年度外国人留学 生在籍状況調査によると、外国人留学生数上位の 10 か国で、中国の次で 番目に留学生数が多 い国はベトナムである8。一方、ベトナムにおいても、日本語教育は顕著な発展を遂げてきてい る。国際交流基金の調査9によると、ベトナムにおける日本語学習者数はおおよそ 65 万人であり、 世界での日本語学習者数の上位 10 か国を見ると、ベトナムは 位である。日本語学習者数の増 加は、実際の日本語学習需要及び日越関係を深く反映している。さらに、ベトナム政府は大量の 外国語政策、法案を通して「ベトナム中等学校における日本語教育試行プロジェクト」及び 「2008—2020 年国民教育における外国語教育プロジェクト」を実施している。初等・中等・高等 レベルにおいて、日本語教育が第ー外国語の科目として行われているのについては、東南アジア の中でベトナムは初めての国である。日本語を「第一外国語」として教える方針が国の生徒・学 生のコミュニケーション能力を高め、グローバルにおける高い質の人材の源を育成すると期待さ れている。 JETRO (2017) p.20 日本外務省(2018a) 「最近のベトナム情勢と日ベトナム関係」 梅田邦夫(2018)「日ベトナム関係の現状―日越外交関係樹立45周年」ハノイ貿易大学 JASSO(2017)「平成 29 年度外国人留学生在籍状況調査等について-留学生受入れの概況-」 国際交流基金 (2017)『2017年度海外日本語教育機関調査』 Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 しかし、現在ベトナムにおいて行われている日本語教育には、どのような課題があるのかを 明確にすることが必要だと考える。今後のベトナムにおける日本語教育の方向性を明確にし、さ らに発展させるために、現在の課題を明らかにすることが必要であると考える。上述のような現 実が本研究の動機である。 1.2 ベトナムの教育の概要 1.2.1 ベトナムの教育制度 ベトナムの教育は、1988 年に「教育法」が初めて制定された 5・4・3 制度で、初等教育(小 学校 年間)、中等教育(前期中学校 年間と後期中学校 年間)からなる。義務教育は小学校 の 年間のみであったが、2005 年の教育改革で教育法が改正され、義務教育制度は 年間から 前期中学校終了時まで(11~15 歳)の 年間となった(2005 年には教育法を改正し、義務教育 を 年間に延長している)。こちらは日本の 6・3・3 教育制度と異なるところがあるが義務教育 制度と同じである。ベトナムの主な学校種別は、公立学校、私立学校、国際学校である(JASSO, 2018)。 ベトナムにおける教育行政は、中央に「教育訓練省」、地方の省レベルに「教育訓練局」が ある(例えば、ハノイには、ハノイ教育訓練局があり、ハノイにおける小学校、中学校、高校の 教育活動を管理する)。ベトナム教育訓練省は高等教育のほとんどの教育に関する動きを管理し ている。しかし、初等教育、中等教育の担当者は地方の教育訓練局、他の教育段階が教育課とい った役割分担となっている。初等レベルと中等レベルの授業期間は各学年、1 年 学期制をとり、 前期が 月から1月の中旪まで、後期が 月末から 月末までである。高等教育機関は 月に開 始し、6 月に終了する。基本的に、学期中間、学期末、学年末に試験が行われ、全科目の試験に 合格しなければならない。一科目だけでも不合格になれば進学や卒業が認められず留年となり、 年留年すると退学させることになっている。高校に進学のために中学校卒業試験を受験しなけ ればならない。全国統一高校入試に必修科目として国語試験と数学試験が行われる。 ベトナムの高等教育は、主に、2 年制の職業学校、3 年制の短期大学、4~6 年制の大学学部、 さらに 年制の修士課程と 年制の博士課程がある(ベトナム教育法、2005)。一方、日本の高 Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 等教育は高等専門学校、専門学校 1~4 年制、短期大学 年制、大学(学部)4 年制、大学院 年 制があり、国立・公立・私立に大別される10。 図 ベトナムと日本の教育制度 日本教育制度11 ベトナム教育制度 学 年 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 年 齢 27 26 25 24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 博 士 課 程 高 等 修課 士程 大 博士 課程 学 高 院 教 育 育 職業学 校 中 短期 大学 大 学 高 校 (後 期 中 学 校) 等 教 育 専 門 学 校 短 期 大 学 大 学 高 校 等 育 等 小 学 校 教 中 学 校 (前 期 中 学 校) 小 学 校 教 育 育 就 学 前 教 育 高 等 専 門 学 校 院 初 初 等 中 教 中 学 校 (前 期 中 学 校) 学 修士 課程 等 教 大 就 幼 稚 園 学 前 教 部分は義務教育 育 (ベトナム政府の 1981/QD-TTg号の「ベトナムの教育制度」通知に基づいて作成) 幼 稚 園 10 JASSO(2018)「日本の教育制度」 http://www.g-studyinjapan.jasso.go.jp/ja/modules/pico/index.php?content_id=8(2018 年 11 月 10 日閲覧) 11 JASSO のモデル(2018)に基づいて作成 林桂子(2004)p.173 Nguyen Kim Ngan 2019 年 月 1.2.2 ベトナムにおける外国語政策 1887 年から 1945 年まではフランスの植民地時代であり、フランス語がベトナムの公用語と制 定され、外国語科目とは言わなかった。一方、英語は外国語であり、フランス人の教師は第一外 国語科目として英語を教えていた。 1945 年から、北部の政権ベトナム民主共和国はソビエト社会主義共和国連邦を結び、同盟と なり、経済発展・人材資源がソ連から援助された。1951 年から 1990 年にかけてベトナムからソ 連及ぶ東欧の旧共産圏諸国に送り出した留学生数は 94800 人以上である(留学生には、大学生、 修士課程大学院性、博士課程大学院生、技能研究生、職業訓練性を含む)(河原,2006:110)。 そのため、ベトナムの国策の下で、ロシア語が中等教育・高等教育に導入され、第一外国語科目 として教えられた。また、フランス語、英語、中国語も洗濯外国語や第二外国語科目となってい た。 1990 年代まで、政治的に複雑な時代において外国語教育政策が常に変わっていた。中国との 政治問題やソ連邦の崩壊ゆえに、中国語とロシア語の地位が徐々に弱くなった。一方、ベトナム は 1992 年以降経済改革を推進してきた。1995 年に、ASEAN の加盟国となり、アメリカとの外交 関係を正式に樹立した(Tran Ba De, 2010: 60)。高度成長期に入った市場経済の影響を受け、ベ トナムにおける政治・経済政策外、外交政策はこのような背景に従って変化しつつある。英語が 徐々に重視されており、ベトナムの公教育で第一外国語となっている。しかし、上述したように、 グローバル時代において、政治・経済と外国語教育との関係上英語に限らず、中国語、韓国語、 時に日本語教育が重視されるべきである。ベトナム政府は日本政府と協力し、2003 年に「ベト ナムに中等学校における日本語教育試行プロジェクト」12を実施した。また、2008 年に開始した 「2008-2020 年 国民教育システムにおける外国語教育プロジェト」によると、ベトナムの公教育 において教えられている外国語は英語、フランス語、中国語、日本語、韓国語、ドイツ語、ロシ アだと決められた(1400/QD/TTg 号)。 1.2.3 「2008-2020 年 国民教育 システム に おける 外国語教育 プ ロジェクト」 ベトナム政府は外国語教育を強化目標として「2008-2020 年国民教育システムにおける外国語 教育プロジェクト」13を規定した。この計画は各教育段階・学習レベル、つまり教育訓練省所管 の学校教育における外国語教育を刷新する重要なプロジェクトである。 12 13 以下の 1.3.1 に説明する 本原稿で以下から「2020 年国家外国語プロジェクト」と呼ばれる。 がない場合には、短期教師養成コースに参加してもいいです。モデル校の他、公立高校に も、私立高校にも JLPT N2,N1 を持っている教師がほとんどいないです。 (E 教諭) ここでは教師たちの情報を集め、教師の意見もふまえて、教師の質について論じたい。 E 教諭(インタビュー4.3)の意見をみると、公立高校でも私立高校でも、教師は日本語専攻 の卒業ではなく師範免許も持たない人が多いことがわかる。この問題の原因は、教師の人数不 足の問題に関連すると考える。上記の 4.3.1 において、日本学専攻の優秀な学士がいるが、日系 企業に応募する傾向があるから、日本語教師を希望する学生が尐ない。その結果、高校は教員採 用規定に背いて、基準に満たさない応募者を採用せざるを得ない。ほとんど N3 しかを持ってい ない教師は教師養成プログラムを参加しなかったため、日本語の教え方の知識が浅い。 一方、B 教諭の(インタビュー4.3.2 )からは、教師の日本語能力が低下している現状がわか る。調べた教師は日本語能力 N1、N2 レベルを持っていると考えられるが、日本語能力試験に会 話のテスト、作文のテストがないので、教師のその つ技術が検証できない。授業中、教師はベ トナム語で文型をよく説明する。さらに、授業で何度も教科書を繰り返すので日本語を利用す る機会は多くなかった。その結果、日本語能力が N1、N2 レベルでも、N5、N4 の会話を教え ているので、教師自身も徐々に初級レベルに落ちてきたようである。日本語を使うチャンスが ない教師は日本語能力が改善できるのだろうか。 中学校の日本語講座では、クラス内の練習について、教師の指導の下に学生が全員で一斉に答 えたり、一人で答えたりすることを明確に分けており、授業は教師主導で行われる。こうした教 師の教え方と学生たちの日本語能力は日本語教育の質に深く影響を与える。 しかし、現在ベトナムでは外国教員養成制度は十分に整備されていないと言われている。ベ トナム教育訓練省は日本語教師の研修をまだ行っていない。さらに、高校教員採用試験に一度合 格すれば、勤めて以来、教師はどのような能力の検査試験も受験する必要がない。現役教師の質 の向上と維持のためには、教師研修と日本語教員能力試験を行うべきだと考える。 4.4 日本語教育担当者への要望 今後ベトナム教育訓練省が日本語教育を発展させるには、どのような行動をとるべきなのか。 筆者は「日本語教育が効果的に実施されるために、日本語教育担当者は何をするべきと思います 44 か」という質問を聞いた。日本語教育担当者というのは高校の校長である E 教諭のインタビュー の場合、ベトナム教育訓練省大臣への要望について、以下のように述べていた。 (インタビュー4.4 ) 日本語教材をもっと買ってもらいたいです。さらに、学習環境を改善するため、高校には 外国語の図書館を開設するべきです。そういえば、自習生徒がたくさんいますが、独習室 がありません。自習室と兼ねる図書館があればとても役に立つと思います。 (A 教諭) (インタビュー4.4 ) 高校入試制度を変えるべきだと思います。日本語テストを加えれば、生徒の日本語能力が 検査できます。 (B 教諭) (インタビュー4.4 ) 外国語のマルチメディア室を備えるべきだと思います。また、出来れば、各教室にコンピ ューターを備えてもらいたいです。 (C 教諭) (インタビュー4.4 ) 教師の質の問題がありますが、自分の課題に改善方法を考えて、自分で解決することは出 来ないと思います。私は日本語を教えた経験があまり多くなく、教師養成コースを受講し たことがありません。そこで、教授法を学習したいし、他の教師の授業を見学したいで す。出来れば、私のようなの若い教師は日本でも、ベトナムでも、日本語教師研修を参加 させてもらいたいと思います。 (D 教諭) (インタビュー4.4 ) 教師の給料を上げることを希望します。給料が高ければ、必ず優秀な教師が集まりま す。 45 (E 教諭) 上述の要望は教師が仕事で困っていることを反映しているとは言え、現在のベトナムの中等教 育機関における日本語教育の課題を指摘している。 A 教諭と C 教諭は、(インタビュー4.4 とインタビュー4.4 )において、高校の担当者に教 材と学習設備のニーズについて述べた。教材と設備の提供は教師に限らず、生徒の自習にも有益 なものである。また、マルチメディア室は日本語の応用的な学習に必要である。さらに、試験に マルチメディア室を使うのはカンニングを予防することにもつながる。 B 教諭は、(インタビュー4.4 )において、高校の生徒募集政策の修正が必要だと述べた。 日本語試験を加えるのは生徒の入学後の学習に良い影響を与え、生徒募集の公平性と客観性を確 保する。 D 教諭と E 教諭は、(インタビュー4.4 とインタビュー4.4 )において、若い教師とし ての要望を語った。D 教諭は日本語教師のコミュニティに属することを希望しており、自分の能 力を向上したいと述べた。グローバル時代における日本語教育の意義を分からなければならない。 学習者中心の学習モデルを構築するのは教師の仕事と考えられる。新しい教育のあるべき姿を理 解するため、教師養成と教師研修を受講する必要があることが考えられる。しかし、教師は受講 したくても機会がない。また、給与の増額は教師の過度の要求を意味するのではなく、教育に対 する社会の尊重を意味する。教師が困難な生活に苦労することなくして初めて、教育は真の価値 を取り戻す。それゆえに、教育担当者は教師の待遇の改善関心を持つべきだ。 4.5 本章のまとめ 本章では、収集された調査データをまとめ、分析した。以下では、4 点に分けて、一つずつの 分析結果について述べていく。一つ目は中等レベルの日本語教育の問題点である。二つ目は中等 レベルの日本語教師の日本語教育政策に対する認識である。3 つ目は中等レベルの日本語教師の 問題点である。そして つ目はベトナムの日本語教育管理担当者への要望である。分析結果に加 えて先行研究の結果と比較しまとめた。以上述べてきた通り、様々な問題点を明らかにした。具 体的にが、カリキュラムの問題、教材と設備の欠如、教師の人数不足などの課題がハノイにおけ る高校の日本語教育の現状であることを指摘した。一方、日本の高等教育への進学傾向も見られ 46 る。しかし、ベトナム教育訓練省は高校の日本語教育に対してはっきりしない指導をしており、 様々な課題がまだ解決されていない。以上の分析結果から第 章において、リサーチクエスチョ ンに関する考察を述べる。 47 第5章 結論と今後の課題と展望 5.1 リサーチクエスチョンの答え 5.1.1 RQ1 の答え 「ベトナムの教育訓練省の 2008 年に開始した「2008-2020 年 国家外国語プ ロジェクト」は、 中等レベルの日本語教育にどのような影響を与えたか」の答えについて述べる。 本項では、第 章の 4.1 節の考察を踏まえてベトナムにおける中等レベルの日本語教育政策に ついて述べていく。「中等教育プロジェクト」の実施期間は 2003 年から 2013 年までであったが、 2013 年に止まらず、2008 年から「2008-2020 年 国家外国語プ ロジェクト」の一環として、継続 している。しかし、2008 年以前から、日本語教育はいくつかの中学校と高校で導入され、2008 年以来、徐々にベトナムの中等レベル機関での教育の中に根付いており、ベトナム全国で 地域 で教えられている。さらに、第 外国語また第 外国語の科目として日本語を学習している生徒 数は約 25,000 人に達している。全国の日本語学習者の人数に比べると、占める割合が高くないが、 ベトナムにおける中等レベルの日本語教育に大きな影響を与えている。「2008-2020 年 国家外 国語プ ロジェクト」が中等レベルの日本語教育に与えている つの影響は以下の通りに説明する。 日本語教育を実施する中等教育機関の数と日本語を学習する生徒の数が増えていること 日本側とベトナム側との交流・協力が強化されたこと まず、一つ目の影響について述べたい。ベトナム教育訓練省は積極的に「2008-2020 年国家 外国語プ ロジェクト」を推進しており、各教育課程の日本語教育の拡大に特に力を入れている。 毎年、全土の中学校と高校の要請書を審議し、日本語クラスの開講を許可している。日本語教育 政策によって、中学校、高校は日本語教育の大切さを認識し、政府の主導に呼応し、日本語クラ スを開いている。2003 年まではハノイで日本語を教えるのは1校のみだったが、現在では、ベト ナム 地域で合計 71 中等レベル教育機関で実施されている。それ以降日本語を学習している生 徒は急速に増えており、今後ベトナムと日本との友好関係を結ぶ橋になり、多く貢献すると希望 されている。 一方、中等レベルの日本語の生徒人数の増加は両国関係の実際的な拡大と深さを反映しており、 ベトナムにおける日本教育政策はベトナムと日本の戦略的パートナーシップを構築する上で効果 的なツールとなっている。そして、日本政府もベトナムとの文化交流や教育発展を重視している。 48 2008 年に国際交流基金ベトナム日本文化交流センターがハノイに正式に設立された。国際交流 基金はベトナムにおける日本語教育に大きく貢献しており、日本語教育の専門家の派遣や日本語 教師研修または規定教科書作成の協力など、様々な活動を常に行っている。 5.1.2 RQ2 の答え 「ハノイにおける中等レベルの日本語教師はどのような課題を抱えているか」の答えについて 述べる。 本項では、ハノイにおける高校の日本語教師を対象として行った調査の結果を踏まえて、ハノ イにおける高校の日本語教師の課題について述べていく。 まず、ハノイにおける高校の日本語教師の特徴について述べる。高校の日本語教師は主に女性 であり、ハノイ外国語大学日本語専攻を卒業していた。常勤講師は尐なく、5 年以下の経験者は 常に非常勤講師である。さらに、高校の日本語教師の給与は約 240~500 ドルであり、日系企業 の労働者との給料の差が大きく、教師の給料が低いと言われている。また、優秀な教師を確保す る政策が未整備であるため、日本語教師の仕事を辞める人が多い。基準を満たした教師の採用は 困難であり、日本語を教える能力が高くない教師でも採用せざるを得ない。 もう一つの特徴は、同じ教科書でいつも同じ授業をしているので、教師の教え方が向上しな い。その結果、ハノイにおける高校の日本語教師の課題として、以下の つの課題が存在して いる。一つ目は高校の日本語教師の人数が不足していることであり、もう一つは教師の質が高 くない状況である。教育では、教師が最も重要な要素と考えられる。上述した課題に対する対 策がなければ、ベトナムにおける中等レベルの日本語教育の質が改善できないといえる。 5.1.3 RQ3 の答え 「日本語教育が効果的に実施されるために、日本語教育担当者はどのような政策を打ち出すべ きか」の答えについて述べる。 生徒に接したり、知識を伝えたりする人は教師である。それだけでなく、教師の仕事の困難な ものが最も正確に分かる人も教師である。しかし、教師が自分の問題を自分で解決することは簡 単なものではない。高校の校長を務める日本語教育担当者は日本語教師の要望を聞き入れるべき と考えている。日本語教育の質を改善するためである。これらの点から、4.4 節で述べたように、 日本語教育担当者は以下の4つの項目について考慮すべきである。 49 まず、日本語生徒募集政策の改正である。日本語能力試験結果及び中学校時代の成績によって、 日本語クラスの生徒を決め、生徒募集の公平性と客観性を確保するためである。 次は日本語教材とマルチメディア室の設備を強化することである。日本語教育において、教材 と設備の提供が教師の教える能力だけでなく、生徒の自習にも役に立つと考えられる。教育の質 を向上するために、教材と学習の設備の課題が認識されるべきである。 そして高校の優秀な教師を確保する政策である。若い教師は国家に貢献できる優良な生徒を教 育するために、教師養成と研修に参加するべきだと考える。また各高校は日本語教師に対する教 師研修の参加費用を援助するべきである。 最後は高校の日本語教師の待遇を改善することである。給料の増加は必要なものであり、教師 の仕事に対する高評価を示すことで、教育に対する社会の尊重を促すことが重要である。 5.2 本研究のまとめ 本研究では、まず「2008-2020 年国家外国語プ ロジェクト」という日本語教育政策の現状と影 響について考察し、特に中等レベル日本語教育にどのような影響を与えているか明らかにした。 ベトナムの日本語教育政策の現状は、ベトナムと日本との政治・経済関係の影響に支配されてい る。現在、「2008-2020 年国家外国語プ ロジェクト」による影響を受けている中等レベル教育に は、日本語教育の拡大が進み、発展を続けている。さらに、日本語教育政策がメディアで宣伝活 動に努力するのは国民に多数の知識を普及している。今、多くの生徒と両国は、学校における日 本語生徒募集情報を調べ、日本語教育についての政府の指導を観察している。毎年、学校におけ る日本語教育について多くの記事やレポートが掲載され、国民の注目を集めている。その反面、 様々な課題が発生している。ベトナム教育訓練省による日本語教育の拡大を重視する方針に伴い、 日本とベトナムとの学術交換、協力も重視する動きが見られる。しかし、日本語教育のカリキュ ラム改善、教師の質、教師の人数不足などについての指示が明確に出されていない。その結果、 本稿に述べた課題は主に解決されていない。一方、ハノイの高校で日本語を教える日本語教師が 抱える課題としては、教師の待遇が悪いため、優秀な教師どころか基準に満たす教師を採用する ことも難しいという現状がある。さらに、学習環境が良くないため、教師は日本語能力が徐々に 落ちており、日本語教育の質も保たれていない。その改善の可能性があまり見込めないことが考 えられる。それゆえに、日本語教育担当者としての役割を果たす高校の校長は、日本語教育の課 50 題を認識するべきであるとし、日本語教育の質を向上するために、出来るだけ高校の日本語教師 の要望を聞き入れ、その課題に対する解決を考慮している。その課題の対応は今後ベトナムにお ける日本語教育の発展にとって非常に重要なものであると考えられるだろう。 一方、最近、多くの生徒が高校を卒業した後、日本の大学へ進学する傾向がある。ハノイにお いて、いくつかの高校は日本の大学と協力校となり、日本語を学習する生徒に様々な連携プログ ラムを提供して日本への進学の機会を与えている。ベトナムの高校と日本の大学との積極的な協 力関係にもとづき、将来に向けた学術交換・文化交流も行っており、今後ベトナムの生徒が日本 での有名な高等教育機関に留学する機会が増えることが期待されている。 5.3 今後の展望 本章では、日本の高等レベル教育への進学展望について述べたい。この数年、日本での留学は 珍しいことではなく、JASSO の 2018 年度のレポート34によると、ベトナム出身の在日本留学生数 は中国に次ぐ 位である、ベトナム人留学生の全留学生に占める割合は約 24%となっている。こ れらの大部分の留学生はベトナムの民間日本語センターや留学サービス会社の仲介で奨学金に応 募したり、日本語学校、専門学校に登録している35。日本語能力試験 N5、N4 合格する学生は日 本語が上手に出来なくても、日本語学校に入ることができる。その反面、私費で留学する学生は 奨学金がない場合、大変な生活を経験し、家族にも誰からも応援されないため、専門学校あるい は大学、大学院に進学する可能性は難しい。 しかし、最近、多くの生徒が高校を卒業した後、日本の大学へ進学する傾向がある。ハノイ外 国語高校とホアン・ロン私立高校の教師のインタビュー結果にも、それについての言及があった。 多くの日本の大学と高校はベトナムの高校を訪問し、交流会を行っている。さらに、日本語を学 ぶ生徒に様々な奨学金プログラムを提供して、日本への短期留学の機会を与える。ホアン・ロン 高校には、高校卒業後、日本の大学に進学する生徒が多く、主にホアン・ロン高校のパートナー ズ大学・短期大学に入学している。パートナーズ大学からからは、N2 を取得している優秀な生 徒は 年間の奨学金が与えられる。ホアン・ロン高校の新しい動向は、国際連携を指向するよう になっている点である。具体的には、日本側の大学、大学院と連携し、日本語を最も重要な科目 にしながら、英語―日本語のバイリンガルのクラスも設立している。また、ハノイ外国語高校に 34 35 JASSO の平成 30 年度外国人留学生在籍状況調査結果 Dan tri (2019) 51 は日本で留学という目標を持っている生徒も多く、N2、N1 を有する生徒も増えている。高校の 担当者は生徒の留学ニーズを認識しながら、積極的に日本の大学と連携プログラムを推進してい る。ハノイ外国語高校は大阪大学や神戸大学などの有名な大学と留学生受け入れ協定書を調印し ている。ハノイ外国語高校の生徒は様々な貴重な奨学金(4 年間の学資援助また月間の生活援助) を受け、毎年、短期見学の体験の機会が与えられている。 日本の大学はベトナムの高校が優秀な生徒を教育していると認識している。その結果、日本側 の大学はベトナム人生徒に対する募集政策を実施している。モデル校で日本における高等教育と 連携はまだ行われなくても、他の高校では、国際的な協力は多く推進している。 他方、科学・技術の発展とグローバル時代の動向は、世界中の教育にイノベーションをもたら している。特に、新たな知識を素早く更新するための国際的な協力はますます重視される。教育 の大きな責任は、絶えず変化する世界で適応できる高い質の人的資源を提供することである。そ の課題を達成するために、ベトナムの教育は国際的な協力の機会を持つ必要がある。ベトナムに おける中等レベルの日本語教育の場合、日本の大学との連携は今後の課題に対する対応だと考え られる。さらに、日本の大学との連携プログラムはベトナムの高校に生徒募集の面で競争の優位 性を作る。日本への進学を希望している生徒は日本の大学と連携する高校を選択すれば、様々な 有利なものが得られる。 在ベトナム日本国大使館によると、最近、高等教育においてベトナムの大学と日本の大学との 交流が盛んになっている、2018 年 10 月までに東京大学をはじめとして、様々な分野でベトナム の高等レベル教育機関と協力する大学が 22 校ある36。中等レベル教育で、両国の教育協力がある が、十分な統計が出されていない。しかし、以上に述べたベトナムの高校と日本の大学との積極 的な協力は将来の学術交換・交流の機会と双方の文化交流を行っている。これは、両国の教育の 友好で安定的な関係のためのマイルストーンであり、高校の日本語教育の発展・拡大のための強 固な基盤を築くことである。そのような協力がベトナム全土における中等レベル教育に広まるこ とが期待されている。今後ベトナム人生徒が日本での高等教育機関に留学する機会がより増えて いくことは確実であろう。 付録 36 在ベトナム日本国大使館(2018)『日本の大学とベトナム大学との協力(Hợp tác trường đại học Nhật Bản với Việt Nam)』https://www.vn.embjapan.go.jp/itpr_ja/HoptacgiuacactruongdaihocNhatbanvaVietnam.html (閲覧日:2019 年 04 月 30 日) 52 ハノイにおける高校の日本語教師のインタビュー質問 I 調査対象者の情報 年齢 性別 所属している機関の種類 何年生を教えていますか 日本語教師の経験年数 日本語能力 日本への留学経験がありますか 日本語教師養成機関 II 日本語教育の事情 現在のカリキュラムと教科書について話しませんか。 10 日本語クラスのサイズはどのぐらいがいいと思いますか。日本語を辞める状況について 話しませんか 11 ベトナムの日本語教育の質を向上するため、どのようにしたら良いでしょうか。 12.今、高校の日本語教育の新しい行動について説明ませんか。 13 教師研修の必要性についてどう思いますか。 日本語教育政策 III 14 高校の日本語教育担当者へどのような要望がありますか。 15 ベトナムの教育訓練省が実施している「2008-2020 国家外語プロジェクト」が知っています か 16 ベトナムの日本語教育政策についてどう思いますか。 17.ベトナムの教育訓練省はの役割についてどう思いますか。 53 参考文献 日本語 粟飯原 志宣・松浪 千春(2016)『ベトナムにおける日本語教育の現状と課題―高等教 育の現場が抱える社会と文化の問題を事例として―』【特集】『海外の高等教育機関に おける日本語教育の現状と課題:日本からは見えない文脈を検証する』早稲田大学日本 語教育研究科 第 24 号 pp.71-80 グェン タイン タム,グイェン チ ツオン バン,マイ ゲェン ゴック(2015)『ベトナムに おける日本語 教育と日本研究の動き』日越交流における歴史,社会,文化の諸課題シン ポジウム(pp.249-258) 嘉数勝美(2011)『グローバリゼーションと日本語教育政策』ココ出版、東京 pp.28-29 宮原・ 近藤(2014)『東南アジア中等教育における日本語教育の現状と高等教育への接 続』 国際交流基金 (2015)『21 世紀の人材育成をめざす東南アジア か国の中等教育 における日本語教育-各国教育文書から見える教育のパラダイムシフト-』 国際交流基金 (2017a)『2017 年度海外日本語教育機関調査』 国際交流基金(2010)「ベトナム中等学校における日本語教育試行プロジェクト(De an day thi diem tieng Nhat cap THCS – THPT tai Viet Nam」 国際交流基金(2013)「ベトナムにおける日本語教育の概要」 在ベトナム日本国大使館(2018)「ベトナムにおける最近の日本語をめぐる動向」 10 山本公平 (2017)「ベトナムにおける日本語学校の経営存続に関する一考察-ドンズ ー日本語学校を中心に─」『 広 島 経 済 大 学 経 済 研 究 論 集』 第 40 巻第 [3 号]、 p 31 11 梅田邦夫(2018)「日ベトナム関係の現状―日越外交関係樹立45周年」ハノイ貿易大 学 12 林桂子(2004)『世界の外国語教育政策・日本の外国語教育の再構築にむけて』「第 章 日本」東信堂、東京、p.173 13 Cao Le Dung Chi(2017a)『ベトナムの外国語教育政策と日本語教育の展望』 学言語文化研究科―日本語・日本文化専攻 大阪大 pp.98-105 14 JASSO(2017)「平成 29 年度外国人留学生在籍状況調査等について-留学生受入れの 概況-」 54 15 JASSO(2019)「平成 30 年度外国人留学生在籍状況調査結果」p.4 16 JETRO (2017) 「2017 年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」p.3、p.20 17 JICA (2005)「JICA の日本語教育協力の事例報告―ラオス カンボジア ベトナム」 p.20 18 Nga My (2018)「ベトナムにおける日本語教育の事情―現状と今後の期待―」 ベトナムの政府の指導文書 19 ベトナムの教育法(2005 年改正版)2005 年 月 日に認定された / 0 / Q H 1 号 の ベ ト ナ ム の 教 育 法 を 実施 することに つ い て 決定書 20 ベトナム教育訓練省の通知 01/2014/TT-BGDĐT『ベトナムの外国語能力基準1〜6 レベ ル枠組 み』(2014 年 01 月) 21 ベトナム教育訓練省の通知 No.23 23/2015/TTLT-BGDĐT-BNV 『公立高校の常勤講師基準』 (2015 年 09 月 16 日) 22 ベトナム政府の 1981/QD-TTg号の「ベトナムの教育制度」通知 23 ベトナム政府の 57/2017/NĐ-CP の「公務員の給システム」通知 24 1400 号の『2008-2020 年国民教育システムにおける外国語教育プロジェクト』 25 2080 号の『 2017-2025 年国民教育システムにおける外国語教育プロジェクト』 26 22/2015/TTLT-BGDĐT-BNV 号の「中学校の教師の番号・職業基準」通知 ベトナム語 27 Cao Le Dung Chi (2017b)「Day va hoc tieng Nhat thoi dai toan cau」(グローバル時 代における日本語教育・日本語学習)『ホーチミン師範大学科学研究集』第 14 巻第 号 pp.58-69 28 Dao Duy Anh (1998)『ベトナム文化史』(Viet Nam van hoa su cuong)(再出版) Dong Thap 出版社、p.78 29 Le Van Canh、Nguyen Thi Ngoc (2017)「De an ngoai ngu quoc gia 2020 co the hoc duoc gi tu kinh Nghiem Chau A」(2020 国民教育の外国教育政策のプロジェクトはアジア諸国 からどのような経験を勉強できるか)『外国語教育研究集』だい 33 巻第 号 pp.10- 23 30 Phan Ngoc Lien (1995)『歴史の流れに沿った日越関係』( Quan he Viet - Nhat lich su.)『社会科学通信雑誌』1995 年 月号、pp 28 -30 55 31 Tran Ba De (2010) 『Lich Su Viet Nam -Tu 1945 den から)』ハノイ師範大学, (ベトナムの歴史・1945 年 ベトナム教育訓練出版,p.60 URL 32 Anh Ngan (2016)「So GDDT Ha Noi noi ve ke hoach thi diem day tieng nhat o tieu hoc」 ( 初 ・ 中 等 教 師 育 成 プ ロ グ ラ ム の 開 発 ) Vietnamnet http://vietnamnet.vn/vn/giao-duc/so-gd-dt-ha-noi-noi-ve-ke-hoach-thi-diem-day-tieng-nhat-otieu-hoc-292190.html (2018 年 10 月 20 日閲覧) 33 Binh Gang (2019)「Nhiều bạn trẻ bị lừa du học Nhật Bản」https://dantri.com.vn/viec- lam/nhieu-ban-tre-bi-lua-khi-du-hoc-nhat-ban-20190123070706718.htm (2019 年 月 日閲覧) 34 Le Van (2016)「Tiếng Nga, tiếng Trung dạy Việt Nam nào?」(ベ トナムにおいて、ロシア語と中国語がどうやって教えられているか?) http://vietnamnet.vn/vn/giao-duc/tuyen-sinh/tieng-nga-tieng-trung-dang-duoc-day-o-vietnam-nhu-the-nao-337213.html (2018 年 11 月 12 日閲覧) 35 Luong, Tu (2013)「Hà Nội: Kết thí điểm đưa tiếng Nhật vào trường học」(ハノイ: 中 等 段 階 に お け る 日 本 語 教 育 試 行 の 結 果 ) Baomoi.com https://baomoi.com/ha-noi-ket-qua-thi-diem-dua-tieng-nhat-vao-truong-hoc/c/11217263.epi (2018 年 10 月 28 日閲覧) 36 Vo Hai・Hoai Thu「Bộ trưởng Giáo dục: Đề án ngoại ngữ 9.000 tỷ không đạt mục tiêu 」 (ベトナムの教育訓練省の大臣 Phung Xuan Nha:「9 千億ドンのプロジェクトがまだ成 功しない」) a https://vnexpress.net/tin-tuc/giao-duc/bo-truong-giao-duc-de-an-ngoai-ngu-hon-9000-ty-khong-dat-muc-tieu-3499623.html(2018 年 11 月 日閲覧) 37 JASSO ( 2018 ) 「 日 本 の 教 育 制 度 」 http://www.g- studyinjapan.jasso.go.jp/ja/modules/pico/index.php?content_id=8(2018 年 11 月 10 日閲覧) 38 Kieu Hung ・Thanh Tu(2018)「Hoc Tieng Nhat Tai Truong Chuyen Ngu (ハノイ外国語高校の日 本 語 教 育 ) 」 http://flss.vnu.edu.vn/tin-tuc/hoc-tieng-nhat-tai-chuyen-ngoai-ngu-tai-sao-khong (2019 年 05 月 30 日閲覧) 56 39 Tintucnamdinh ( 2017 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%BB%AE%E8%A8%B3%EF%BC%89.pdf 44 国 際 交 流 基 金 ( 2016a ) 「 2015 (2018 年 11 月 日閲覧) 年 度 日 本 語 教 育 機 関 調 査 」 https://www.jpf.go.jp/j/about/press/2016/057.html (2018 年 10 月 20 日閲覧) 57 謝辞 本論文は、日越大学地域研究科修士論文とし提出するものです。執筆には多くの方々の御指 導・ご支援をいただきました。 本研究の実施にあたり、終始暖かい激励とご指導、ご鞭撻を頂いた早稲田大学大学院日本語教 育研究科の宮崎里司教授に心より感謝申し あげます。宮崎里司教授に親切な御指摘や助言をいた だきました。それから、日越大学地域研究科の Pham Thi Thu Giang 教授、伊藤まり子教授と日 越大学の先生方に貴重な御支援をいただきました。深く感謝申し上げます。 本研究は、多くの研究助成、補助金、資金負担などにより実施されたものです。学位論文作成 にあたり、早稲田大学でのインターシップの機会と有用な資料の提供を頂き、独立行政法人 国 際協力機構、日越大学に心より感謝申し上げます。 研究を進めるための環境を整備いただき、日越大学、東京大学 大学院総合文化研究科・教養 学部、早稲田大学大学院日本語教育研究科の先生方と大学職員の皆様に、心から感謝いたします。 学位論文作成にあたり、早稲田大学大学院日本語教育研究科宮崎研究室の皆様には、いつもあ たたかく励ましていただきました。たくさんの御助言もいただきました。心より感謝申しあげま す。 本論文をまとめるにあたり、吉浦芽里さんの熱心な協力と数多くのご助言をいただきましたは、 深く感謝いたします。 仕事をしながら論文を書くにあたり、どのような状況においても応援してくれた家族に心から 感謝します。それから、ご支援を頂いたフンドン私立大学の同僚の皆様に感謝申し上げます。 本研究を進めるにあたり、ご協力・ご支援を頂いたハノイの高校の日本語教師の皆様に心より お礼申し上げます。 最後に、研究を進めるにあたり、ご支援、ご協力を頂きながら、ここにお名前を記すことが出 来なかった多くの方々に心より感謝申しあげます。 グエン・キム・ガン Nguyen Kim Ngan 58